12号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA)でポールポジションを獲得したアレックス・リン 6月12日、フランスのル・マン24時間サーキット(サルト・サーキット)でWEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間レースの最終予選『ハイパーポール』のセッションが行われ、キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAの12号車キャデラックVシリーズ.R(ウィル・スティーブンス/ノーマン・ナト/アレックス・リン)が最速タイムを記録してポールポジションを奪った。
※LMP2&LMGT3クラスのハイパーポールレポートはこちら(https://www.as-web.jp/sports-car/1221589)
■5号車ポルシェのタイヤが脱落
2025年、ル・マンの予選方式は改められ、『予選』『ハイパーポール1(H1)』『ハイパーポール2(H2)』という3セッションのノックダウン方式に。11日に30分間の予選を行い、LMP2とLMGT3は上位12台、ハイパーカーは上位15台が12日のH1へと進出。ハイパーポールは予選同様に『LMP2&LMGT3』のセッションと、『ハイパーカー専有』のセッションへ分割され、H1は20分、H2は15分で争われる。
LMP2とLMGT3のH2進出台数は上位8台。ハイパーカーは上位10台となっており、H2へ進出した場合、H1とは異なるドライバーがアタックを担当しなければならない。
前セッションの遅れが影響し、ハイパーカークラスのH1は予定より1分ディレイの21時06分にスタート。気温は26度、路面温度は33度というコンディションのなか、15台の車両がアタックへと向かう。前日の予選で最速タイムを記録している12号車キャデラックではスティーブンスが、8号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタGAZOO Racing)ではブレンドン・ハートレーがH1でのアタッカーとなった。
最初のアテンプトでは5号車ポルシェ(ポルシェ963)のジュリアン・アンドラウアーが3分23秒979で暫定首位に。36号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)のミック・シューマッハーが2番手に。38号車キャデラックのセバスチャン・ブルデー、20号車BMW Mハイブリッド V8(BMW Mチーム WRT)のロビン・フラインスと続く。
僚友からトウを与えられた20号車フラインスは、次の周に2番手へと浮上する。さらに50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)のミゲル・モリーナがフラインスを上回り2番手へ。ここで各車は一度ピットへと戻り、タイヤを変えてコースへと戻っていった。
残り3分を迎える時点で、ノックアウトゾーンは311号車キャデラック(キャデラック・ウェーレン)、83号車フェラーリ(AFコルセ)、12号車キャデラック、009号車アストンマーティン、101号車キャデラック(キャデラックWTR)という5台。“オン・ザ・バブル”の10番手には、8号車トヨタがつける展開となる。
各車が最終アタックに入った段階で、スロー走行でピットに帰ってきた5号車ポルシェの右リヤタイヤがピットロード入口で脱落。一瞬イエローが提示されるも、セッションがそのまま続くと、12号車キャデラックが全体ベストを更新、さらにシューマッハーの36号車アルピーヌが3分23秒462まで最速タイムを縮めた。8号車トヨタのハートレーはこれに続く2番手へと滑り込む。
チェッカーが振られるなか、最速タイムが次々と更新。20号車BMW、38号車キャデラックがトップに立ったあと、最後に3分22秒742をマークしてこのセッション最速となったのは、311号車キャデラックのジャック・エイトケンだった。
38号車キャデラック、20号車BMW、50号車フェラーリ、36号車アルピーヌ、8号車トヨタ、4号車ポルシェ、12号車キャデラック、5号車ポルシェ、15号車BMWまでがH2に駒を進めた一方、51号車と83号車というフェラーリ勢2台はまさかのH1敗退に。このほか、35号車アルピーヌ、101号車キャデラック、009号車アストンマーティンが、ここで姿を消すことになった。
■ブエミがミュルサンヌでグラベルへ
各車ピット前で、H1担当ドライバーとH2担当ドライバーが“引き継ぎ”の会話をする様が多く見られるなか、日没間際のサルト・サーキットで10台のマシンによるポールポジション争いが始まった。H1最速の311号車キャデラックはフェリペ・ドルゴビッチ、50号車フェラーリは2年前のポールシッター、アントニオ・フォコ、36号車アルピーヌはフレデリック・マコウィッキ、8号車トヨタはセバスチャン・ブエミがステアリングを握っている。
アタックラップに入ると、8号車のブエミはミュルサンヌでグラベルに飛び出してしまう。コースへと復帰するもそのままピットへと向かい、8号車トヨタは無念のノータイムとなった。
このファーストアタックでは、5号車ポルシェのマシュー・ジャミネが3分23秒475というタイムで暫定首位に立ち、4号車ポルシェのニック・タンディが続く。
次の周、12号車キャデラックのリンが自己ベストを更新して、2番手へ。50号車フェラーリのフォコも5番手へと浮上してくる。
終了間際、リンはさらに3分23秒166へとベストを縮める俊足ぶりを見せ、場内が沸く。さらにチェッカーが振られるなか、38号車キャデラックのアール・バンバーが僚友に0.167秒差と迫る2番手につけ、キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAのピットがお祭り騒ぎとなる。
ここまでタイムを残していなかった15号車BMWのドリス・ファントールがチェッカーラップで好走を見せて注目を集めたが、タイムは3分23秒659とキャデラックの牙城を崩すには至らなかった。
これで第93回ル・マン24時間レースのポールポジションは12号車キャデラックのものに。僚友38号車が隣に並び、ハーツの金色に塗られたキャデラックがフロントロウを独占する結果となった。3番手に5号車ポルシェ、以下15号車BMW、4号車ポルシェ、20号車BMW、50号車フェラーリ、311号車キャデラック、36号車アルピーヌ、8号車トヨタというH2のオーダーとなった。
このあと現地では23時(日本時間13日6時)から、フリープラクティス4のナイトセッションが行われる。
https://twitter.com/24hoursoflemans/status/1933256220946596094
[オートスポーツweb 2025年06月13日]