迫力満点のスリーワイド勃発。ポルシェとの激闘を経てフェラーリが上位固める/WEC第4戦ル・マン決勝6時間後

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2025年06月15日 05:31  AUTOSPORT web

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6時間経過時点でトップを走行している50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)
 現地時刻6月14日16時、2025年WEC世界耐久選手権の第4戦、第93回ル・マン24時間レースの決勝が、フランス・ル・マンのサルト・サーキット(正式名称:ル・マン24時間サーキット)で始まった。

 6時間が経過した時点では、フェラーリAFコルセの50号車フェラーリ499P(アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン)が総合トップを走行している。


■最後尾スタートの6号車ポルシェが激走

 15時51分、気温22度、路面温度27度というコンディションで、フォーメーションラップがスタート。公式映像によるとハイパーカークラスは全車ミディアムコンパウンドを履いているようだ。

 16時ちょうどにロジャー・フェデラーの振り下ろすフランス国旗を合図にスタートが切られると、混戦のダンロップシケインではポールシッターの12号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA)が首位を守ったものの、ユノディエールの第1シケインへの進入で5号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)のジュリアン・アンドラウアーがトップを奪う。50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)もインディアンポリスへの進入で15号車BMW Mハイブリッド V8(BMW Mチーム WRT)を抜いて5番手へ。

 また、予選での最低重量違反によりハイパーカークラス最後尾21番手スタートとなっていた6号車ポルシェ963のケビン・エストーレもスタート直後から猛チャージを見せ、25分過ぎにLMGT3のバックマーカーが絡み始めると、セバスチャン・ブエミの8号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタGAZOO Racing)、20号車BMW、15号車BMWらを相次いでパスして7番手にまで順位を上げてくる。

 40分が経過すると最初のルーティンピットが始まり、これが終わると6号車ポルシェは5番手とさらに前方への進出に成功。後方では7号車トヨタのマイク・コンウェイは混戦のなか、35号車アルピーヌをパスし、4号車ポルシェへと迫る。

 1時間が経過する直前、ポール・ディ・レスタの93号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)がポルシェカーブ入口でGT車両と交錯してラインを外し、アウト側のバリアへヒット。リヤのエンジンカウル等が脱落した状態でマシンをピットへ向かい、短い修復を経てコースへと戻っている。

 2時間目に入ると、6号車ポルシェはさらに勢いを増し、ポルシェカーブ進入で38号車キャデラックをパスして4番手へ。7号車トヨタはポジションを落とし、さらに2回目のルーティン作業では手前のピットに作業中のマシンがいたためかマシンを正規位置に止められずタイムロスも喫した。


■7号車トヨタにピットレーン速度違反。8号車は上位に喰らいつく

 一方50号車フェラーリのニールセンはアウトラップで12号車キャデラックを攻略。続いて目の前にピットアウトしてきた6号車ポルシェをユノディエールでパスし、実質2番手へと順位を上げる。

 4番手から後方は311号車(キャデラック・ウェーレン)、12号車、38号車とキャデラック勢が編隊を形成するが、ここに追いついたのが8号車トヨタのブエミ。このタイミングで2時間が経過し、3度目のルーティンピットが始まると、各陣営は続々とドライバー交代を行う。

 8号車トヨタはこのピットでJOTAのキャデラック2台をかわし、実質5番手へ。ステアリングを握ったブレンドン・ハートレーは、311号車キャデラックのフェリペ・ドルゴビッチを追う展開となるが、同時に背後からはアントニオ・ジョビナッツィの51号車フェラーリが迫り、ハートレーはこれにオーバーテイクを許す。51号車はこのあと、311号車も難なく攻略し、4番手に浮上していった。

 時を同じくして、首位5号車ポルシェには50号車フェラーリのアントニオ・フォコが迫っていき、トップ2台がコンマ差に。そして2時間33分経過時点で、インディアナポリス手前で50号車フェラーリが総合トップの座を奪った。

 83号車フェラーリは3時間経過前後で行われた4回目のルーティンピットで8号車トヨタの前に出ると、勢いそのままに311号車キャデラックもパス。これでフェラーリの3台とワークスポルシェの2台でトップ5が形成されることとなったが、3時間過ぎに導入されたスローゾーンの際の違反があったとして、5号車ポルシェにはドライブスルーペナルティが科せられ、順位を下げた。

 3時間50分過ぎ、5度目のルーティンピットの直後には、6号車ポルシェ、83号車フェラーリ、51号車フェラーリがインディアナポリスに向けての300km/hオーバー全開区間でスリーワイドになりながらの接近戦を演じ、実質2番手を争った。

 83号車のロバート・クビサはこのあと6号車をパスするが、次のピットストップ時に停止時間5秒追加のペナルティを受けた。これは5号車ポルシェを抜いた際にコース外を使用したが、そのポジションを維持したためであるとの裁定だ。

 多くの陣営でドライバー交代が伴う6度目のルーティンが始まると、8号車トヨタは平川亮へとドライバーチェンジ。ここで右フロントのみにソフトコンパウンドを履く戦略を採る。83号車のペナルティ消化に伴い、50号車、51号車の順でワークスのフェラーリがワン・ツー。さらに83号車が続く形となった。

 6時間経過直前に8度目のルーティンピットが始まり、トップ6のなかでは2番手走行中の50号車フェラーリ、5番手の8号車トヨタが最初にピットへ。実質的な順位は50号車フェラーリ、51号車フェラーリ、83号車フェラーリと、跳ね馬がトップ3を独占。ただし、これに続いている6号車ポルシェはスティントを伸ばしてきており、この違いが今後の順位にどう影響してくるか、注目だ。

 トヨタでは8号車が平川のドライブにより実質5〜6番手を走行中。首位50号車フェラーリとのギャップは40秒強といったところ。7号車は小林可夢偉がミュルサンヌでブレーキロックからコースオフを喫し、さらには5時間目のピットストップの際にスピード違反があったとして、50秒間のストップ・アンド・ゴーペナルティを受けるなど、苦しい展開に。序盤にコンウェイが他車と接触していたようだが、そのダメージの影響も心配される。6時間経過時点では18番手を走行中だ。


■バレンティーノ・ロッシ組BMWがLMGT3首位

 LMGT3クラスの第1スティントは、ポールポジションの27号車アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3(ハート・オブ・レーシング・チーム)がリードを保っていたが、最初のルーティンピット後は、ジャック・ホークスワースをスターターに起用した78号車レクサスRC F LMGT3(アコーディスASPチーム)がクラス首位に。

 その後の第3スティントでは、10号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3(レーシング・スピリット・オブ・レマン)が首位に立ちリードを広げて行った。

 その後は46号車BMW M4 GT3(チームWRT)や78号車レクサス、21号車フェラーリ296 GT3(ビスタAFコルセ)、92号車ポルシェ911 GT3 R GT3(マンタイ・ファースト・フォーム)などが入れ替わり首位を走行したが、6時間経過時点では46号車BMW(アハマド・アル・ハーティ/バレンティーノ・ロッシ/ケルビン・ファン・デル・リンデ)がクラストップを走行中だ。

 木村武史の57号車フェラーリ296 LMGT3(ケッセル・レーシング)は、プロドライバーのダニエル・セラをスターターに起用。その後第2スティントでは、木村がドライブし上位を走行する場面も。6時間経過時点では、クラス16番手を走行している。

 佐藤万璃音の95号車マクラーレン720S LMGT3エボ(ユナイテッド・オートスポーツ)は、ブロンズドライバーのダレン・ラーンをスタートに起用して一時順位を下げた。その後は中位まで順位を回復するも、6時間経過直前、ラーンのドライブ中にミュルサンヌ手前にマシンを停めてしまっている。

 1スティントが約35分と短いLMP2では、最初のルーティンピット後に、インターユーロポル・コンペティションの43号車オレカ07・ギブソンが首位に立つ。

 その後は長きにわたって43号車が優位にレースを進めたが、5時間目に入ってVDSパニス・レーシングの48号車がリードを取る場面も。6時間経過時点ではパニスの48号車(オリバー・グレイ/エステバン・マッソン/フランク・ペレラ)が首位、2番手にはプロ/アマカテゴリーのAO・バイ・TFの199号車、アイアン・リンクス・プロトンの9号車と続いている。

 現地は22時ちょうどに日没を迎えた。このあとは、ナイトセッションへと突入していく。

[オートスポーツweb 2025年06月15日]

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