『スターレット』COPYRIGHT © 2012 STARLET FILMS『ANORA アノーラ』で第77回カンヌ国際映画祭<最高賞>パルムドール、第97回アカデミー賞作品賞を受賞したショーン・ベイカー監督の特集上映「ショーン・ベイカー 初期傑作選」が、7月4日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAから全国順次公開される。
iPhoneでの全編撮影に挑戦した『タンジェリン』(2015)で話題を呼び、貧困層の日常を6歳の少女の瞳を通して描く『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017)、元ポルノスターの男が再起を目指す姿を追った『レッド・ロケット』(2021)、そして『ANORA アノーラ』(2024)で第77回カンヌ国際映画祭パルムドール、第97回アカデミー賞作品賞を含む最多5部門を受賞し、インディペンデント映画のもつ無限の可能性を世界へと示し続けてきたショーン・ベイカー。
ケン・ローチやダルデンヌ兄弟といった巨匠から大きな影響を受けながら、偏見や差別にさらされる立場にある人々を内側からありのままに描き出す独自のスタイルを確立。移民、セクシャルマイノリティ、セックスワーカーなどへと光をあてる。
社会が見過ごしてきた、いま、この瞬間を生きる人々の声に耳を傾け、人々の境遇や暮らしに正面から向き合いながら常にユーモアも忘れないその姿勢は、初期監督作品からブレることなく貫かれている。
本特集では、長編デビュー作から現在地へとショーン・ベイカーが歩んだ軌跡を辿る、日本初公開の貴重な4作品を上映。
素朴な視点からすくい上げた「生きた声」の数々が、異なる世界や文化に触れること、そして他者への想像力をもつことの尊さを改めて伝えてくれる。
上映作品
『フォー・レター・ワーズ』
Four Letter Words|2000年|82分
監督・脚本:ショーン・ベイカー 撮影:サム・セルバ
出演:デイヴィッド・アリ、ヘンリー・ベイリン、フレッド・バーマン
ある真夏の夜のパーティーで酔っ払い、戯れ、いさかいを起こす若者たちを描いた長編デビュー作。アメリカ郊外に暮らす男子大学生の間で、彼ら特有の生々しい会話が飛び交う。リチャード・リンクレイター作品などを彷彿とさせる青春のポートレートに、ショーン・ベイカー監督の鋭い観察眼が光る。
『テイクアウト』
Take Out|2004年|87分
監督・脚本:ショーン・ベイカー、ツォウ・シンチン 撮影:ショーン・ベイカー
出演:チャールズ・チャン、エング・フア・ユー、ワン・ザイ・リー
密入国業者への多額の借金を抱えながら、ニューヨークの中華料理屋で配達員として働く不法移民の青年の1日を捉えた長編第2作目。徹底した社会派リアリズムのスタイルで、マンハッタンに暮らす移民たちの厳しい日々を浮き彫りにする。
『プリンス・オブ・ブロードウェイ』
Prince of Broadway|2008年|100分
監督:ショーン・ベイカー 脚本:ショーン・ベイカー、ダレン・ディーン
撮影:ショーン・ベイカー
出演:プリンス・アドゥ、カレン・カラグリアン、エイデン・ノエシ
ニューヨークのストリートで偽ブランド品を売って生計を立てるラッキーの元へ、かつての恋人が存在すら知らない“息子”を連れてきたことで全てが一変する。いきなり“パパ”になった黒人青年と幼い子ども、それを取り巻く人間模様をチャーミングに描く。
『スターレット』
Starlet|2012年|103分
※過去に『チワワは見ていた』のタイトルでソフト化済み
監督:ショーン・ベイカー 脚本:ショーン・ベイカー、クリス・ベルゴーク
撮影:ラディウム・チャン
出演:ドリー・ヘミングウェイ、ベセドカ・ジョンソン、ジェームズ・ランソン、カレン・カラグリアン
女優志望のジェーンは、愛犬のチワワといつも一緒。ある日ガレージセールで購入したポットに大金が入っていることに気づく。ポットの持ち主である老婦人とジェーン、歳の離れた女性2人の心の交流を生き生きと描くユーモラスな感動作。
「ショーン・ベイカー 初期傑作選」は7月4日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開。
(シネマカフェ編集部)