画像:『Dear Friends1 - SPEED』トイズファクトリー専業主婦と働くママそれぞれの苦悩を丁寧に描きつつ、教育虐待やシングルマザーの孤独など社会問題にも切り込んで好評を得たドラマ『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』(TBS系)。
同ドラマでひときわ注目されたのは、本作が初の連ドラレギュラー出演となった元SPEEDの島袋寛子さんではないでしょうか。
◆「SPEEDの最年少メインボーカル」から一躍時代の象徴へ
島袋寛子さんと言えば、言わずと知れた90年代に日本中を熱狂させた沖縄出身の4人組ダンス&ボーカルグループ「SPEED」のメンバー。グループ最年少かつ高音を武器にしたメインボーカルであり、デビュー時の小学6年生という年齢も世間に衝撃を与えました。
ヒット曲を連発したSPEEDでしたが、1996年のデビューから4年弱となる2000年に解散。短い活動期間でしたが、シングルやアルバムを合わせたトータルセールスが約3000万枚、売上は386億円に達したとも言われており、邦楽の歴史に名を刻む伝説的なグループとなりました。
リリースしたシングルはわずか11曲でしたが、今のアラサーやアラフォー世代にとっては全曲カラオケで歌えるほど記憶に刻まれているのではないでしょうか。
◆解散後の人生とSPEEDの影響力
2000年の解散後、SPEEDとして再結成や再活動を経てきたものの、島袋さん自身はソロアーティストとして活動を続け、ジャズやミュージカルにも挑戦するなど、精力的に音楽の幅を広げてきました。
プライベートでは、2017年に俳優・早乙女友貴さんとの12歳差婚が話題となりましたが、2023年には離婚を発表しています。
島袋さんの名前が取り上げられるのは、音楽活動や結婚・離婚といった話題が中心であったことも事実です。そうした中での連続ドラマへのレギュラー出演には大きな注目を集めました。
実は、SPEEDは現在のK-POP人気が続くアイドル業界にも影響を与えています。ME:Iが誕生したサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」のグループバトルにおいて、名曲『Body & Soul』が課題曲として使われました。
SPEED解散以降に生まれ、SPEEDをよく知らない10代のオーディション参加者たちがステージで同曲を懸命に歌い踊っていたことで、その難易度の高さや、当時小中学生だったSPEEDメンバーの凄さが改めて浮き彫りになりました。
◆『対岸の家事』で見せた自然な演技と美しさに称賛の声
そうした中で先日最終回を迎えた『対岸の家事』で島袋さんが演じたのは、ディーン・フジオカさん演じる厚生労働省勤務のエリート男性の妻役。
海外赴任中というバリキャリママで、1人娘を育てるために夫が育休中という役どころでした。初の連ドラレギュラー出演でディーン・フジオカさんの妻役というのは大抜擢とも言えるのではないでしょうか。
第2話で初登場した際には「SPEEDの島袋寛子だと気付かなかった!」「新人女優さん?」と驚いた視聴者が続出しました。
それもそのはず、島袋さんは今まで地上波ドラマにゲスト出演した数本ある程度で、本格的な女優業は本作が初めてと言っても過言ではありません。主演の多部未華子さんやディーン・フジオカさんと並んでも違和感のない自然な演技に高い評価が寄せられました。
さらには「すごくキレイになってる!」「SPEEDのイメージと全然違う」という島袋さんのビジュアルにも注目が集まりました。もともと顔のパーツが小ぶりで色白の肌を持つ島袋さんの41歳とは思えない若々しい美しさに驚く人も多かったようです。ハッキリと自分の言いたいことを言うバリキャリ女性役もサマになっており、演技力も好評。抜群の歌唱力を持つ島袋さんだからこそ際立つ、セリフを話す際の声の良さにも注目していた視聴者がいました。
◆元SPEEDメンバーたちの現在と対照的な歩み
全盛期には日本を席巻していたSPEEDでしたが、解散後は4人それぞれが華々しい活躍をすると思いきや、そうもいかなかったことも多くの人が知るところでしょう。
島袋さんとともにメインボーカルを務めていた今井絵理子さんは2016年から参議院議員として政界に進出するも、政治的な知識の欠如が露呈するなど批判も多かったです。さらに、公職選挙法違反の疑い、神戸市議会議員との不倫、エッフェル塔前での記念撮影が問題視された自民党女性局のフランス研修参加、パワハラ疑惑といった騒動もあり、議員としての力量は今なお疑問視されています。
また、ダンス&コーラス担当の上原多香子さんは、2012年にET-KINGのMC・TENNさんと結婚しましたが、2014年にTENNさんが自ら命を絶ちました。後に、上原さんの俳優との不倫が原因のひとつだったと報じられ、世間に衝撃を与えました。その後、別の舞台演出家の男性と再婚し、2人の子どもをもうけましたが、2023年には再び不倫疑惑が報じられました。現在は沖縄に拠点を移し、公の場にはほとんど姿を見せていないようです。
もう1人のダンス&コーラス担当のHITOE(新垣仁絵)さんはSPEEDとして再活動していた期間がありながらも、現在は芸能活動から一線を引き、デザイナーやヨガ講師として自分の道を究めています。
こうしたほかの3人の状況から、元SPEEDと聞くと、世間的にも「子どもの頃にあれだけ人気になると、大人になって芸能界で活躍するのは難しい」という認識が強まっていました。
◆連ドラで見せた新境地と今後の展望
今回の島袋さんの『対岸の家事』でのレギュラー出演は、今後の女優としての活躍に期待を抱かせるものだったと言えるでしょう。
「元SPEEDの中で唯一芸能界で生き残っている」という注目の声もあり、今回のドラマをきっかけに島袋さんがこれから女優業を本格化させていく可能性はかなり高いでしょう。
まだまだ出演作品は多くないため、視聴者側も先入観がなく、さらにはクセのない顔立ちなのでこれからどんな役でもすっと受け入れることができるでしょう。アーティストとしてはSPEED時代と変わらず唯一無二の歌声を持つ島袋さんですから、ミュージカル作品や出演するドラマや映画の挿入歌などでももっと活躍を見たいものです。
今後どんな作品で島袋寛子さんの演技が見られるのか、注目する視聴者や業界関係者は多いのではないでしょうか。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中