皇居・宮殿の「連翠」に、天皇皇后両陛下、秋篠宮ご夫妻、愛子さまが並ばれている。6月10日、優れた業績をおさめた研究者に贈られる日本学士院賞の受賞者らを招き、宮中茶会を催された。
皇室担当記者は、
「この賞を受賞した方々を招く茶会は、コロナ禍での中断を経て、6年ぶりの開催となりました。愛子さまは初めてのご出席でしたが、緊張されることなく、同じテーブルに座った研究者に笑顔で話しかけられていました」
ただ愛子さまは、深い悲しみをお心のうちに押し込めて、宮中行事に臨まれていたのではないかと、宮内庁関係者は明かす。
「沖縄県を訪問されていた天皇ご一家が、6月4日に国立沖縄戦没者墓苑で、ご供花とご拝礼の後、戦没者の遺族たちと懇談されています。その中の一人である新垣生雄さんが、その翌5日に急性循環不全のため、85歳で亡くなられていたことが、8日になって報じられたのです。
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お会いした翌日に亡くなられていただけに、両陛下や愛子さまも、非常に心を痛められているとお見受けしています。ご一家は新垣さんのご不幸を受けて、侍従を通じた形で、ご遺族にお見舞いの言葉を送られたのでしょう」
天皇ご一家とのご懇談の際、
「(戦争で家族を失った)悲しみは消えません。日本をはじめ全世界が平和であることへのお力添えをお願いします」
などと語った新垣さん。そして懇談後、愛子さまから、
「これからもお元気で頑張ってください」
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と声をかけられたことをメディアに語りながら、感激した様子だったという。新垣さんは、沖縄本島中部の読谷村で農業を営み、読谷村遺族会の会長も務めてきた。
地元紙記者はこう語る。
「亡くなった当日も、新垣さんはいつものように畑仕事に出かけていたそうです。新垣さんは3年前には遺族の戦争体験などを集めて記念誌を発刊したり、平和の尊さを語り継ぐ活動に携わってきた方として知られています」
読谷村一帯には、1945年4月1日、米軍を中心とする連合国軍の地上部隊が上陸。直前には200隻近い軍艦からの艦砲射撃、米軍機の容赦のない空爆にさらされた。さらにガマ(自然の洞穴)に逃げ込んだ多数の住民が集団自決に追い込まれたという、悲しい歴史がある。
■戦火が広がる世界で共鳴した「夢」
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読谷村遺族会元会長の照屋勝男さんは、同い年の新垣さんとともに戦争体験を語り継いできた。
「私たちの年代では、必ずしも戦争の記憶はハッキリしているわけではありません。ただ、食べ物が乏しくて、周りに遺体がたくさんあったのが気にならないほど、とにかくおなかがすいていたことは、幼いながらよく覚えています。
私も生雄も、父をフィリピンで亡くしています。私たちの願いは、二度と戦争を起こしてはいけないということに尽きます。
生雄とは遺族会の活動で、慰霊祭などのほか、集団自決のあったチビチリガマなどの戦跡を歩き、自分の目で確かめたことを子どもたちに伝える平和学習を一緒にやってきました。生雄はいろんな行事の準備を頑張っていたので、とても残念です。戦争を知る世代は少なくなっているので、私も頑張っていかないと……」
今春に読谷村遺族会の会長になった仲本賢一さんは、天皇ご一家とのご懇談で新垣さんが伝えた内容について、次のように振り返ってくれた。
「いつも遺族会の役員会では、ウクライナや、パレスチナのガザ地区で起こっている現代の戦争について話し合ってきました。こうした経緯があったので、新垣さんは遺族会の総意として、ご懇談では沖縄戦のことだけではなく、全世界の平和について話したのでしょう」
大阪・関西万博のシンガポール館のご視察時には、自身の夢を書き込むモニターに「世界平和」と綴られていた愛子さま。新垣さんから託された“メッセージ”に、ご決意を新たに計画されていることがあるという。前出の宮内庁関係者はこう話す。
「両陛下は9月に国民文化祭へのご臨席のため長崎を訪問されます。これは、終戦から80年に際した慰霊や戦争の記憶を次世代に受け継ぐ“旅”の一環でもあります。
じつは愛子さまも、訪問したことのない被爆地・長崎への同行を切望されているというのです。
たしかに公的な行事に両陛下がお子さまを伴われることはありません。ただ今年は事情が異なります。戦後生まれの両陛下は、慰霊に加えて、“戦争の悲惨さや平和の尊さを未来へ伝える”部分にも力点を置かれていることは、愛子さまを伴われた沖縄ご訪問に顕著に表れていると言えます。
両陛下は、愛子さまと戦跡を訪れ、戦争の体験者や語り部などとの交流を重ねることで、国民全体に戦争の歴史と体験を伝えようとお考えなのです。こうしたことからも沖縄と同じく、ご一家でのご慰霊が実現する可能性が高いと思っています」
ウクライナとロシアの戦争、ガザ地区に侵攻したイスラエルによるイランへの攻撃……終息はおろか広がり続ける各地の戦火。新垣さんと同じ「世界平和」という夢の実現に向け、愛子さまは新たな一歩を力強く踏み出された。
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