
気づけば無意識のうちに同じ作業を続けていた経験は、誰でも1度はあるものでしょう。漫画家のブルーザキヤマさんの場合は、冬に寒い洗面所で15分も歯みがきをしているようです。しかもその理由は、虫歯予防ではなく誰もが陥りがちな「ある状態」にありました。
寒さが身にしみる冬の洗面所。早く温かい布団に入りたいはずなのに、ブルーザキヤマさんはスマホを見ながら、気づけば15分も歯みがきを続けていました。終わらせたほうがいいと頭では分かっているのに、なぜか次の行動に移れません。
その理由は、なにかを判断したり切り替えたりする力がふと抜け落ちてしまう「思考キャンセル」状態だったのだと、ブルーザキヤマさんは振り返ります。
2024年春頃にSNSで話題になった「〇〇キャンセル界隈」
「〇〇キャンセル界隈」とは、やろうとしていたことをキャンセルしてしまう人たちのことを指す、若い世代を中心に使われているネットスラングです。2024年春頃には、入浴やシャワーを億劫に感じて、あえて避ける人々やその様子を表す「風呂キャンセル界隈」という言葉がSNSで注目を集めました。
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ブルーザキヤマさんの場合、LINEの返信や図書館への本の返却、翌日の服選びといった日常の小さなタスクがたまってくると、脳の処理が追いつかなくなり次の行動が取れなくなることがあります。その結果、寒い洗面所で延々と歯をみがき続けるような状況に陥ることも。特に冬は体力が奪われやすく、思考も止まりやすい時期だといいます。
それでも、春の訪れとともに少しずつ調子を取り戻し、最近では「やらなくていいことはやらない」と割り切ることで、タスクを減らし、脳の負担を軽くする工夫を重ねています。そんな日々の試行錯誤を通じて、前向きに思考停止と向き合っているブルーザキヤマさんに詳しく話を聞きました。
「これっておかしくない?」自分の状態を客観的に分析
ーこの作品を描こうと思ったきっかけを教えてください。
歯みがきをしながらスマホを見ていたら、15分も経っていたことに、ある日突然気づきました。「この状態っておかしくない?どういうことか分析して漫画のネタにしよう!」と思って描いてみました。
もともと陰キャやコミュ障などのエピソードを描いてましたが、最近は「ゆるく病んでる状態から少し回復した出来事」のエッセイを、対処法も合わせて描き始めました。
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ータスクが重なると、キャパオーバーで思考が止まってしまうという傾向は、子どもの頃からあったのでしょうか?
子どもの頃はなかったです。大人になって複数の業務を同時に進めるようになったり、スマホを使うようになってからだと思います。「締め切りギリギリでも間に合った経験」が積み重なって、「あとでやる、すぐ終わるはず、わからないこともスマホで調べれば一瞬でわかるだろう」と思い、小さいタスクを溜めてしまうのかもしれません。
タスクに追われないための、小さな習慣と工夫
ーそのような状態を避けるために、日頃から意識していることや工夫されていることがあれば教えてください。
こだわらなくていい部分は選択肢を減らしてます。例えば「普段着の靴下は黒」といったように、悩まなくてもいい部分は適当にしてます。また、タスク管理は紙のふせんを使って、見える場所に貼り、優先順位で並べ替えて、終わったら丸めて捨てています。
ー同じような状況で悩まれている読者の方に向けて、メッセージやアドバイスがありましたらぜひお願いいたします。
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この漫画をSNSに投稿した時、「同じように思考停止している時間がある」という声を寄せていただきました。きっと、ぼーっとすることも自分の脳の整理に必要で、無駄な時間ではないと思ってます。
先延ばしにしてるタスクのうち、「必ずやらないといけない・短時間で終わるもの」は優先させて終わらせた方が脳内がスッキリするのでオススメです。「いつかやらないといけない」と考えるだけでストレスになってると思うので。1つでも脳内の荷物が消えて毎日スッキリ過ごせますよう、願っています!
(海川 まこと/漫画収集家)
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