『テレビの中に入りたい』© 2023 PINK OPAQUE RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED. A24製作の映画『テレビの中に入りたい』(原題:I saw the TV glow)が、9月26日(金)より全国にて順次公開されることが決定した。
毎週土曜日22時半に放送される、謎めいた深夜のテレビ番組「ピンク・オペーク」。ティーンエイジャーのオーウェンとマディはこの番組に夢中になり、次第に番組の登場人物と自分たちを重ねるようになっていく。それは2人にとって生きづらい現実世界を忘れさせてくれる唯一の居場所だった。
しかしある日マディは去り、オーウェンは一人残される。自分はいったい何者なのか? 知りたい気持ちとそれを知ることの怖さとのはざまで、身動きができないまま、時間だけが過ぎていくが…。
監督を務めたのは、『We're All Going to the World's Fair(原題)』で注目を集めた新鋭ジェーン・シェーンブルン。第74回ベルリン国際映画祭パノラマ部門正式出品をはじめ数々の映画祭で上映された本作は「唯一無二の傑作」「変幻自在の不穏さ」「型破りな映画」などと絶賛され、全米公開では熱狂する若者たちが続出。公開から1周年記念で新たなグッズが発売されるなど、人気を集めた注目作だ。
この度、公開決定と併せて解禁されたポスタービジュアルでは、本国版と同じく暗闇に光るテレビの中にいまにも飛び込みそうな主人公・オーウェンの背中が捉えられている。
日本オリジナル版では、テレビ画面の光に照らされたオーウェンとマディが夢中になってテレビに見入る表情とともに、その周りをテレビ番組「ピンク・オペーク」のキャラクターたちがとりまき、まさにテレビの中に入っているかのように印象的なビジュアルとなっている。
日本オリジナル版のイラストを担当したのは、写実的でありながら独特なタッチで人物を描き、若い世代を中心に人気を集めるアーティスト、雪下まゆ。両ビジュアルとも、デザインは本作に「心を撃ち抜かれた」と語る、大島依提亜が担当した。
予告編では、ロサンゼルスを拠点に活動するアーティストyeuleによる楽曲「Anthems For A Seventeen Year-Old Girl」とともに、オーウェンとマディの閉塞感を感じさせるやりとりや、「ピンク・オペーク」の幻想的なシーンが映し出される。ラストの「本当の僕は、どこにいる?」というキャッチコピーが胸を打つ予告映像となっている。
コメント
デザイナー・大島依提亜
映画好きならピンとくるであろう80〜90年代の映画への目配せも感じる本国のビジュアルに加えて、卓越した画力もさることながら、この映画に共鳴するかのような作品を発信し続けている雪下まゆさんの絵と、二つで一つのポスターで構成したい。初見で観ている時に思ってました。幸運にも雪下さんにご快諾頂き、見事にこの映画の世界観を表現して下さいました。
映画に限らず世界が“強い物語”を求められているこの時代において、取りこぼされてしまった無数の小さくて大切な何か。それら全てが、暗闇に淡く──しかし虹彩の輪郭をくっきりと浮かび上がらせては爆ぜるシャボン玉のようなこの映画に心を撃ち抜かれました。今年パワフルな映画を浴びてきた人にこそ観てほしい傑作です。
イラスト・雪下まゆ
10代の頃の自分は、周囲にうまく馴染めず、絵を描くことに逃げ場を求めていた。
この映画は、当時の自分のような若い世代や、似たような青年時代を過ごした大人にこそ観てほしいと思った。
歳を重ね、周囲に擬態する術を身につけた自分を、主人公に重ねて観ていた。
『テレビの中に入りたい』は9月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開。
(シネマカフェ編集部)