「レースをしている。テストじゃない」タイヤのケアを求められるも攻め続けたアロンソ【F1第10戦無線レビュー(1)】

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2025年06月20日 18:20  AUTOSPORT web

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2025年F1第10戦カナダGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
 2025年F1第10戦カナダGP。比較的静かなスタートを迎えたカナダGPは、10周を過ぎたあたりからタイヤ戦略をめぐるやり取りが増えた。アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)はミディアムタイヤで引っ張る戦略に不満を漏らし、シャルル・ルクレール(フェラーリ)は戦略の見解が一致せずにいた。カナダGP前半を無線とともに振り返る。

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 カナダGP決勝レースは、路面温度が50度を超えるコンディション下で始まった。ポールシッターのジョージ・ラッセル(メルセデス)がホールショットを決め、チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリがオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を攻略して3番手に上がる。後方では9番手スタートのアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)がフランコ・コラピント(アルピーヌ)に押し出される形で、12番手まで順位を落としてしまう。

ジェームズ・アーウィン(→アルボン):タイヤの内圧は問題ない。しばらくチェックを続ける。

 その間隙を縫って、ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)が11番手からふたつ順位を上げた。

スティーブン・ペトリック(→ヒュルケンベルグ):いいぞ、ニコ。P9だ。前はルクレールとノリス。ふたりともハードタイヤだ。すぐ後ろはコラピントだ。

 3周目、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)を珍しいトラブルが襲った。

ガスリー:ブリッジから水が降ってきた。誰かがふり撒いたみたいだ。カレル・ルース:了解。

 確かにリプレイ映像では、何か水が降ってくるのが見える。

 ミディアムタイヤでスタートした上位6人は、タイヤの変化に最新の注意を払いながら周回を重ねていた。

9周目ピアストリ:フロントのデグラデーションはFP2よりいい。リヤはそれより悪いね。

 オーバーステア傾向になっているということだ。

 7番手ランド・ノリス(マクラーレン)は、先行するフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)にみるみる迫っていた。

10周目クリス・クローニン(→アロンソ):DRSを失った。後ろはみんなハードだから、もうちょっと引っ張る必要があるね。

 そのやり取りの直後、ノリスがアロンソを抜いて6番手に上がった。

ウィル・ジョゼフ(→ノリス):いいぞ。次のターゲットは(ルイス・)ハミルトン、3秒5前方だ。

 8番手シャルル・ルクレールは、ハードタイヤの感触が気に入っていない。

ルクレール:このタイヤ、よくない。ブライアン・ボッツィ:ミディアム勢も、同じデグラデーション状態だよ。

 そのミディアムを履く2番手マックス・フェルスタッペン(マクラーレン)は、タイヤマネージメントに手こずっていた。

ジャンピエロ・ランビアーゼ:タイヤはどうだ。フェルスタッペン:よくない。すごく壊れやすい感じだ。

 10周目を過ぎたあたりから、アルボンのパワーユニット(PU)に問題が出始めた。

12周目アーウィン(→アルボン):バルセロナと同じくPUをモニターしている。あの時ほど悪くないが。

 12周目以降、ミディアム勢が続々と最初のピットインに向かった。17番手を走る角田裕毅(レッドブル)はトレインから抜け出せずにいた。

13周目リチャード・ウッド(→角田):君のハマってる渋滞の先頭は(アイザック・)ハジャーだ。ミディアム勢は、苦しみ始めてる。

ローラ・ミュラー:バランスはどう?オコン:すごくいいね。

 そういうと、オコンはアジャを抜き去っていった。

 ミディアム勢のピットインで、ノリスは14周目には3番手まで順位を上げていた。

ジョゼフ:(首位の)ラッセルがピットインした。プランAで行く。凄いレースを期待しているぞ。ノリス:わかった。でも左フロントにささくれが出始めてる。

 プランAはハード→ミディアム→ハードの2ストップ戦略か。ノリスは直後にルイス・ハミルトン(フェラーリ)を抜いて、2番手まで上がった。

 ミディアムを引っ張っているアルボンは明らかにペースが落ちていた。

21周目アルボン:どうして僕のいうこと聞いてくれないんだ。イラつくんだけど。

 アルボンは23周目まで引っ張ってピットイン。その代償は大きく、最後尾まで後退した。この時点で2番手まで上がっていたルクレール陣営も、ドライバーとエンジニアの間でなかなか見解が一致しない。

24周目ボッツィ:プランBだ。ルクレール:プランCだよ!ボッツィ:了解。

28周目ボッツィ:チャールズ、ボックスだ。ボックスして、ハードに替える。(フロントウイングの)フラップも調整する。ルクレール:この選択、理解できないよ。タイヤは大丈夫だよ。

 その後、ルクレールは、こう文句を言い出した。

31周目ルクレール:どうしてボックスしたんだ。ボッツィ:プランBだ。ルクレール:でもタイヤは大丈夫だって言ってたじゃないか。

 28周目のピットインタイミングが、ルクレールには明らかに不満げだった。

 アロンソはようやく入賞圏内の10番手まで順位を戻し、同国人のカルロス・サインツ(ウイリアムズ)を猛追していた。

クローニン:ターン3と8は、もっと優しく入ろう。アロンソ:俺たちはレースをしているんだ。テストじゃない。

 タイヤの性能劣化が気が気でない担当エンジニア。アロンソはおかまいなしに攻め続け、33周目にはサインツを抜き去っていった。

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F1第10戦無線レビュー(2)に続く

[オートスポーツweb 2025年06月20日]

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