
今回は映画のロケ地にも選ばれるなど注目を集めている可睡ゆりの園をご紹介します。ゆりの花以外に、あじさいが咲く風景も見ごたえがありますよ。
ゆりの花が咲く時期だけ開園する「可睡ゆりの園」
可睡ゆりの園は、静岡県袋井市にあるゆりの栽培と展示をメインとした観光施設です。「可睡(かすい)」という珍しい名称ですが、室町時代開創のお寺の住職を務めていた仙隣等膳和尚と徳川家康公との逸話より、お寺の名前が「可睡斎」と呼ばれるようになりました。その可睡斎の隣に可睡ゆりの園があります。
1984年(昭和59年)にオープン後、3万坪にも及ぶ広い敷地の中でゆりを中心とした花畑を楽しめるようになっています。
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カラフルなゆりの花たちに迎えられて、園内へ
可睡ゆりの園では、すかしゆりやハイブリッドなどさまざまなゆりの花を楽しめます。正面入口から入っていくと、園内の中心にある池の畔まで続く通路の脇で咲くゆりの花が出迎えてくれます。すでにこの段階で赤、白、黄色などカラフルなゆりの花の美しさに目を見張りますが、ここはまだ園内に入ったばかり。
ゆりの花が描く絶景はこの先にありますので、先に進みましょう。
黄色のすかしゆりで埋め尽くされる花畑は必見!
園内の花畑は花の色を意識してまとめられている場所が多いのが可睡ゆりの園の特徴。
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黄色に染めあげられた花畑は圧巻の一言。お天気がよければ青空とのコラボレーションも楽しめます。
黄色で埋め尽くされた花畑ですが、時期によってはハイブリッドのピンクのゆりの花も混ざります。ピンクのゆりの花が黄色の花畑のアクセントとなりますので、ゆっくり眺めてみるとよいでしょう。
ちなみにこの黄色のすかしゆりの花畑は、2023年に公開された映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』のロケで使われました。ロケでは黄色のすかしゆりの代わりに白いゆりの花を置いて撮影されたとのことです。
起伏があるので、黄色のすかしゆりの花畑は下から見上げたり、上から見下ろしたりすることができます。花畑の見え方もガラリと変わりますので、お好みのアングルを探してみるのも楽しいでしょう。
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白いゆりの花が斜面を埋め尽くす風景も楽しめます
可睡ゆりの園の東側は、丘の尾根づたいに遊歩道があり、北側の花畑まで歩けるようになっています。尾根づたいの遊歩道を歩いていくと、丘の下へ下りていく道があって、その周囲には白いゆりの花が集まって咲いています。
丘の上の遊歩道から白いゆりの花が丘の斜面を埋め尽くす風景を楽しめますし、もちろん丘の下側からも白いゆりの花畑を見上げることができます。斜面一面を埋め尽くす白いゆりの花畑は、黄色のすかしゆりの花畑とは違った美しさがありますね。
五色のゆりが彩る花畑を見下ろしましょう
可睡ゆりの園の北側には、また違うゆりの花畑があります。南側からの尾根づたいの遊歩道を歩いていくと、見えてくるのが他の花畑とは違ったカラフルなゆりの花畑。白、黄色だけではなく、赤やピンク、橙のゆりの花が加わった五色のゆりの花畑が広がります。直線状に並ぶ五色のゆりの花畑は上から眺めたり、下から見上げたりすることができます。
また五色のゆりの花がランダムに咲く所もあって、さまざまなゆりの花の風景が楽しめます。周囲を歩いてみてお気に入りの風景を探してみてください。
ゆりの花だけではなく、あじさいの花畑も魅力的!
ゆりの花が美しい可睡ゆりの園ですが、ゆりと同じ時期に咲くあじさいの花も要注目です。あじさいが見られるのは、南側にある黄色のすかしゆりの花畑と白いゆりの花が咲く丘の間。青や紫色、ピンクのあじさいが咲き誇ります。丘の斜面にもあじさいが植えられているため、あじさいの花の壁が出来上がります。あじさいの花の壁とその手前に広がるあじさいの花畑はまさに絶景。
ゆりの花の絶景がメインとなる可睡ゆりの園ですが、あじさいが咲いていた時はあじさいの絶景もぜひ目に焼き付けてください。
ゆりの天ぷらが食べられます
3万坪にも及ぶ可睡ゆりの園の中には食事処があり、園内を回っている途中で立ち寄ってランチなどを食べることができます。食事処での珍しいメニューが「ゆりの天ぷら」。ゆりの根を天ぷらに揚げた一品を食べることができます。ざるそばとのセットもあり、ランチおすすめのメニューですね。ゆりの花が彩るすてきな絶景を鑑賞できる可睡ゆりの園を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。初夏限定の美しい風景を体感しに可睡ゆりの園へぜひお出かけください。
可睡ゆりの園へのアクセス
<鉄道>・東海道新幹線 掛川駅または浜松駅から東海道線に乗り換えて、袋井駅下車。袋井駅北口バス停より、秋葉バス 気多行きまたは遠州森町行きに乗車して、可睡斎入口バス停下車後、徒歩5分。
<車>
・東名 袋井インターチェンジから約3km。新東名からは、森掛川インターチェンジより約9km、遠州森町スマートインターチェンジより約10km。いずれも可睡ゆりの園への案内板に従います。
(文:村田 博之(名所・旧跡ガイド))