『タコピーの原罪』上田麗奈&小原好美、“しずか”と“まりな”の声が生まれるまで【インタビュー中編】

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2025年06月22日 09:00  ORICON NEWS

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テレビアニメ『タコピーの原罪』インタビューに応じた(左から)上田麗奈、小原好美(C)タイザン5/集英社・「タコピーの原罪」製作委員会
 アニメ『タコピーの原罪』が、28日午前0時より全6話が毎週土曜に各プラットフォームにて配信される。配信に先駆け、本作でタコピーが出会う女の子・しずか役の声を演じる上田麗奈、しずかのクラスメイト・まりな役の声を演じる小原好美がインタビューに応じ、本作での役作りについて明かした。(インタビュー前中後編のうち中編)

【画像】かわいい!でも不穏を予感させるタコピー

 本作は、漫画アプリ『少年ジャンプ+』で2021年12月〜22年3月にかけて短期連載されていた同名漫画が原作。ハッピーを広めるため地球に降り立ったハッピー星人のタコピーは人間の女の子しずかと出会う。ピンチを救ってもらったタコピーは、彼女の笑顔を取り戻すため不思議な力を持つハッピー道具で奔走する。しかし、しずかはおうちと学校で何か事情を抱えていた。

■“諦め”と“感情”のバランス―役作りへの挑戦

―キャラクターを演じるにあたって、どう役作りされましたか?

上田:特報PVの収録の際、テストの後に、「諦めを強く出したい」というディレクションがあって、本編も“諦め”をベースにして演じた記憶はあります。とはいえ、しずかって実は密かに表情豊かだったりもするんです。飼い犬のチャッピーといるときは笑顔になっていたり、自分にとっての救いや希望が見えたときには、喜怒哀楽がさらに見えやすくなったりする。反対意見を言われたときに、過剰に反応しちゃう部分とかもそうですね。意外と喜怒哀楽はある子なので、そこを出しすぎず、でも無感情、無欲になりすぎずっていうところを狙っていけるように、頑張りました。

 それと、なるべく人の話を聞かない、相手の心の内を聞こうとしない、その感覚がそもそもないというような感じになれば、人と話しているときに噛み合っていない、チグハグ感みたいなものがわかりやすくなるかなと思って、そのあたりも意識しました。

 あとは、善悪の表現も難しいところで、しずかが悪に見える瞬間もあるけど、彼女の言動はなるべく衝動的なものに、グレーなものにしたいっていう思いがあったので、善悪はっきりつけすぎない意識を持ちながらお芝居ができたらいいなと考えていました。

――助けてあげたいけど、みたいな気持ちが入っちゃいそうですね。

上田:ただ、しずかの感覚もわかるんです。うまくいかなくて、コミュニケーションがなんか成り立たない、ずっと地面を掘り続けているような時期は私にもあったから、わかるなと思って。全部がわかるって言ったらちょっと乱暴ですけど、あのときの引き出しを引っ張り出して「こう思ってたな」「こうだったな」って思いながら演じていったので、光の方から闇を見てる感じにはならなかったのかもしれないですね。

――小原さんはいかがですか?

小原:私は、「寄り添わなくては」と先ほど(インタビュー前編にて)申し上げたんですが、そうはいっても何もかもわからなかったんです。実体験もないですし……。まりなは結構感情的になるシーンが多いのですが、怒る、泣くっていうのは勢いがある感情なので、極端なことを言えばどういう言い方でも成立はするんです。だから家でたくさん練習はするのですが、実際に掛け合いをしてみて、そのときの勢いで出たものが逆に生々しいんじゃないか、とも思っていました。

 ただ、もうひとつ自分の中で不安な点があって、怒りをあらわにするキャラクターに必要なのは、もっと強い音を出せる人なのではではないかって思っていたんです。私はどちらかというと声のキーは高い方なので、あの感情の起伏が大きい彼女の声になれるのだろうかと思っていました。不安も抱えたまま現場に挑んで、第1話の収録はそれでも一生懸命向き合って演じていたのですが、終わった後、普段はなかなか聞かないんですけど、「なんで私になったんですか」って質問を飯野(慎也)監督と音響監督の明田川(仁)さんにしました。

 そうしたら、「アニメはデフォルメされた世界だから、こういう系統はこういう声質の人、みたいなイメージがあると思うけど、実際の世界だとそんなのないじゃん。だから逆にそういう行動をしなさそうな声の人がリアルなんじゃないか、っていうのもあった」という話をしてくださったんです。それで自分の中の不安みたいなものがほどけていって、2話以降、より挑戦できました。すごくいろんな方に助けていただいたというか、ヒントをいただきながら演じたな、という印象でした。

■その瞬間を生きる―先を知るか、いまを感じるか

――演じるときは、先の展開を考慮した上で演じますか?それとも考えずにそのときの感覚を重視しますか?

上田:私はあえて、アフレコごとにアフレコする部分だけ原作を読み返して、その先は読まずにやっていたので、大まかなしずかの変化みたいなものはおぼろげにはあるけど、あまり想像せずに、そのときそのときで演じていたと思います。

――それは今作だからですか?それともほかの作品でもそういった演じ方をされますか?

上田:話が進むにつれて、きっと見えなかったしずかの表情もどんどん見えていくと思うんですけど、特別、人に隠している裏がある子ではないと思うので、今回はそこにはあまりこだわりはありませんでした。

――小原さんはいかがですか。

小原:私はどちらかというと並行して読むタイプなので、次に演じる分を読んで、なるほどって思いながら演じていました。オーディションに挑むにあたって、全部読んだのでわかっているはずなんですが、最後の展開までずっと頭に入れながら毎回の収録に挑んだわけではないので、その日その日で向き合っていたと思います。全体を知った上で、バランスをとって演じられる方もいらっしゃるとは思うんですけど、私はどこか感覚で演じている人間でもあるので、そこまで器用なことはできないなと思います。一つひとつ、このシーンでこうっていうのをベースに演じていきました。

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