山形MF坂本亘基が切り拓く左SBの“新境地”…佐藤暫定監督「コウキだったらできるんじゃないかなと」

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2025年06月23日 06:32  サッカーキング

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山形MF坂本亘基 [写真]=J.LEAGUE
 J1昇格有力候補と目されながら、前半戦を終えて4勝5分け10敗でまさかの17位。J3降格圏もじわじわと迫る中、モンテディオ山形は18日に渡邉晋監督との契約解除を発表し、佐藤尽暫定監督のもとでJ2後半戦初戦に臨んだ。

 ブラウブリッツ秋田との“奥羽本戦”。「シーズンスタートから取り組んでいたシステムなので、選手がいろいろと考えることを少なくした(佐藤監督)」と山形はトライ中だった3バックではなく、慣れ親しんだ『4-2-3-1』布陣でキックオフを迎えた。秋田に2度リードを許す苦しい展開となった一戦は、試合終盤の81分に西村慧祐が同点弾を決めると、勢いそのまま86分にディサロ燦シルヴァーノがゴールネットを揺らし、今季初の逆転勝利。連敗を4で止め、6試合ぶりの白星を掴んだ。

 佐藤監督は「ビハインドを負った展開から追いついて、またビハインドを追いついてという中で、選手が逞しくその瞬間瞬間に相手を上回ってくれたことが、今回の勝利につながった」と総括。タイムアップのホイッスルが鳴った瞬間は、佐藤監督を中心に山形ベンチ前では輪になって久々の勝利の喜びを分かち合った。「くじけそうになった瞬間がきっと何回もあったと思います。それでも全員が諦めず、結果を出した時に自然とお互いを称え合うような形で、あのような光景になったのだと思います。みんなに感謝しています」と締めくくった。

 立ち上がり5分に失点を喫したが、嫌なムードを払拭したのは坂本亘基だ。失点から4分後の9分、抜け出した藤本佳希の粘りから國分伸太郎がワンタッチでクロスを送り坂本がワンタッチで押し込む。「あれはもうシン君(國分)のパスが全てでした。逆サイドのクロスに入っていくのは決まりなので、それを遂行しただけ」と坂本。天皇杯2回戦の鹿児島ユナイテッドFC戦を含め、これで公式戦3戦連発となった。

 66分にセットプレーから秋田に勝ち越しを許し、追いかける山形は77分に左サイドバックの吉田泰授を下げて土居聖真を投入する。「左サイドバックは練習でも試していたので、特に違和感はなかったです」と坂本が1列ポジションを下げ、左サイドバックに入った。切れ味鋭いドリブルが持ち味のアタッカーの坂本だが、サイドバックの経験は「ない」という。それでも攻守両面で見事ミッションを遂行し、先発フル出場で勝利の立役者となった。

 坂本の起用方法について、佐藤監督は「より攻撃的に行きたいという時に、左サイドをより駆け上がるようなオプションが欲しいと思っていました。吉田泰授も前半からそういうシーンがよく見られたと思いますが、もう一つオプションが欲しいなと思った時に、亘基だったらできるんじゃないかなと。試合形式のトレーニングで何回かやってもらっていたのですが、本人が前向きにトライしてくれた」と説明。坂本自身も「守備の1対1の対応は負けない自信があるので、そこを買われて使われているのかなと思います」と新たな挑戦を前向きに捉えている。

 山形は敵地で勝ち点3を積み上げ、秋田を抜いて15位に浮上した。上位陣との勝ち点差はまだまだあるが、依然として混戦が続くJ2において連勝できれば一気にジャンプアップも可能だ。「戦術どうこうというよりも、今日は本当に勝ちたい気持ちが全面に出せた試合でした。まだ1試合勝っただけなので、これを継続して勝ちを重ねていきたいと思います(坂本)」。3発逆転勝利で反撃の狼煙を挙げた山形、そして新境地を切り拓く坂本の活躍にも注目だ。

取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)

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