「技術評価」基準修正か 地域貢献で競合と差 群馬・桐生市入札妨害

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2025年06月23日 08:42  毎日新聞

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毎日新聞

8月恒例の「桐生八木節まつり」。3日間で約50万人が訪れるとされる=桐生市本町5で2023年8月4日午後7時、大澤孝二撮影

 群馬県桐生市役所の建て替え工事を巡り、特定の業者が有利になるように入札公告案を修正させたとして県議の相沢崇文容疑者(49)ら4人が逮捕された事件で、工事を落札した関東建設工業(本社・太田市)らの共同企業体(JV)は、技術評価点のうち桐生市内の下請けへの発注や8月恒例の「桐生八木節まつり」の清掃参加などの地域貢献によって高評価されたことが市の入札結果報告書で分かった。入札価格は競合するJVと同額で、容疑者側は相手と差をつけるため、地域貢献を含む技術評価点の基準を修正させた疑いが浮ぶ。


 市の入札結果報告書によると、工事の入札は企業のダンピング防止などを目的に、市で初の総合評価落札方式による条件付き一般競争入札で実施した。入札予定価格は事前公表のため、容疑者側にとっては、入札公告案で示される技術評価点の内容や評価基準を事前に知り、有利な評価基準にする必要があったとみられる。


 この工事では計100点で評価を行い、配点は入札価格70点、技術提案23点、施工実績など7点とした。応札したのは関東建設工業のJVと、佐田建設(本社・前橋市)のJV。入札価格はともに約62億4700万円で、それぞれ70点を得た。


 差がついた技術提案の部分は、桐生市契約等業者指名選考委員会(委員長・森山亨大副市長)が評価。5点満点の地域経済貢献(工事関連)で、関東は市内の下請けに電気設備工事や機械設備工事を発注する提案で満5点を得た一方、佐田は2・226点にとどまった。地域活性化では、関東が桐生八木節まつり終了後の清掃参加や堀マラソンの運営ボランティアの協力などで2・2点と評価されたのに対し、佐田は1点だった。


 このほか工期短縮は、関東がタワークレーンを2基配置するなどの提案で2点を得て、佐田は1点。工事車両通行時の安全対策や、騒音防止などの環境対策も、関東の評価点が佐田を若干上回った。最終的に総合評価点は関東が88・4点、佐田が82・518点となり、6点近くの差がついた。


 この事件では相沢容疑者の他、公契約関係競売入札妨害容疑で「関東建設工業」営業部長、石原秀光容疑者(75)と、同社の下請けに入った「グンエイ」役員の2人を逮捕。逮捕容疑は、桐生市の新本庁舎建設工事の一般競争入札で、22年6月中旬以降、入札公告案を同社に有利な内容に修正させたうえで、同10月19日に落札したなどとしている。【遠山和彦】



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