連携ミスを好機に。自責を認めたチェイス・ブリスコが超燃費走行でJGR移籍後初勝利/NASCAR第17戦

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2025年06月24日 18:30  AUTOSPORT web

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チェイス・ブリスコ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)がJGR移籍後初優勝を飾っている
 大盛況の国際戦メキシコ・ラウンドを経て、レギュラーシーズンも残すは10戦。ポコノ・レースウェイで争われた2025年NASCARカップシリーズ第17戦『The Great American Getaway 400(ザ・グレート・アメリカン・ゲッタウェイ400)』は、クルーチーフの指示を聞けなかったことを謝罪し、責任を認め、そこから懸命の燃費走行を敢行したチェイス・ブリスコ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が「残り2〜3周分は不足する」と予想された燃料タンク残量で粘りを見せ、僚友デニー・ハムリンを従えてのJGR移籍後初優勝を飾っている。

 チャンピオンシップポイントランキングでも首位に立つウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)のフリープラクティス(FP)最速で幕を明けたポコノの週末は、その後の予選からトヨタ陣営が予想どおりのスピードでオーバルを支配する展開となり、同地で7度の優勝を誇るハムリンが躍動。

 メキシコを欠場した週末に婚約者のジョーダン・フィッシュとの間に第三子が誕生したハムリンは、代役のライアン・トゥルーエクスから引き継ぎ11号車カムリXSEのシートに復帰して早々、この2.5マイルの“トリッキー・トライアングル”で自身5回目のポールポジションを獲得してみせた。

​​「練習走行からステップアップできることが多いね。うまく調整できるんだろう」と、予選でクラッシュを喫したバイロンとは対照的にFPの27番手からジャンプアップし、新たな命の誕生を祝うポールウイナーを射止めた父ハムリン。

「ここであまりパニックになったことはないね。もちろん、他のドライバーよりも少し休養が取れていたから、少し速く走ることができたんだろう」

 そのままフロントロウに並んだクリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)を従え、決勝でも32周をリードしたハムリンが、こちらも今後の新パートナー『Bob's Discount Furniture(ボブズ・ディスカウント・ファニチャー)』との複数年契約を祝うステージ1制覇を成し遂げるなか、レース中盤以降は各陣営のスプリット戦略によってトラックポジションが混沌とし、複数のドライバーが上位をキープする展開へと変わっていく。

 ステージブレイク直後に大半の車両がルーティン作業を迎えるなか、ここで好機を捉えたブラッド・ケセロウスキー(RFKレーシング/フォード・マスタング)も、首位に居た55周目のコーションでわずかに1周早い判断でピットロードに飛び込み、レーンクローズドで後方へと追いやられてしまう(最終ステージ残り36周では1周ステイの“逆の判断”でふたたび勝機を逸することに)。

 各陣営のクルーチーフ、スポッター、そしてドライバーの判断が重要度を増すなか、残り40周でラップリーダーに立っていたブリスコも指示より早く最後のピットストップに向かってしまい、ここでの連携ミスによりフィニッシュまでの燃料を充分に補給することができず。クルーチーフであるジェームズ・スモールの指示を聞き漏らしたことを詫び、その後は距離を稼ぐ作業に懸命に取り組むことになる。

 序盤からライリー・ハーヴェストやダレル"バッバ"ウォレスJr.(トゥエンティスリー・イレブン・レーシング/トヨタ・カムリXSE)、マイケル・マクドウェル(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)らが右フロントのブレーキローターを破損する過酷な条件のなか、他の上位勢が137周目のコーション下で最後のピットストップを行うと、残り30周でブリスコがふたたびリーダーの立場でレース再開を迎える。

 ここから風除け役の先頭走者を担いつつ、それでも燃費セーブに徹したブリスコは、僚友ハムリンを従えてホワイトフラッグへ。最終的にはレースハイの160周中72周をリードし、燃料をもたせてトップでチェッカーを迎えた。

「本当に大変だったよ」と最後は直ドリからのドーナツ披露でタンク残量の余裕も示してみせたブリスコ。「ちょっと変な感じだ。ハードにドライブしていたわけじゃないから、限界ギリギリだったわけでもない。ただ、追いかけてくる選手……それも史上最高の選手(ポコノ7勝のハムリンと同2勝のライアン・ブレイニー)に追いかけられるのは、本当に辛かったよ。燃料を節約したり、その他あらゆることを気にしながらね……」

 元王者マーティン・トゥルーエクスJr.の後任として今季よりJGRに移籍し、開幕戦デイトナでのポールを含む3回の予選最速を記録してきたブリスコにとって、これが今季初、そしてチームとともに祝う初優勝となった。

「僕たちのレースチームにとって最高の一日だった。正直に言って、今年初めてうまくやり遂げられたレースだ。バス・プロ・ショップス、ジョニー・モリス、そしてトヨタをヴィクトリーレーンに導くことができて……ジョー・ギブス・レーシングは僕に大きなチャンスを与えてくれた。誰もが僕のことを第一候補としていたわけではなかったと思うけど、ここまで来てついに勝利を収めることができて本当に誇らしい気持ちさ!」

 併催されたNASCARクラフツマン・トラックシリーズ第14戦『DQS Solutions & Staffing 250(ミラーテック・バッテリー200)』は、自身初のポールポジションを獲得し、決勝でも最後の20周をリードしたレイン・リッグス(フロントロウ・モータースポーツ/フォードF-150)が今季初優勝。

 同じく併催のNASCARエクスフィニティ・シリーズ第16戦『Explore the Pocono Mountains 250(エクスプロア・ザ・ポコノ・マウンテンズ250)』では新進気鋭のルーキー、コナー・ジリッシュ(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が終盤のスプリントを制し、若き才能にとってキャリア初のオーバル制覇を成し遂げている。

https://www.youtube.com/watch?v=h1Fer9xXOP8

[オートスポーツweb 2025年06月24日]

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