
(左から)パーソナリティの山崎怜奈、橋本之克さん
◆行動経済学とは?
れなち:橋本さんは今年2月に「世界は行動経済学でできている」(アスコム)という本を出版されましたが、そもそも“行動経済学”とはどんな学問なのでしょうか?
橋本:簡単に言うと、経済学と心理学の要素をあわせ持った学問です。特に人間の不合理な選択や行動に注目し、不合理さのパターンや合理的ではない仕組みなどについて、実験・行動観察をもとに解明しています。
れなち:例えば、行列ができていると“あそこは人気店なんだ”って思ったりするのも行動経済学で分析できるんですよね?
橋本:そうなんです。“バンドワゴン効果”というものがありまして、例えば、山車の上に音楽隊がいて、それを車が引きながらゆっくり進んでいく、それを見た人々が「なんだろう?」と付いていく、これがバンドワゴン効果です。
れなち:なるほど。あと “ラベリング効果”というのは何でしょうか?
橋本:“人にラベル・レッテルを貼ると、その通りに動いてしまう”ということがあるんですよ。
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橋本:企業がよく使っていまして、例えば、東京ディズニーランドでは働く人のことを“キャスト”と言いますが、これは普通、お芝居やドラマで演じる人のことを言いますよね。東京ディズニーランドでも、働く人をキャストと呼ぶことによって、その人自身が(お客さまに)見られてもおかしくないように振る舞うようになると言いますか。
れなち:世界観に自分が溶け込むように動くような?
橋本:そうです。
れなち:それが行動経済学的にも有利に働いているのですか?
橋本:そういうふうに良い意味でラベリングすることで、人々をいい方向に動かすことができる、その法則を明らかにしているのが行動経済学です。
◆モテたいときに使える“行動経済学”
れなち:人間にはいろいろな願望がありますが、それらに応用できる行動経済学もあるんですよね?
橋本:あります。
れなち:例えば、モテたいときはどうすればいいのですか?
橋本:一般の異性関係にも通じることですが“キャバクラの三段活用”というものがあります。まず“スポットライト効果”という心理がありまして、人間って、それほど(周りの人に)注目していないじゃないですか。けれども、例えば「そのネクタイいいですね」なんて褒めたりすることで、まるでスポットライトが当たっているかのように“自分が注目されている”と思い込ませることです。
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橋本:そうです。まずは“(あなたに)注目している”ということを認識させるのが第一段階。第二段階は“エンダウド・プログレス効果”と言って、ゴールに向けてスタートからちょっとでも進むと、どんどん先に進みたくなることです。
実際にあった実験で、10個でゴールするスタンプカードがあったとき、既にスタンプが1つ押してあるカードのほうが、押していないカードよりも最後までコンプリートする確率が高かったという結果があるんです。
れなち:最初に1個押してあるだけで?
橋本:(お店に)行こうという気持ちになるんですね。キャバクラの場合は「俺のことを注目してくれているぞ」と思わせることで、スタンプが1個押されている状態になるわけです。そうすると、スタンプをどんどん押そうと繰り返しお店に通うようになるという。
れなち:相手に“これは進展が早いぞ”と思わせて、関係を深めたくなるような行動を取っているんですね。
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れなち:“あともうちょっと頑張れば……”じゃないですけど、(繰り返し通ったことで)今まで払ったお金を無駄にしたくないみたいな感情が生まれている?
橋本:そうです。これ以上、キャバクラに通っても進展がないことは薄々わかっているけど、それまでに払ったお金や通った時間、労力を無視できないんですよね。この考えは、キャバクラだけでなく人を惹きつけるために応用できます。
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<番組概要>
番組名:山崎怜奈の誰かに話したかったこと。
放送日時:毎週月〜木曜 13:00〜14:55
パーソナリティ:山崎怜奈
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