『ヴィーマックRD350R』群雄割拠のGT500へ挑んだ準プロトGTカー【忘れがたき銘車たち】

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2025年06月25日 17:40  AUTOSPORT web

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2003年の全日本GT選手権第6戦ツインリンクもてぎを戦ったVemacR&Dダンロップ350R。柴原眞介と密山祥吾がドライブした。
 モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは2003年の全日本GT選手権GT500クラスを戦った『ヴィーマックRD350R』です。

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 2002年全日本GT選手権(JGTC)の第2戦富士スピードウェイラウンド。この一戦において、まるでル・マン24時間レースなどを戦うスポーツプロトタイプカーの如きフォルムの1台がGT300クラスに登場し、デビューレースでいきなりポール・トゥ・ウインを飾った。そのマシンの名は『ヴィーマックRD320R』。

 それまでのGT300クラスにおいて、量産スポーティカー/GTカーをベースにモディファイされた、ある種チューニングカーの延長のようなマシンが主力となっていた。そんななか、JGTCのために生み出され、ホモロゲーションを取得して参戦してきた純レーシングカーであるヴィーマックの登場は、ライバルたちに大きな衝撃を与えた。

 ヴィーマックは初陣のあと、さらに2勝を挙げてトータル3勝をマーク。チャンピオンこそ逃したものの、この年のGT300クラスで唯一の複数回優勝という記録を残した。そして、初年度にして好成績を収めたヴィーマックは、翌2003年にGT500クラスへのチャレンジを決断する。

 さらなる高みへ挑むにあたり、RD320RのシャシーをベースにGT500クラス用のタイヤを装着するため、加えてエアロダイナミクスをさらに洗練させる目的で、ボディの全長と全幅を拡大。さらにはRD320RではホンダNSXに載せられていた3.2リッターV6のC32Bエンジンをチューニングして搭載していたが、GT500クラスに向けてザイテック製の3.9リッターV8に換装した。

 そうして生み出されたのがGT500クラス仕様のマシン、『ヴィーマックRD350R』である。

 RD350Rは、富士スピードウェイで開催された2003年JGTC第2戦でデビューを果たす。しかし、GT300で見せた勢いをそのままに、とはならなかった。

 2025年現在と同じように、すでにニッサン、トヨタ、ホンダのワークスマシン勢が群雄割拠という状況だった当時のGT500において、GT300で驚くべきスピードを見せたヴィーマックといえど、3メーカーのマシンには歯が立たたなかったのだ。最終的にこの年の決勝での最高位は9位というリザルトでシーズンを終えることになった。

 ヴィーマックは、翌2004年にエンジンをM-TEC製の4.5リッターV8に換装して、さらにシャシー&空力性能を大幅に向上させたRD408RでGT500クラスにスポット参戦するも結果は奮わず。このシーズンをもってヴィーマックのGT500へのチャレンジは幕を閉じた。

 その後、ヴィーマックのマシンはプライベーターたちの手によって再び主戦場をGT300クラスに移し、2010年代にかけて息の長い活躍を続けることになっていくのである。

[オートスポーツweb 2025年06月25日]

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