
爆笑問題の太田光さんと映画監督の岩井俊二さんが「高畑勲展−日本のアニメーションを作った男。」(6月27日〜9月15日・麻布台ヒルズギャラリーで開催)オープニングセレモニーに出席しました。
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高畑勲作品の大ファンでも知られる太田さんは、“フランスアニメ「王と鳥」の上映会があって、高畑監督が「これが実は私の原点だ」と対談したのが初めての出会いでした” と振り返り、最初の印象について聞かれると、“僕はいつもこんな感じなんで監督は引いてましたね(笑)。監督はおとなしい方でした” と明かしました。太田さんは “その後、「かぐや姫」の現場に取材で行きました。助手の話を聞きながら、「監督が一個始めると大変なことになる」” と、スタッフ皆がぼやいていたとのこと。“作業が緻密で「これでいいや」を許さないから何度も突き返され、ノイローゼになるぐらいやらされると聞き、高畑監督のアニメーションに関するこだわりの強さというのを感じました” と熱く語り、仕事に対する妥協を一切許さない姿勢に震撼したようでした。
また、 “高畑版” の「赤毛のアン」を幼少期に観ていたそうで、“毎回号泣でした” と明かし、“今年、僕も還暦ですが、だんだん分かってきたことは、映画・アニメとかはセリフやストーリーをメインに考えちゃうけど、高畑さんはそこに人間の仕草だったり、アンの一挙手一投足の動きをリアルにすることで、感情が伝わってきた” と分析。“セリフ以上に体の動きで伝え、当時アニメは今よりもっと雑だった中、緻密さを増幅させて伝えてきたと。今になって高畑さんの偉大さが分かった” と考察しました。
これに司会を務めていた武内陶子さんは、“私もちょうど還暦になるから、まったく同じに感じました” と同調すると、太田さんは“年上かと思った”と返し、武内さんも負けじと“私は年下かと思っていました”と応戦。太田さんは “いま、女子アナにいろいろ言うとヤバいんでね。どうも田原俊彦です”とボケて会場を笑わせていました。
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イベント後の取材では、最近気になるエンタメについて聞かれると “さぁ?” とトボケつつ、“それは日々起きているから、どうしたもんかと。僕も当事者ですからいろいろありますけど…” と言葉を選びながら、 “高畑さんが「『火垂るの墓』は反戦映画という一言でくくらないで欲しい」っていう部分に関して、僕はすごく共鳴する”と答えました。そして今の社会のあり方について、“日本人、もちろんマスコミも僕も含めて「人権」という言葉に振り回されているんですよね。振り回されつつ、ああでもない、こうでもないって、もがいている状態だと思うんです。それが昨今いろんな意味で、まぁフジテレビ問題以降、初めて人権っていう言葉をどうやって解釈していいのかっていうのは、日本中がたぶん右往左往している状況だと思うんです”と語りました。そして太田さんは、“これ全部、遠回しにトシちゃんのことを言ってるんですけど” とおどけつつも、“我々は成長しなきゃいけない、その最中だと思う” と力をこめました。
さらに、“その人間の滑稽さは、いわゆる「人権」という一つの言葉の中ではとても収まり切れないもので、人間というのは踏み出したりもするし、僕がこうして言葉で説明するより、こうやって作品として一人一人が言葉で括られた以上のものを感じとる事の方が大切なんじゃないか。「法令順守」っていいますけど、法に書いてある以上のものが人間を取り巻いて(その中でみんな)生活しているんだ、ということがいちばん重要なことだと思っているので、僕らもそれをネタにし続けること。それを高畑さんは生涯を通してやり続けたんだと、そう今は思っていますね” と、自身の考えを伝えていました。
【担当:芸能情報ステーション】