鹿児島県・種子島宇宙センターで打ち上げ準備作業が進むH2Aロケットの最終50号機。右下のロゴには一般から応募があった2245件の応援メッセージが印字されている(JAXA提供) 日本の宇宙開発を四半世紀にわたり支え続けたH2Aロケットが、29日未明に打ち上げられる50号機で運用を終える。98%に迫る成功率と天候以外の要因による延期が少ない「オンタイム打ち上げ率」はいずれも世界最高クラス。後継のH3ロケットへとスムーズに引き継ぐためにも、50号機で有終の美を飾りたいところだ。
H2Aは2段式の液体燃料ロケットで、2001年に運用開始した。これまでに打ち上げた49機中、失敗は03年の6号機のみ。高い信頼性を誇り、気象衛星「ひまわり」や小惑星探査機「はやぶさ2」など数々の衛星や探査機を打ち上げてきた。H2Aの第1段エンジンを2基に増やした強化型のH2Bロケットも9機すべてが成功。国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給の役目を果たした。
50号機は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と環境省などが開発した温室効果ガス・水循環観測技術衛星「GOSAT(ゴーサット)―GW」を搭載する。同衛星には、二酸化炭素などの温室効果ガスを09年から観測してきた衛星「いぶき」シリーズのセンサーと、「みどり2」や「しずく」などの衛星が02年以降に行ってきた降水量や海面水温などを観測するセンサーを搭載。継続してデータを取得することで、長期間にわたる温室効果ガス排出量変化の検出や気候変動予測の高度化などに貢献する。
鹿児島県・種子島宇宙センターでは、打ち上げに向けた整備が進む。一般から寄せられた応援メッセージ2245件を「H2A」のロゴに印字したシールや、同センターがある南種子町が作成したイラストなどが機体に張られた。