
【動画】観る者の真実を揺るがす『でっちあげ』公開記念予告
本作は、第6回新潮ドキュメント賞を受賞した福田ますみのルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮文庫)を、三池崇史監督のメガホンで映画化。
20年前、日本で初めて教師による児童へのいじめが認定された体罰事件。報道をきっかけに、担当教諭の薮下誠一(綾野)は「史上最悪の殺人教師」と呼ばれ、停職処分になる。児童側を擁護する550人の大弁護団が結成され、民事裁判へと発展。しかし、法廷は担当教諭の完全否認から幕を開ける。
解禁となった公開記念予告の冒頭では、週刊誌のページに薮下の実名がはっきりと記載され、テレビからは「悪魔のような教師」「体罰だけでなく、人種差別、自殺まで強要」と責め立てるアナウンサーの声が聞こえてくる。
「いじめを認めてましたよね?」と嫌悪感をあらわにする教頭、「完全にクロですよ、この教師」と確信する週刊誌記者、日本で初めてとなる教師によるいじめの認定に声を荒らげる教育委員会、体罰したと思うと証言する校長に、それを裏付ける情報を提示する精神科医。そして、それらをもとに下された薮下への処分に揺るぎない自信を見せる児童側の弁護士。すべての人々は自身の目の前にある情報を、自分が認識している状況を、”正しい”と信じて疑わない。
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本映像は当事者である薮下と律子の視点が一切含まれず、過熱していく周囲の糾弾とそこに疑問を投げかけるメッセージだけで構成されている。さまざまな情報があふれるこの時代、これは決して作られた物語上の出来事ではなく、すべての人が今“信じて”いるものに疑問符を投げかける「真実に基づく、真実を疑う物語」である本作ならではの映像だ。
場面写真からも、追い詰められる薮下の様子を垣間見ることができる。誹謗(ひぼう)中傷の落書きが散乱する薮下の自宅前に押し寄せる多くのメディアや、出廷してきた薮下を待ち構える報道陣、カメラを構える鳴海と、法廷で主張を繰り広げる湯上谷。自身を取り巻く身に覚えのない状況にほんろうされ、おびえと絶望の色を宿した薮下の表情。くしくも本作の公開日である本日6月27日はメディアリテラシーの日だ。
映画『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男』は、全国公開中。