生活保護減額訴訟の最高裁判決後、「勝訴」などと書かれた紙を掲げ笑顔を見せる原告ら=27日午後、東京都千代田区 「司法は生きていた」。最高裁の正門前では27日の判決後、原告らが「勝訴」などと書かれた紙を笑顔で掲げた。待ち受けていた他の原告や支援者からは「おめでとう」「良かったね」などと大きな歓声が上がり、拍手に包まれた。
入廷前の集会で「是が非でも勝ちたい」と語っていた愛知県の原告千代盛学さん(71)は、支援者に感謝の言葉を述べ、「弁護士の先生に足を向けて寝られない」と頬を緩めた。大阪市の原告小寺アイ子さん(80)も、満面の笑みで垂れ幕を掲げた。
大阪訴訟の原告側代理人、小久保哲郎弁護士は「長い闘いだった」と振り返り、「司法が生きているか問われる裁判だった。役割を果たしてくれてうれしく思う。勝利を喜びたい」とかみしめるように話した。
判決後、国会内で開かれた集会には、オンラインも含め600人以上が参加した。愛知県豊橋市の原告、沢村彰さん(58)は「10年以上闘った。長い道のりだった」と声を詰まらせた。「この判断で終わらせるのではなく、年金や賃金を上げることに役立ててほしい」と期待した。名古屋市の稲垣智哉さん(38)は「国に謝罪をしてほしい」と強く求めた。
原告側弁護団は、物価下落を根拠とした引き下げを裁判官全員が違法と判断したことについて「画期的だ」と評価。「国家賠償も認められるべきだ」と強調した。裁判の長期化で多くの原告が亡くなったことにも触れ、「判決を聞けなかったことは本当に残念だ」と悔やんだ。
弁護団は同日、厚生労働省に対し、被害の回復や再発防止策などを求める要請書を提出した。

生活保護減額訴訟の最高裁判決を受けた報告集会で、声明を発表する原告側代理人の小久保哲郎弁護士(右から4人目)=27日午後、国会内