生活保護訴訟・識者談話
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2025年06月27日 19:31 時事通信社

◇原告の苦しみ伝わった
作家の雨宮処凛さんの話 厚生労働相による裁量権の逸脱が認められ、原告の苦しみが伝わった歴史的判決だ。政治的な思惑が生活保護費引き下げの背景にあったことも社会に分かってもらえると思う。今後も弱者切り捨ての政治であってほしくない。
コロナ禍や物価高騰により、当時と比べ一般の人の生活も苦しくなっている。生活保護基準は他の諸制度とも連動しており、自分の事として捉えてほしい。今回の判決は、セーフティーネットが分厚くなり、皆が生きやすい社会になる第一歩だ。
◇判断過程、厳格に審査
深沢龍一郎・名古屋大大学院教授(行政法)の話 妥当な判決だ。最高裁は法令解釈を丁寧に示しつつ、厚生労働相の判断過程を厳格に審査したと言える。判決はデフレ調整で物価変動率のみを直接の指標とするのであれば、専門的知見に基づいた十分な説明がされる必要があるとし、要は説明不足だったことを示した。国への賠償請求は棄却したものの、保護基準引き下げを違法と判断したことから、国は当然減額分を支払う必要があるだろう。
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