ヒョンデのタナックが今季初優勝。トラブル多発のWRCギリシャでトヨタの連勝食い止める【最終日レポート】

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2025年06月29日 21:20  AUTOSPORT web

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2025年WRC第7戦アクロポリス・ラリー・ギリシャ オィット・タナック(ヒョンデi20 Nラリー1)
 6月29日、南ヨーロッパのギリシャにて、2025年WRC世界ラリー選手権の第7戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』の最終日デイ4が行われ、ヒョンデ・シェル・モービスWRTのオィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヒョンデi20 Nラリー1)が総合優勝を飾った。そして日曜日のみのタイムでポイントを競う“スーパーサンデー”では、TOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が最速となった。また、日本の勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)はクラス9位となった。


■首位争いは引き続き緊迫。中団にはトラブルも続発

 転がる岩や大きな起伏で荒れたグラベル(未舗装路)が主舞台となるアクロポリス・ラリー。最終日デイ4は、デイ3の出走を見送っていたサミ・パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1)や、デイ3でリタイアとなっていたカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)と勝田が復帰した一方、デイ3終了後のサービスでメカニカルトラブルが見つかったグレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)がリタイアを選択した。

 迎えたデイ4は、ふたつのループステージを走る4本のスペシャルステージ(SS)で構成。この日のステージも、路面には尖る岩が散らばり、道幅も狭いため、タイヤトラブルやコースオフなどの痛手を負うことなくタイムを残す走りが求められる。

 デイ3終了時点の首位タナックはすでに43.6秒のリードを築いており、また2番手セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)と3番手アドリアン・フルモー(ヒョンデi20 Nラリー1)との差も1分24秒4と、それぞれギャップが開いていた状況で最終日の幕が開けた。

 スーパーサンデー争いも加わったことで、中団勢にとっては仕切り直しとも言えるデイ4の争いだが、この日もコースクリーンの影響は大きく、出走順に利のあるタナックとオジエのハイペースが引き続き目立つ展開となった。

 この日1本目のSS14から、ふたりは抜群のペースでステージをクリアし、タナックが1.8秒差でステージウイン。3番手タイムのティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)とは17.6秒差となり、スーパーサンデー争いでもタナックとオジエがトップを競い合う展開となる。

 続くSS15は最終パワーステージと同区間を走るSSだが、ここではタナックがステージウインを飾り、さらにギャップを4.5秒広げた。一方、元王者のロバンペラはタイヤトラブルが起きてタイムロス、現王者のヌービルもバンパーにダメージを負ってペースダウンする場面も見られ、その隙にスーパーサンデーの3番手にエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)が浮上した。


■トヨタがパワーステージへ向け出走順チェンジ

 各車はサービスパークでの整備とタイヤ交換を終え、ループの2走目へ。SS16では、パワーステージに焦点を当ててタイヤをセーブする動きもあり、さらにヌービルはエンジンのトラブルかスローダウンしてしまう場面も見受けられた。

 また、勝田とロバンペラはここで出走順をチェンジ。その後のパワーステージで勝田が先にコースインして、マニュファクチャラー登録がなされているロバンペラを有利にするトヨタ陣営の戦略のようだ。

 そんななか、スーパーサンデー争いではタナックがギャップをコントロールしながら2番手タイムに抑え、オジエが1.1秒差でステージウイン。これで、タナックのスーパーサンデー上のリードは5.2秒、総合でのリードは48.8秒となった。

 そして、いよいよ迎えた最終パワーステージでは、各車は上位5台に与えられるボーナスポイントを目指してフルプッシュしていった。ここでも、勝田はタイヤトラブルが起きて交換作業を行うなど、リスクが高いなかでのアタックとなったが、オジエがトップタイムをマークした。

 そして、総合首位タナックは5番手タイムで確実にフィニッシュラインを切った。32.8秒差の総合2位はオジエ、さらに2分37秒差の総合3位はフルモーとなった。そしてスーパーサンデーは、パワーステージで逆転したオジエが制した。また、パワーステージでペースが鈍ったタナックは、ミッショントラブルを抱えながらの走行となっていたようだが、フィニッシュ後は無事にサービスパークに戻ることができたようだ。

 週末を通して、半数以上のラリー1マシンにタイヤトラブルやアクシデントが起きた第7戦ギリシャ。優勝を争った2台は大きなトラブルなくラリーを走り切ったが、デイ2時点での出走順の影響でタイム差が開き、大会前半で先にリードを得たタナックが総合優勝を獲った。これで、ヒョンデ・シェル・モービスWRTは今季初優勝。開幕戦ラリー・モンテカルロから第6戦ラリー・イタリア・サルディニアまで続いたTOYOTA GAZOO Racing WRTの連勝を食い止めた。

 2025年WRCの次戦は、第8戦『ラリー・エストニア』。2年ぶりにWRCイベントとして復活するラリー・エストニアは、フィンランドに地形が近いとされており、今季最初の高速グラベルラリーとなる。第8戦ラリー・エストニアは7月17日(木)から20日(日)にかけて開催される予定だ。

[オートスポーツweb 2025年06月29日]

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  • ミッショントラブルのタナックがサービスパークに戻ることができなかったら面白いと思っていたのに、戻れたのですね。
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