痛恨の“ナット飛ばし”は人材育成がゆえ。コースでのタイムロスも重なり勝利を逃した埼玉Green Brave

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2025年06月30日 07:00  AUTOSPORT web

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GT300トップでピットインするも、左フロントタイヤ交換でナットが飛びタイムロスを喫したGreen Brave GR Supra GT 2025スーパーGT第3戦セパン
 6月28日にマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで開催された2025スーパーGT第3戦のGT300クラス決勝。1周目からピットインまでトップを走行していた埼玉Green Braveの52号車Green Brave GR Supra GTは、ピットストップとコース上でのタイムロスで掴みかけた勝利を逃してしまった。

 18号車UPGARAGE AMG GT3がポール・トゥ・ウインを飾った2025スーパーGT第3戦セパンのGT300決勝だが、スタート後のターン4では野中誠太がドライブする52号車Green Brave GR Supraがトップを奪うと、25周目のピットインまでクラストップを走行していた。

 しかし、そのピットストップ時、左フロントタイヤを交換する際にロックナットが飛んでいってしまうアクシデントが発生。2〜3チーム隣のピットまで転がったナットはタイヤ交換とは別のメカニックが回収するもタイムロスは避けられず、中継映像上で54秒のストップ時間を要し18号車UPGARAGE AMGに逆転を許してしまった。

「あのロスがなければ勝てていましたね。ただ、今回左フロントタイヤ交換を担当したのは、まだ1年目のメカニックなんですよ」と振り返るのは、埼玉Green Braveの近藤收功チーフエンジニア。

「ウチは岡山公式テストに参加していなかったので、そのメカニックは富士公式テストで初めてインパクトレンチを握りました。もちろん練習は重ねていますが、開幕戦岡山はリタイア、第2戦富士ではスタート直後にオレンジディスクが出されてしまったので、ほとんど実戦経験がありませんでした」

 埼玉トヨペットを母体とする埼玉Green Braveは『多くの人たちにクルマの楽しさを伝える、パドックで一番ファンサービスするチームを目指す、サービスエンジニア(店舗メカニック)と共にレースを戦う』という活動方針でレースを戦っている。

 チームは近藤エンジニアや関口慎チーフメカニックをはじめとする埼玉トヨペット・モータースポーツ室所属の専属スタッフに加え、レース時以外はディーラー店舗のメカニックとして働いているサービスエンジニアで構成され、人材育成も担っていることはおなじみだろう。

「今回タイヤ交換をしているふたりは店舗メカニックで、レースから戻ったら普段はお店で働いています。ですので『ミスがあるかもしれない』というリスクは抱えてしまいますが、そこは人材育成の一環です」と近藤エンジニアは続ける。

「その体制のなか、この順位でレースを戦えているので、レベルは本当に高いメカニックだと僕は思っています。今回の経験を糧にしてほしいですし、チームとしてもミスが起こってしまったときの対応を事前に準備する体制を整え、今後もしっかりと戦っていければと思っています」

 そう語る近藤エンジニアだが、実はセパンではピットでのタイムロスに加え、吉田広樹がコースに戻った際、周回遅れの車両が数周にわたり前を塞いだため、1周あたり数秒単位でロスしてしまったことも優勝を逃した原因だと明かした。フィニッシュ時の52号車Green Brave GR Supraと18号車UPGARAGE AMGの差は0.933秒。仮にこのタイムロスがなければ、2台によるトップ争いが終盤展開された可能性もあっただろう。

 近藤エンジニアは「タラレバだらけなのですけど、速さはみせることができたと思っています。得点ではライバル勢にだいぶ置いていかれていますが、有効ポイント制ということを考え、諦めずにポイントを積み重ね、終盤戦では気づいたら上位を争っている存在になれたら良いですね」と、この先を見据える。

「また、埼玉Green Braveはピットストップでの給油マン、タイヤマネジメント、タイヤ交換のガンマンふたり、ドライバーサポートなどを含め、本当に普段は店舗で働いているメカニックたちで構成されているチームです。そういった面では『ディーラーメカニックのレベルの高さ』も見せていければなと思っています」

 次戦となる第4戦はダブルヘッダーのスプリントレースが富士スピードウェイで開催される2025年のスーパーGT。近藤エンジニアによると52号車Green Brave GR Supraは予選と決勝の両方で上位を狙うセットアップを、タイヤ選択を含めて現在考えているとのことだ。

[オートスポーツweb 2025年06月30日]

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