ブロック・フィーニー(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロ)が引き続き主役の座を務め、土曜スプリントの2ヒート、日曜シングルヒート200km完全制覇の“ハットトリック”を達成 オーストラリア大陸北部の連邦直轄地域、ノーザンテリトリー州ダーウィンにて6月20〜22日に開催されたRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ第6戦『ダーウィン・トリプル・クラウン』は、名門トリプルエイト・レースエンジニアリング(T8)のブロック・フィーニー(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロ)が引き続き主役の座を務め、土曜スプリントの2ヒート、日曜シングルヒート200km完全制覇の“ハットトリック”を達成。これで前戦パースに続く5連勝としたうえで、2019年のスコット・マクラフリンに続く週末3戦全勝『トリプルクラウン』獲得の快挙を成し遂げた。
北部準州の首府郊外に位置するヒドゥンバレー・レースウェイにて、今季2025年もおなじみ“Indigenous Round(先住民族ラウンド)”として催された同イベントでは、シボレー・カマロ14台とフォード・マスタング11台の合計25台が、先住民族に敬意を表したスペシャルカラーリングで参戦。特別な先住民族のアートワークをまとった各マシンには独自の物語やモチーフが描かれ、なかにはドライバーへのオマージュを込めたアートワークも含まれている。
その予選では盟主T8陣営内で明暗が分かれ、王者ウィル・ブラウン(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロ)がまさかのミスで14番手に沈み、トップ10シュートアウトへの進出ならず。一方でフィーニーは土曜2ヒート双方に向けたポールポジションを射止めてみせた。
「実は本当にがっかりしていたんだ。最後まで3番手だと思っていたからね。コースの半分を走っていてイライラしていたら、無線で『またポールポジションだ』と言ってくれて、信じられない気分だったよ」と、都合2回の最速合戦を制したフィーニー。
「本当にうれしいよ。ここでダブルポールを獲得できたのは最高だ。このセッションは少し難しかったが、シーズンを通じて予選終盤はユーズドタイヤを使う方が、スーパーソフトを履いたグリーンなタイヤよりも少し競争力があると感じていたんだ」
今季第17戦目のヒートとなったレース1は、ジャクソン・エバンス(ブラッド・ジョーンズ・レーシング/シボレー・カマロ)がターン1出口でバリアに突っ込み早々のセーフティカー(SC)導入を余儀なくされ、リスタート直後には前戦パースで初優勝を飾ったライアン・ウッド(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング)がエンジントラブルでスローダウン。後続がウッドのマシンを避けようと急旋回する事態に陥るなど混乱の展開に。
結果、ジャック・ルブローク(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロ)がウォールに激突し、さらに周回後半にはデビッド・レイノルズ(チーム18/シボレー・カマロ)、ニック・パーカット(マット・ストーン・レーシング/シボレー・カマロ)、リッチー・スタナウェイ(プレミエア・レーシング/シボレー・カマロ)が絡むアクシデントが発生。序盤からSC大活躍の混沌が続く。
レースが本格的にスタートすると、背後の接触ペナルティ騒動にも乗じて義務ピットで2本交換戦略を決めたフィーニーが独走体制を築き、まずは週末最初の勝利を確保した。
そんなフィーニーの好調はレース2でも続き、アントン・デ・パスカーレ(チーム18/シボレー・カマロ)に終始翻弄されながらも、上位陣をコントロールしたレースを展開。さらにピットストップ後は、終盤ヘアピンでのアクシデントでレイノルズがコース上で立ち往生し、ここでSCが導入されたことでフィーニーは連続勝利を確定させた。
「実はレース1でちょっとした逆境に見舞われ、クラッチのトラブルにとてもストレスを感じていたんだ。どう走ればいいのか分からず、ピットレーンへの進入が本当に遅かった」と明かしたフィーニー。
「暑くてストレスがたまり、頭の中はいろいろなことが渦巻いていたが、ここで初勝利を収められて本当に興奮している。レース2の最後は少し拍子抜けしたけど(SC先導決着で)本当に良かった。SCが出た場合に備えて、かなり長く走ってしまったから、あまり楽しめないでいたんだ」
明けた日曜も22歳の躍進は続き、前日とは打って代わり「このラップは本当に満足している」と手応えのあるシュートアウトのアタックを決めたフィーニーが連続ポールを奪っていく。
「昨日のマシンに戻ってみたら、最高だった。ターン1をうまく通過できたし、残りのラップも大丈夫だと確信していた。今年これまでのベストラップのひとつだと思うし、今季9回目の先頭は最高だ。マシンは最高だし、まるでロケットみたい。今日の午後はビッグラップに挑戦するつもりさ!」
その週末最終200kmではスタートからルブロークが粘ったものの、首位を守り切ったフィーニーはピットストップによって一時的に首位の座を奪われた場面でも、フレッシュタイヤを最大限に活用してすぐにトップを奪還。2回目のピットストップもクルーによる完璧な作業で返り咲き、後続に8秒以上の差をつけて優勝を飾った。
「この週末はどんな言い方、表現をもってしても、本当に興奮している。数年前にここでラウンドを制して以来、トリプルクラウンは僕にとってずっと夢のような目標だったんだ」と続けたフィーニー。
「2019年にスコッティ(マクラフリンの愛称)が達成するのを見て、いつか自分がそれを達成できたらどんなに特別なことだろうと思っていた。毎年ルールは変わるが、今年は間違いなく実現するつもりでいた。全レースに勝利し、予選もすべて勝ち上がった。どんなに速いマシンを持っていても、こんな週末を過ごすのは本当に難しいこと。だから、チームを本当に誇りに思っている。信じられないほど素晴らしい週末だった」
これでチームメイトのブラウンに183ポイント差をつけ、フィーニーがランキング首位に立った2025年のRSCシーズン。続く第7戦は約3週間のブレイクを挟み、クイーンズランド州のリードパーク市街地にて『タウンズビル500』が7月11〜13日に開催される。
[オートスポーツweb 2025年07月01日]