空力や信頼性などが向上した『296 GT3エボ』。導入の狙いをフェラーリ耐久レース責任者が語る

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2025年07月03日 19:40  AUTOSPORT web

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スパ24時間レース会期中の2025年6月27日に発表された『フェラーリ296 GT3エボ』
 フェラーリのグローバル耐久レース責任者であるアントネッロ・コレッタが、同ブランドが先週スパ・フランコルシャンで発表した『296 GT3エボ』におけるLMGT3の教訓について語った。

 フェラーリは、WEC世界耐久選手権のLMGT3レギュレーションに適合するために必要だった空力関連の改良のうちいくつかを、2026年にデビューする新型GT3カーに取り入れている。

 イタリアのメーカーはエボパッケージのターゲットが、GT3レギュレーションが適用されるすべてのチャンピオンシップで戦える、単一仕様の296 GT3エボを開発することだと認めた。

「296 LMGT3は、ウイングやサイドスカートなどのエアロダイナミクスが通常のGT3カーと異なる。私たちはいくつかの情報を得て、理解し、その方向性で開発を進めた」とコレッタはSportscar365に語った

「現在、296 GT3エボはすべてのGT3レースに参戦できる唯一のバージョンだ。これは、我々が掲げていた目標のひとつだった。クルマを共有できることが重要だからだ」

「WECでは明らかにクルマは2台しかない。残念ながら2台以上を保有することはできないが、WECでのレースに興味のある顧客はたくさんいる」

「いずれにせよ、我々の目標は仕様をひとつにすることだった。そして、エボキットによってその方向へと進んでいる」

 コレッタは、296 GT3エボにおける新しいパーツの割合については詳細を明かさなかった。296 GT3エボは主に空力、サスペンション、冷却、信頼性の向上に重点が置かれているが、同氏は最新のエボは、先代のエボモデル(488 GT3エボ)よりも包括的なパッケージになっていると明かした。

 296 GT3の導入以来、顧客基盤が大幅に拡大したため、コレッタはエボ導入によるグリッド上の台数が大幅に増加することに期待していないものの、チームにとってより洗練されたパッケージになると考えている。

「顧客ベースは安定していると考えている。エボの発表日の前後は多くの顧客、そして将来の顧客と話をした。また、商業部門の責任者であるアレッサンドラ(・トデスキーニ)から、要望ベースが非常に安定していると聞いている」

「正直に言って、私たちは非常に誇りに思っている。GT3、フェラーリチャレンジ、LMH(ル・マン・ハイパーカー)などにおいて、私たちは今、おそらく最高の瞬間のひとつになっていると言えるだろう」

「私が成功について話すとき、それはスポーツでの成果だけでなく、販売台数全体における成功を意味する」

「私たちは販売台数は公表していないが、2年半で296台以上、6年間で488台を上回っている。これはこのクルマの成功、そしてフェラーリの商業部門の成功、そして我々が顧客に提供できるサポートの成功を示す良い兆候だと考えている」


■デビューは「おそらく」北米で

 コレッタは、296 GT3エボが2026年1月下旬のデイトナ24時間レースで公式戦デビューを果たす可能性が高いことを示唆したが、顧客やIMSAとの協議が続いているため、正式な発表には至らなかった。

 一方、今年12月にマレーシアのセパンで開幕する2025/2026年AsLMSアジアン・ル・マン・シリーズに間に合うかどうかは疑問視した。

「おそらく、デイトナが最初のレースになるだろう」と彼は述べた。「しかし数日中にカスタマーからの回答を把握する必要がある」

 IMSAの規定では、年間1回のモデルチェンジが認められている。これを念頭に、コレッタは次のように付け加えた。

「もし、私たちが決断すれば、古いマシンでシーズンをスタートし、その後新しいクルマに変更することもできる」

「いずれにせよ数日中にIMSAとミーティングを行い、状況を確認する予定だ」

[オートスポーツweb 2025年07月03日]

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