フィギュアスケート男子の22年北京五輪個人、団体銀メダリスト鍵山優真(22=オリエンタルバイオ/中京大)が、伝説のプログラムで世界一を目指す。25−26年ミラノ・コルティナ五輪シーズンのフリー曲を「トゥーランドット」に決めたことが4日、分かった。荒川静香(43)が、同じイタリアでの06年トリノ五輪でアジア初の金メダルを獲得した時と同じオペラ。上演100周年にも重なる節目に、ロンドンのアビー・ロード・スタジオで収録した曲で、歓喜を再現する。
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五輪制覇へ、最後のピースに「金プログラム」がはまる。関係者によると、鍵山の新フリーは開催国イタリアの名作オペラ「トゥーランドット」。20年前のトリノ大会で荒川が、欧米以外から男女を通じて初の頂点に立った演目だ。羽生結弦に続く日本史上3人目となる優勝を目指す鍵山が「金メダルへの挑戦」と「乗り越える力」を込めて滑りたい、と熱望した。全日本合宿に参加中の本人の口から5日、明かされる。
浅田真央らと世界一に輝いた振付師ローリー・ニコルさんと「イタリアの観客への敬意と特別な思いを込めて」選曲した。「勝利の確信」が歌われる名曲で、荒川は04年の世界選手権でも初V。鍵山の演技にも、代名詞のイナバウアーが織り交ぜられているという。
日本の昭和元年に当たる1926年4月にミラノで初演、五輪イヤーに100周年の節目を迎える。多くのスケーターが滑ってきた曲だからこそ「新しい風を吹き込む挑戦をしたい」。24年5月にワシントン・ナショナル・オペラで初演された、新たなフィナーレを含む「トゥーランドット」にニコルさんが着目した。
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その音楽を手掛けた、米グラミー賞の受賞歴がある作曲家クリストファー・ティン氏に、鍵山のためだけの4分間の特別な編曲を依頼。収録は、ビートルズで知られる“世界一有名な”ロンドンのアビー・ロード・スタジオで行われた。英国のロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団×イングリッシュ・ナショナル・オペラのコーラスという豪華コラボで演奏。「誰も寝てはならぬ」の旋律に新たな「最後の楽章」を加えた同氏は、約2カ月間の準備を形にし「ニコルの美しい振り付けとシンクロし、優真の驚くべき運動能力と芸術性によって氷上にスリリングな生命が吹き込まれた」と自信をみなぎらせている。
鍵山は前回22年の北京五輪に18歳で初出場し、日本フィギュア史上最年少の銀メダル。世界選手権でも3度の2位を誇る。一方で厚かった最後の壁を破りにいく。ショートプログラム(SP)曲は、ピアニスト角野隼斗(29)らの演奏によるスティービー・ワンダー「I Wish(回想)」と発表済み。新たに判明したフリー曲を携えて、日本時間26年2月14日、伝説を再現して金の輝きを放つ。
◆荒川静香と「トゥーランドット」 05−06年シーズン途中からフリーで演じた。金メダルに輝くトリノ五輪直前の06年1月に、世界選手権初優勝を飾った03−04年の勝負曲の再演を決めた。振り付けはコーチだったニコライ・モロゾフ氏が担当。トリノ五輪の開会式では世界3大テノールのパバロッティが歌い「運命を感じました。開会式で歌われた曲で滑れることに幸せを感じます」とかみしめた。本番では代名詞イナバウアーを織り交ぜ、SP3位から逆転で金メダル。04年世界選手権もフリーの逆転で制しており「勝利を呼ぶ楽曲」として自身を代表するプログラムになった。
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