【陸上】34歳飯塚翔太、変わらぬ情熱「競い合って日々燃えている」後輩らとの練習が刺激に

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2025年07月05日 07:00  日刊スポーツ

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5月、セイコー・ゴールデングランプリ男子200メートル決勝で3位入賞した飯塚

陸上の日本選手権が4日、東京・国立競技場で開幕した。男子200メートルには御前崎市出身の飯塚翔太(34=ミズノ)が15年連続でエントリー。5日の同予選に出場する。


9月の世界選手権東京大会の出場権をつかめば、5大会連続6度目の代表入りとなる。参加標準記録(20秒16)には届いていないが、世界ランキングでは出場圏内に位置。切符獲得へ前進するべく、今大会で上位進出を目指す。


   ◇   ◇   ◇


飯塚の心は34歳となった今も、燃え続けている。「やればやるほど、どうすれば速く走れるか分からなくなる。これが正解というのはなくて、逆に言えば全てが正解かもしれない。それをどうチョイスするのか。面白いですよ」。瞳を輝かせながら、6度目の世界選手権への道を歩んでいる。


年齢を重ねても第一線で走り続けることができるのは「普段の練習で競っているから」と説く。かつては1人で練習することが大半だったが、21年東京五輪以降は中大の後輩らと一緒に取り組むようになった。


「1人でやっていると、形にこだわりすぎたりして、あれこれ考えてしまう。それに自分が速くなっているのかも実感しにくい。でも誰かと走れば、勝敗がついたり、引き離したりして、自分の力が分かる。1人でやっていると、タイムは出ない。競い合って、日々燃えているのが、自分にとっては大きい」


仲間との切磋琢磨(せっさたくま)で力を高め、昨夏はパリ五輪に出場。日本男子短距離種目での4大会連続代表は朝原宣治(96〜08年)以来2人目の快挙となり、陸上の日本選手団男子主将も務めた。


競り合おうとする姿勢は、今年も変わらない。現在の日本男子200メートルは、5月に日本歴代4位のタイム(20秒12)をマークした鵜沢飛羽が筆頭格。飯塚は「良い刺激をもらう」と12歳後輩の成長に目を細めつつ、同時に「彼に刺激を与えないといけない」と口にする。「僕も(世界選手権の)参加標準や自己ベスト(20秒11)を狙いたい。その気持ちは忘れずにいきたい」。ベテランとしての思いも胸に、今年は3月から11レースに出走。6月の台湾オープンでは今季日本人3番目の20秒54で制し、健在ぶりを示した。「去年よりも2〜3倍の練習量ができている」と手応えもある。


見据えるのは、今秋の世界選手権。自身が生まれた91年以来、34年ぶりの東京開催に気合が入っている。「縁を感じる。しかも東京五輪と同じ国立競技場が舞台。いろいろな思いを抱きながら、スタートラインに立ちたい」。出場権を得るには、日本選手権で上位に入ることが必須。変わらぬ情熱を走りに込め、今年も世界舞台への道をひらく。【藤塚大輔】


◆陸上世界選手権の一般種目の代表選考 各種目の出場枠は最大3(女子やり投げは4)。パリ五輪で入賞した日本人最上位は1月1日から日本選手権までに参加標準記録を突破すれば内定。また8月24日までに標準記録を突破して日本選手権で3位以内に入れば、代表に大きく近づく。開催国枠は、参加標準記録や世界ランキングなどの選考条件を満たした選手が1人もいない種目に適用される。


◆飯塚翔太(いいづか・しょうた)1991年(平3)6月25日生まれ、静岡・御前崎市出身。浜岡中、藤枝明誠高、中大を経て、14年からミズノ所属。10年世界ジュニア選手権200メートルをアジア人で初制覇。五輪は12年ロンドン大会から4大会連続で出場し、16年リオデジャネイロ大会400メートルリレー銀メダル。世界選手権は5度出場(13、17、19、22、23年)。日本選手権は4度優勝(13、16、18、20年)。自己ベストは100メートルが10秒08、200メートルが20秒11。185センチ、80キロ。勝負飯はうなぎ。

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