実話を元にした作品で実在の人物だったり、いたかも知れない架空の役を演じる…俳優にとって1つの挑戦的な作品で、北香那(27)が新境地を開いた。
公開中の映画「『桐島です』」(高橋伴明監督)で毎熊克哉(38)が演じた、連続企業爆破事件に関与したとして指名手配され49年の逃亡生活を送った、桐島聡容疑者(被疑者死亡で不起訴処分)と相思相愛のミュージシャン、キーナ役を好演。実在したかのような存在感を見せた。
大きな見どころの1つが「内田洋」を名乗り日常を生きた桐島容疑者が、バーで出会ったキーナと河島英五さんの名曲「時代おくれ」をデュエットしたシーンだ。同容疑者が神奈川県藤沢市のバーに通い音楽を楽しんだ事実こそあれ架空のシーンだが、キーナは実在したかのように生々しい。
手掛かりは梶原阿貴氏(52)の脚本くらいしかなかったが「苦労は一切なかった。いたか、いないか定かではないけれど、恐らくそういう存在はいたと思う。桐島と逆の希望に満ちあふれた女性でいたいイメージ」で役を作り上げた。弾き語りを披露したギターも、趣味で弾く自前の1本だ。
役を確たるものにしたのは、同じ事務所所属も初共演の毎熊が数少ない資料で作り上げた桐島の存在だ。自身、感受性が強く憑依(ひょうい)型と呼ばれるが「憑依か役作りか分からない感情を投げかけられた共演場面を見て、自分の顔の違いを感じた」という。「相手へのリスペクトがないと…全てご縁」という思いを胸に、北は今日も現場に立ち、観客の心のひだに触れる感情を発動させる。【村上幸将】
|
|
◆北香那(きた・かな)1997年(平9)8月23日、東京都生まれ。4歳で俳優に憧れ10年のミュージカル「赤毛のアン〜アンからの手紙〜」のアン役で俳優デビュー。厳格な家庭に育ち小遣いも自ら稼ぐ中、17年テレビ東京系ドラマ「バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」の中国人ジャスミン役が話題に。
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 Nikkan Sports News. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。