「見ただけではわからない」鑑定士が明かす『偽ブランド品』売買のリアルと見分け方

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2025年07月07日 11:20  マイナビニュース

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エルメス、ルイ・ヴィトン、ロレックス。高級ブランド品が価格高騰を続けるその裏で、"偽物"も巧妙に進化を続けている。



今回は、偽ブランド品をテーマに、大手買取専門店「買取大吉」の鑑定士・木村健一さんにインタビュー。真贋を見抜くプロが語る驚くべき偽物事情と、賢い売却術についてお届けしよう。


○「儲かるから偽物が作られる」偽造されやすいブランドとアイテム



――偽物の持ち込みが多いブランドやアイテムがあれば教えていただけますか?



偽物を作るのって、「儲かるから」なんですよね。ですから、人気ブランドが多くなってきます。エルメス、ルイ・ヴィトン、シャネル……全部偽物は存在して、中でも圧倒的にバッグが多いですね。時計になると、実感としてはロレックスが一番多いです。



また、洋服の偽物となると、ラグジュアリーブランドというよりもシュプリーム、ナイキ、アンダーカバーといったブランドなどが挙げられると思います。

○偽物を持ち込む確信犯の実態



――ちなみに、偽物を持ち込んでくる人って、どんな人が多いですか?



若い人が多いですね。20代〜40代。たまに、"ネットで本物だと思って買ったけど実は偽物だった"という、ご本人が気づかずお持ち込みになるケースもありますが、確信犯が多い印象です。



――偽物って、一目瞭然でわかるものなんですか?



今はそうとも限りません。本当に作りが良くなっていて、見ただけでは分からないものも増えています。偽物を見分けるポイントとしては、例えばブランドロゴの入り方、縫製、金具、匂い、それから付属品です。



――えっ! 匂いで分かるものなんですか?



一流ブランドの本物は革の良い香りがするんですけど、偽物はビニールや接着剤の匂いがします。縫製もわかりやすくて、偽物はガタガタになっていたり、均一になっていなかったりします。



――偽物を持ち込んでくる人って、付属品も持ち込んでくるんですか?



持ってきます。箱も袋も偽物ですが、本物そっくり。中には、箱は本物で、中身は偽物というパターンもあります。



――あの手この手で騙そうとしてくるんですね……。「偽物です」と伝えたとき、相手はどんな反応をするんですか?

商標権の関係で、ブランドの権利者しか「偽物」とは断定できないことになっているので、「当社の買取基準に満たしていない」とお伝えするのですが、「ああ、バレたか」といった感じですぐに帰られることが多いですね。



――どれくらいの頻度で偽物が持ち込まれるんですか?



査定部ですべてチェックしているのですが、毎日あります。過去には1,500万円相当のロレックスの偽物を持ち込まれる方もいました。粘り強く3店舗くらい回る方もいます。本当に悪質ですね。買取だとその場ですぐ現金化できますから、逃げ切れると思われているのかもしれませんが、すぐ警察に通報しています。

○偽物のレベルが向上しつつある今、対面の安心感はメリットに



――売り手にとって、買取大吉さんのような実店舗を利用するメリットを教えてください。



やはり一番の大きなメリットは、「現金化までのスピードがとても早い」という点だと思います。



たとえばあるフリマサイトを例にとると、商品が売れて、発送して、相手に届いて、「受け取りボタン」が押されないと入金されません。しかも入金されても、自分の銀行口座に振り込むまでにさらに3日〜1週間くらいかかります。つまり、手元に現金が届くまでには、どんなに早くても2週間前後はかかるんですよ。でも、うちの場合は"即現金化"が叶う。それがまず大きなメリットです。



――たしかに、フリマサイトだと物が売れるのにも時間がかかりますしね。



そうですね。そして2つめのメリットはやはり「対面での安心感」です。CtoC(個人間取引)の場合、トラブルが起こる可能性は上がりますよね。サービスの提供元が仲介はしてくれますが、それでも最終的に嫌な思いをする可能性はゼロではありません。



その点、うちの場合は対面でプロの鑑定士が対応します。たとえば、今の相場や商品の価値についての説明もできますし、場合によってはその商品の背景や歴史のような話もできる。専門知識を持ったスタッフが常駐しているので、単に売りにくるだけでなく、相談しにくる感覚でも利用していただくことができます。



――確かに、SNSでもフリマアプリでのトラブル報告は頻繁に見かけますね。



買取大吉は全国に1300店舗以上あるので、「家の近くにどこかしら店舗がある」というのも大きなメリットだと思います。



実際にユーザー調査をしたことがあるんですが、利用者が「買取店に行こう」と思うときに、最も重視する条件は「家から近いこと」だったんです。ダントツで1位でした。意外かもしれませんが、「少しでも高く売りたい」という要素は2位、3位くらいなんですよ。



――不要なものを整理する手段として買取店を利用する、ということですね。



物ってなにかと増えがちですよね。昔の人は、不要なものは捨てたり、人にあげたりしていました。でも今は、そういったものを「お金に換える」という手段が当たり前になってきています。だから、コンビニ感覚で立ち寄れて、不要品を現金化できる場所があると便利。それが、今のニーズなのかなと思っています。


高級ブランド品の"偽物ビジネス"は、意外と我々の日常に近い場所で進行しているらしい。売る側も買う側も、知らぬ間にリスクを抱えることのないよう、正しい知識と信頼できる店舗選びが求められそうだ。(猿川佑)

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