ファンに名刺手渡す握手会も…妻夫木聡、異例の全国行脚中 米統治下の沖縄描く主演映画『宝島』熱烈PR 完成に手応え「映画の力信じたい」

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2025年07月08日 07:00  まいどなニュース

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舞台挨拶で笑顔を見せる妻夫木聡さん=大阪市内、2025年7月4日夜

戦後、アメリカ統治下の沖縄を舞台にした映画『宝島』が9月に公開されるのを前に、主演の妻夫木聡さんが「宣伝アンバサダー」となり、大友啓史監督と共に全国を飛び回っている。この全国宣伝キャラバンがスタートしたのは、公開の3カ月以上前である6月上旬から。デビュー以来、多くの映画やドラマに出演してきた妻夫木さんだが、PRでこれほど精力的に地方を回るのは珍しいという。沖縄、静岡、愛知、富山、長野に続く6カ所目となる大阪の先行上映会を取材した。

【写真】サプライズで登場した窪田正孝さん

破格のスケールで描くアメリカ統治下の沖縄

「行く先々で『宝島』の輪が広がっているのを実感しています」

7月4日夜、大阪の映画館「T・ジョイ梅田」で本編上映後に登壇した妻夫木さんはそう語り、満員の客席を嬉しそうに見やった。大阪で『宝島』が上映されたのはこの日が初めてということもあり、「映画はお客さんに見ていただいて初めて完成すると思っていますが、こうして皆さんの顔を見ていると、これから『宝島』が皆さんの中で人生の1ページとしてどんどん成長していってくれるのではないかという希望まで感じられる。今日は見てくださって本当にありがとうございます」と感謝を伝えた。

『宝島』の原作は真藤順丈さんの同名小説。混沌と暴力に満ちた戦後沖縄に生きる若者たちの姿を圧倒的な熱量で描き切り、第160回直木賞に輝いた。この小説に惚れ込んだ大友監督(映画『るろうに剣心』シリーズ、NHK大河ドラマ『龍馬伝』など)が、コロナ禍による2度の延期を乗り越えて完成させた本作は、構想6年、総製作費25億円、エキストラ延べ5000人、上映時間191分…などなど、その破格のスケールにも注目が集まっている。

妻夫木さんが演じたのは、米軍基地から物資を奪い、住民らに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちの一人、グスク。ある日突然姿を消した町の英雄オン(永山瑛太)を探すため、後に刑事として生きるようになる。

窪田正孝もサプライズ登壇

大阪での舞台挨拶には、妻夫木さん、大友監督に加え、グスクやオンの幼馴染・レイを演じた窪田正孝さんも急遽参加。窪田さんは「大阪には義理の両親がいるのでプライベートでもよく来ている」と明かし、大阪でお気に入りの公園を紹介するなど、“地元”に帰ってきたかのようなリラックスした一面を見せて劇場を沸かせた。

妻夫木さんと窪田さんは、お互いに「窪田くんがレイを演じてくれたからこそ、台本に書かれている以上の芝居ができた」「肉体的にも精神的にも相当な重圧を背負って座長を務めた妻夫木さんなので、全力でぶつかる以外の選択肢はなかった」と労い、ハードだった現場を万感の思いで振り返った。

一方、大友監督は「映画を通してあの時代の沖縄を追体験してもらい、何かを感じ取ってほしい。そして、『宝島』の“宝”とは何なのかをあらためて考えることこそが、当時を一生懸命生き抜いた先人の皆さんに対する礼だと思う。この映画には、そういう役割があると思っています」と力を込めた。

「たかが映画、されど映画。映画の力を信じたい」

宣伝アンバサダーとして次の週末は福岡と北海道を訪れるという妻夫木さん。『宝島』という物語を通じて「過去を描くことは未来への問いかけだ」と考えるようになったという。

「過去は変えられませんが、未来は変えられる。たかが映画、されど映画。僕は、見た後で景色の見え方がちょっと変わる、そんな映画の力を信じたい。今一度、みんなで手を取り合い、明るく希望のある未来を描いていければいいなと思っています」と噛み締めるように語り、客席から大きな拍手が送られた。

とにかく1人でも多くの人に映画の魅力と自身の熱い思いを直接伝えたい妻夫木さんは、舞台挨拶終了後、劇場を出る観客1人ずつに宣伝アンバサダーの名刺を手渡し、笑顔で握手。公開まであと2カ月あまり、妻夫木さんと大友監督の全国宣伝キャラバンはまだまだ続く。

『宝島』は9月19日(金)、全国公開。

(まいどなニュース・黒川 裕生)

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