
都内のIT企業に勤める52歳のベテラン社員Aさんは、毎朝7時32分の電車に乗るのが、20年以上続く彼の日課でした。
【写真】「いつになったら動くんだ!」運転見合わせの駅で、駅員に詰め寄る中年男性 実は…“罪”になる可能性
ある月曜日の朝、いつものように電車に乗り込もうとしたその時です。発車を知らせるメロディが鳴り終わり、プシューという音とともにドアが閉まり始めました。その瞬間、ひとりの若い男性が階段を駆け下りてきて、あろうことか持っていたビジネスバッグを閉まりかけたドアの隙間に力ずくでねじ込んだのです。
別の日には、閉まったドアに手をかけて両手でこじ開けようとする男性を目にします。Aさんが驚いていると、駅員が飛んできて男性を連れ去っていきました。Aさんが目撃した人たちのように、閉まるドアを邪魔する行為は罰せられないのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。
威力業務妨害罪に問われる可能性も
ー閉まりかけたドアへの駆け込み乗車や、ドアをこじ開ける行為は罪になりますか?
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電車のドアが閉まるのを意図的に妨害する行為は、鉄道会社の正常な運行業務を妨げるものとして、威力業務妨害罪(刑法234条)に問われる可能性があります。この罪の法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
2015年にはホームで電車のドアが閉まるのを妨害したとして、男性が略式起訴されています。このケースではその後、簡易裁判所は罰金20万円の略式命令を出しました。この男性はドア付近とホームの間にまたがり、発車予定時刻を約5分遅らせたとされています。
ー鉄道会社から損害賠償を請求されることはありますか?
民法で故意または過失によって他人の権利や利益を侵害した場合、その損害を賠償する責任があることが定められています。鉄道会社に生じる損害には、振替輸送費、人件費、車両の修理費などが考えられます。
遅延の規模や時間帯によっては、賠償額が数百万円単位になることもあるでしょう。
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ー故意ではない場合はどうなるのでしょうか
うっかりカバンが挟まってしまったような「過失」の場合、責任が問われる可能性は低いと考えます。ただし、民事責任は「過失」によって生じた場合でも問われる可能性があります。
ただし、現実的には満員電車などの状況で不可抗力であった場合などでは、高額な賠償を請求されることは少ないでしょう。
いずれにせよ、電車のドアを妨害する行為は、特に故意であった場合は刑事罰や損害賠償につながる可能性を忘れてはいけません。
◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといった声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。
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(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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