
「政治家は発言に、“言って良いこと、悪いこと”、“言って良いとき、悪いとき”、“言って良い人、悪い人”がある。普段から気を配らなければならない」
そう話したのは、田中角栄元首相。自身もいくつかの暴言・放言がありつつも、彼の言葉は“角栄節”として昭和の民の心をつかんだ。
しかし、政治家の言葉には“気を配らなすぎる”ものも多い。直近も“米”問題での失言で職を辞した者が……。
いちばん腹が立った政治家の発言
老若男女1000人にアンケート。あなたがいちばん腹が立った政治家の発言は?
まずは20位〜11位まで(役職、肩書はすべて当時のもの)。
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20位「天皇中心の神の国」(森喜朗首相)
20位「料亭行きたい」「BMW乗りたい」「JRに乗り放題」(杉村太蔵衆院議員)
19位「あなたとは違うんです」(福田康夫首相)
18位「(原発事故の放射線量は)ただちに影響はない」(枝野幸男官房長官)
17位「(投票に行かずに)寝てしまってくれればいい」(森喜朗首相)
16位「バカヤロー」(吉田茂首相)
15位「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」(森喜朗五輪組織委会長)
14位「知恵を出したところは助けるけど、知恵を出さないやつは助けない」(松本龍震災復興担当相)
13位「黒人は知能が低い」(中曽根康弘首相)
12位「このハゲーっ!」(豊田真由子衆院議員)
11位「LGBTQは生産性がない」(杉田水脈総務政務官)
発言が3つもランクインした森喜朗元首相に対しては、
「行動、発言が問題だらけの人間」(55歳・男性)の声が。
杉村太蔵氏は、初当選時のコメントが反感を買った。
「議員は税金を自分の所有物と思っている。今でも偉そうにテレビでコメントしてると腹が立つ」(65歳・女性)
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14位は東日本大震災の被災地を訪れた復興担当相の暴言の数々。「われわれは何もしない」と知事を突き放し、「今の最後の言葉はオフレコです。書いたらもうその社は終わりだから」と続けた。
「宮城県民として許せない。今でもあのときの発言を思い出すと、怒りが湧き上がってくる」(55歳・女性)
12位の「このハゲーっ!」は'17年のこと。
「上下関係を利用した侮辱発言のためパワハラに該当」(29歳・男性)
「少し笑っちゃったけど、ヒドい。けど、石破に言ってほしい」(49歳・女性)
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腹が立った政治家の発言10位〜1位
ここからは10位〜1位。
10位「2位じゃダメなんでしょうか?」(蓮舫行政刷新担当相)
“仕分け人”蓮舫氏の実績より何より知られるこの言葉。
「理系人間として日本の未来をかけた技術開発に対して“2位じゃダメなんですか”はありえない」(19歳・男性)
「発言の時の顔つきがとてもイヤだった」(47歳・女性)
9位「日本列島は日本人だけの所有物じゃない」(鳩山由紀夫幹事長)
「国民主権は憲法の大原則の一つであり、学校で必ず勉強する内容である。総理を務めたことがある人の発言とは思えない」(48歳・男性)
「この方は本当に日本の政治家なのか」(55歳・女性)
8位「原爆投下はしょうがない」(久間章生防衛相)
「とてつもない悲劇を起こしたものだから、しょうがないで片づけないでほしい」(29歳・男性)
7位「中小企業の5人や10人の破産、自殺はやむを得ない」(池田勇人通産相)
“所得倍増計画”を打ち出した後の首相の弁。
「小さな会社は政策に右往左往させられているのに発言が無責任」(56歳・女性)
高度経済成長を支えた大政治家であり、失言メーカー。発言は“正常な経済原則によらぬことをやっている方”を対象としていたが……。
6位「(震災は)まだ東北、あっちの方でよかった」(今村雅弘復興相)
「一般人でもこんなこと言わない。ましてや政治家の発言とは思えない」(29歳・女性)
「守られるべきは霞が関だけか?」(62歳・男性)
腹立つ失言上位はコメと女性蔑視
どの時代でも繰り返される“政治家による失言”。失言上位は女性蔑視が多く─。
5位「貧乏人は麦を食え」(池田勇人大蔵相)
こちらは言葉自体は新聞の見出しであり、発言は“経済の原則にのっとり、所得に応じた物を食べるべき”というものであったが……。
「金はあるけど人間として最低である」(76歳・女性)
4位「閉経した女が、きんさん・ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害」(石原慎太郎都知事)
「ひどい発言をたくさんしているが、女性としてこれが許せない」(54歳・女性)
「自分たち(男性の老人)のことは棚に上げて、自分たちはいるだけで価値がある、という無根拠な傲慢さも感じられる」(45歳・男性)
3位「女性は産む機械」(柳澤伯夫厚生労働相)
続いても女性蔑視発言。統計学的発想で、“申し訳ない”とエクスキューズをしてはいたが、その表現は……。
「前置きがあっても言ってはいけないということがわからない?」(34歳・男性)
「すべての女性を蔑んだこの言葉でしたが、不妊の女性には“女ではない”と言われている感じ」(67歳・女性)
2位「集団レイプする人はまだ元気があるからいい。正常に近いんじゃないか」(太田誠一衆院議員)
早稲田大学のサークル『スーパーフリー』による女子大生暴行事件に対しての、考えられない発言。
「そもそも集団レイプなどという単語を使うこと自体嫌悪」(52歳・女性)
「犯罪を罪じゃないと宣言したのはあり得ない。それから女性の人権や尊厳を無視しただけでなく、常識ある男性に対しても侮辱」(49歳・女性)
1位「コメは買ったことがない」(江藤拓農林水産相)
「売るほどある」と続いた直近の発言がトップに……。
「この時期にコメを買ったことがないという発言をしようという思考が、政治家、社会人として欠落しているものがある」(50歳・男性)
「価格高騰で困っているのに自分が良ければそれでいい、が表に出た」(57歳・女性)
差別や蔑視、犯罪擁護を抑えて直近の失言がトップに。その後の挽回や実績も考慮すべきだが、忘れてはならぬほどの暴言は数知れず……。
ちなみに発言者として、ノミネート数では森元首相がダントツトップであった。