アレックス・リン/ウィル・スティーブンス/ノーマン・ナト組がドライブする12号車キャデラックVシリーズ.R(ハーツ・チーム・JOTA) WEC世界耐久選手権に参戦しているハーツ・チーム・JOTAは、シーズン後半の残るレースにおいて、今季初優勝を飾る最大のチャンスとして富士を挙げた。
チームの共同オーナーであるサム・ヒグネットは、9月下旬に開催される富士スピードウェイでの一戦が、キャデラックの初優勝に向けたもっとも有望な舞台であると考えている。
2024年の富士ラウンドでは、当時チップ・ガナッシ・レーシングが運営していた唯一のキャデラックVシリーズ.Rが、アレックス・リンのドライブでポールポジションを獲得。表彰台争いにも加わっていたが、アール・バンバーがドライブしている間に起きたふたつのインシデントによってレースからの離脱を余儀なくされた。
キャデラックのWEC初勝利に向けたプレッシャーが高まるなかヒグネットは、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)と富士、バーレーンでの終盤3レースがキャデラックにチャンスをもたらす可能性があると述べたが、今週末のサンパウロ6時間はVシリーズ.Rにとってより困難なイベントになるかもしれないと指摘した。
昨年のインテルラゴスでのレースでは、キャデラックはレース前半でトップ5争いに加わっていたが、ブレーキの問題で2周おくれに陥った。
「ブラジルでは期待値を抑える必要がある」と同氏は認めた。
「しかし、富士ではマシンが非常に強く、COTAでもかなり良いパフォーマンスを発揮できることは知っている」
「次にバーレーンでの可能性を見極めたい。我々はバーレーンではつねにチームとして強かった。だから、そこで魔法のような結果を出せるかどうか見てみよう」
「キャデラックの多くの優秀なメンバーから、最初の勝利への並外れた意欲が感じられ、それが私たちの目標に反映されている」
■ドライバーはインテルラゴスでの好成績にも自信
ヒグネットがサンパウロ6時間レースに向けて慎重な姿勢を見せる一方、リンとバンバーの両ドライバーは、インテルラゴスで好成績を争う自信を示した。
先月のル・マン24時間では2台のJOTAキャデラックが予選でフロントロウを独占。レースではフェラーリとポルシェの絶対的なペースには及ばないまでも、4位と7位でのフィニッシュを果たした。
サンパウロでのバランス・オブ・パフォーマンス(BoP)は、スパでのそれと比べると、キャデラックは馬力がアップし車重が軽減されるという有利なものになっている。
ウィル・スティーブンス、ノーマン・ナトと12号車を共有するリンは次のように語った。
「昨年ブラジルで達成した進歩と、このサーキットでのタイヤマネジメントの重要性を理解したことで、表彰台争いに挑むためのより良いポジションに立つことができたと思う」
「シミュレーション作業など、準備は万端だ。ル・マンとスパで収集したデータが、うまく活用できることを願っている」
また、ジェンソン・バトン、セバスチャン・ブルデーとともに38号車をドライブするバンバーも、「インテルラゴスはル・マンとは性質が異なるサーキットだが、キャデラックVシリーズ.Rの強みが発揮されると信じている」と付け加えた。
「2024年のピットミスで2周を失ったことを除けば、ブラジルでは競争力があったので、ふたたび上位争いに加われると期待しているよ」
[オートスポーツweb 2025年07月10日]