好調リンク&コーが連続ワン・ツー達成。予選最速エルラシェールとビョークが勝利/TCRワールドツアー第4戦

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2025年07月11日 18:10  AUTOSPORT web

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リンク&コー・シアン・レーシングが2戦連続のワン・ツーフィニッシュを飾っている
 7月5〜6日の週末にポルトガルのヴィラ・レアルにて恒例のストリート戦が開催されたFIA TCRワールドツアー第4戦は、タイトな市街地トラックで予選最速を射止めたヤン・エルラシェール(リンク&コー03 TCR FL)がライト・トゥ・フラッグを達成。続く最終ヒートでも僚友テッド・ビョーク(リンク&コー03 TCR FL)が「瀕死の経験」を経ながらも、週末の成功を決定づける勝利を挙げ、これでリンク&コー・シアン・レーシングが2戦連続のワン・ツーフィニッシュを飾っている。

 欧州域内でスペインのバレンシアからイタリア・モンツァへと2週連続開催の“バック・トゥ・バック”を経た世界戦レギュラーのうち、前戦の高速クラシックで負傷したSPコンペティションのジョン・フィリピが週末を欠場。

 代わって今季初めにチームのテストにも参加していたマヌエル・フェルナンデスJr.が、オーレリアン・コンテ(SPコンペティション/クプラ・レオンVZ TCR)の新チームメイトを務めたが、そのフェルナンデスJr.も予選でクラッシュを喫して車両修復が間に合わず。決勝への参戦を見送る事態となった。

 これで地元ポルトガル勢としてはダニエル・テイシェイラ(JT59レーシングチーム/ヒョンデ・エラントラN TCR)、ヒルクライム・スペシャリストのミシェル・フェルナンデス(J.サントス・コンペティション/プジョー308TCR)がワイルドカード枠でエントリーすることに。

 さらにレギュラー陣以外のゲストとして、昨季の世界戦メンバーであるマルコ・ブティに、ひさびさチーム復帰のドゥサン・ボルコヴィッチ(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)、そして北欧系MA:GP所属で独立系リンク&コー・ドライバーであるヴィクトル・アンダーソン(リンク&コー03 TCR)のヨーロッパ参戦組3台を含む計16台が名を連ねた。

 レースウイークには新たな契約も締結され、今後の3年間もワールドツアー機構を受け入れることが確認された市街地トラックでは、今週も30kgの補正重量を背負うエルラシェールが走り出しから仕上がりの良さを発揮し、オープニングのフリープラクティス(FP)から連続トップタイムを記録。そのまま予選でもポールポジションを獲得し「追い越しがもっとも難しいコースのひとつ」で極めて重要になるスタートポジションの優位性を手にした。

「ここはトップからスタートする必要があるタイプのサーキットだ。ウエイトのせいで苦戦することは分かっていたが、今週も30kgの重量を積みながらポールポジションを獲得できたことをうれしく思うよ」と続けた元王者。

 そんなエルラシェールは、このポール獲得を週末欠場のチーフメカと、ここで6年前に発生したパドックでの事故により、残念ながら還らぬ人となった元メカニックの2名に捧げた。

「チームに心から感謝したいし、ここで僕のメカニックたちにも一言。僕のファーストメカの奥さんは今後の数日間で出産予定で、彼がレースを欠場するたびにポールポジションを獲っているんだ(笑)。そして同時に、これは2019年にここで亡くなったタイヤ担当の彼に捧げるポールでもある。皆、本当にありがとう」

 迎えたレース1は、フォーメーションラップの終わりに初代リンク&コーをドライブするアンダーソンと、元TCR南米大陸王者イグナシオ・モンテネグロ(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がテクニカルトラブルでピットインする波乱で幕を開けるも、レース自体はポールシッターが僚友サンティアゴ・ウルティア(リンク&コー03 TCR FL)を率いて盤石のチェッカー。3位にはホンダ陣営のタイトル候補、エステバン・グエリエリ(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が喰らいついた。

「ここで表彰台に立つのはいつもうれしいが、このレースで優勝するのは初めてなので、とても喜ばしいね」と語った勝者エルラシェール。「ヴィラ・レアルではポルトガルのファンからいつも温かい歓迎を受ける。コースは素晴らしく、昨日のFPから快適な状態を保っていられた」

「コンペンセーションウエイトの30kgを積んでいるし、FP1から予選まで全力で走り、今日の主な課題はトップの座を維持し、最後までタイヤを温存することだった。それがうまくいって今日も良いポイントを獲得できたよ」

 続くレース2スタートでもアンダーソンの受難は続き、技術トラブルの継続によりピットインを余儀なくされ、リバースグリッド4番手の好機をフイにすることに。またリバースポールから発進したモンテネグロも、ラウンチ機能に定評あるFL5型シビックRながら蹴り出しが遅れ、ここでマ・キンファとビョークの2台に先行を許す。

 最終的にこれが決定機となり、そのままリンク&コー艦隊の2台は8周目に前後を入れ替えてフィニッシュへ。チェッカー時点で背後のマに0.5秒、モンテネグロに2秒差をつけてビョークが勝利を手にしたが、ゲストドライバーのミシェル・フェルナンデスを周回遅れにした際に、優勝どころか高速クラッシュ寸前まで追いやられ「急死に一生の経験をした」と苦言を呈した。

「周回遅れのクルマが最悪の場所で減速したことで、僕はあわや高速クラッシュ寸前だった。無事に脱出できたことが今でも信じられないよ」と、残り3周というところでフェルナンデスのプジョー308TCRに出喰わした瞬間を自身のSNSに投稿したビョーク。

「僕のレーシングキャリアのなかでもっとも恐ろしい瞬間のひとつだった。まさに『死にかけた経験』だが、3台のマシンが無事で良かったよ。勝利を挙げ、こうしてここにいられて本当にうれしい。シーズンも折り返し地点を迎え、ここヴィラ・レアルに来られたことも幸せだし、ここでどれだけのスタッフやマーシャルが働いているかも知っている。来年以降もここに戻ってこられることも喜ばしく思っている」

 引き続きランキングではエルラシェールが首位を堅持し、グエリエリが27ポイント、ウルティアが35ポイント差で続く2025年のTCRワールドツアー。続く第5戦はサマーブレイクを挟んで南半球へ飛び、9月11〜13日にオーストラリアのザ・ベンドで開催される。

https://www.youtube.com/watch?v=ZrUyrky_Ze8

[オートスポーツweb 2025年07月11日]

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