8号車トヨタGR010ハイブリッドをドライブする平川亮 7月13日に決勝レースが行われるWEC世界耐久選手権第5戦サンパウロ6時間レース。12日に行われた予選およびハイパーポールでは、8号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing)のアタッカーを平川亮が務めた。
昨年の富士ラウンドで初アタックを経験した平川は、今年は第2戦イモラでもアタッカーに抜擢。失望の結果となったル・マン24時間を経て、シーズン後半戦に突入するブラジルラウンドでも、一発の速さを見せつけるチャンスを手にした。
■短くなったセッション後のデブリーフィング
予選を前にしたFP3では平川がダントツの全体トップタイムを記録するも、いざ予選/ハイパーポールを迎えると、ライバル勢が急激にタイムアップ。10番手でハイパーポールを終えた平川は「これ以上はなかった」とBoP(性能調整)も加味したマシンの持つ力はすべて引き出したと示唆し、周囲のマシンのパフォーマンスについて「予選になったら、蓋を開けてみてビックリ」とコメントしている。なお、小林可夢偉がアタックした7号車は予選最下位となり、ハイパーポール進出も逃す結果となった。
8号車陣営内では、6月のル・マンが終わったあと、サンパウロに向けたシミュレーターセッションを行う前に、平川が予選アタックをすることは決まっていたという。
「シミュレーターでも、半日は予選の練習やセットアップをしてきました。シミュレーターでも結構良かったので、そこも反映されたなかなと思います」
8号車のレギュラーアタッカーはこれまでブレンドン・ハートレーが務めてきたが、「もしかしたら次(第6戦オースティン/サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)もこの流れでやるかもしれないです」と平川。昨年に続き第7戦富士のアタッカーにすでに“内定”している平川は、オースティンでもアタックが実現すれば、シーズン中半数のラウンドでの予選担当ということになる。
また、今週末の8号車といえば、フォーミュラE世界選手権への出場を優先するベテラン、セバスチャン・ブエミを欠く2名体制での戦いとなる。平川はこれについて、個人の運転時間が増えることを第一の利点として挙げた。
「走れる時間が多いのは、すごいメリットですね。普段の1.5倍走れることで、(プラクティスでは)予選の練習だけでなく、決勝の練習もかなりできました。そこは大きなメリットです。一方で決勝は3スティントを走らなければならないですが、ル・マンの後という意味では6時間は短いとも思いますし、セブ(ブエミ)には申し訳ないですけど、結構メリットにはなるなと思っています」
そして、2名体制のメリットはそれだけはないという。
「もちろん『三人寄れば……』というやつで、ちょっと違う意見や発見が出てくることもあります。ただ、僕らGRは2台で協力して作業しているので、6人が5人になったと考えれば、そこまで『穴が開いた』という感じでもありません」
「セットアップの方向性は、決まりやすいですね。そのなかでもいろいろと(意見の)衝突はありますが、3人よりふたりの方が、いろいろなことは決めやすいです」
ハートレーも「デブリーフィングは短くなった」と平川の意見に同調。10番手からふたりで挑む6時間の決勝では、タイヤデグラデーション面での優位性を活かし、粘り強く上位を狙う戦いを目指す。
[オートスポーツweb 2025年07月13日]