ジェームズ・ガン監督、ヒーローの中のヒーロー『スーパーマン』をどう撮ったか【インタビュー】

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2025年07月14日 06:00  ORICON NEWS

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映画『スーパーマン』(公開中)ジェームズ・ガン監督(LAプレミアで撮影)
 アメコミ史上最も歴史があり、すべてのスーパーヒーローの原点・アイコン的な存在として誰もが名前を知るスーパーマンの完全新作映画『スーパーマン』が公開中だ。新生DCユニバースの長編映画1作目となる本作に、ジェームズ・ガン監督は彼ならではのひねりの効いたユーモアとジャンル愛を注ぎ込んだ。

【動画】ジョン・ウィリアムズの名曲も進化(超特報映像)

 その結果生まれたのは、楽しく、テンポよく、子どものようなワクワク感を思い出させてくれるアクションアドベンチャーでありながら、人間味あふれるドラマを備えた映画。1978年公開のクリストファー・リーヴ主演、リチャード・ドナー監督の名作への深い愛情が感じられる一方で、尊敬される公的人物を一夜にして社会の厄介者に変えるような、操作された情報が拡散されるという現代性も描いている。

 映画『スリザー』( 2006年)で脚本・監督として注目され、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズ(14年、17年、23年/監督)や『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』(18年、19年/製作総指揮)、『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』(21年)で大成功を収めたガン監督。

 これまで監督が手がけてきたスーパーヒーロー映画の多くは、“二番手”や“はみ出し者”たち、いわゆるラグタグ(寄せ集め)のチームが中心だった。しかし今回の主役は、スーパーヒーローの中のヒーロー、スーパーマン。ヒーローの頂点を描く楽しさと難しさについて尋ねると、監督は「とてもチャレンジングでしたね。正直言って、10年前の自分には撮れなかったと思います。どう撮ればいいのか分からなかったでしょうから」と答えた。

 「まずはクラークという人物を自分なりに理解する必要があったんです。以前はちょっとポリアンナ的というか、古風すぎるキャラクターだと感じていた。でも実は、その“古風さ”こそが一番反逆的な部分だと思うようになりました。

 彼は誰かを攻撃したり、見下したりすることで尖っているんじゃなく、ただ純粋であることで“尖って”いるんです。その純粋さは、そうじゃない世界の中では危険で恐ろしいものなんです。

 だから、彼が“世界最強のヒーロー”でありながらも、ある意味ではアウトサイダーでもある、そのちょっとした“ねじれ”や“違い”を見つける必要がありました。

 それに正直、自分はこれまで本当の意味で“スーパーヒーロー映画”を撮ったことがなかったと思っています。『スーパー!』はスーパーヒーローじゃないアウトサイダーの物語だし、『ザ・スーサイド・スクワッド〜』はスーパーヴィランたちの話。『ガーディアンズ』も、ヒーローというより宇宙を冒険する寄せ集めチームの話なんです。

 今回が本当に初めての“正統派スーパーヒーロー映画への挑戦”でした。それは怖かったし、プレッシャーもありました。でもクリエイティブな作業に集中して、一歩ずつ進むしかない、と自分に言い聞かせていました」

■ジョン・ウィリアムズの名曲も新たに響く

 ガン監督作品といえば、音楽センスの良さでも知られる。「ガーディアンズ」シリーズでは、70〜80年代のヒット曲が多数使用され、サウンドトラックが作品の一部として機能していた。

 『スーパーマン』では、絶妙なタイミングで流れるジョン・ウイリアムズの名曲「スーパーマン」のテーマ曲をアレンジした楽曲が印象的。

 「個人的に、ジョン・ウィリアムズが『スーパーマン』のために書いたスコアは、僕にとって史上最高の映画音楽のひとつだと思っています。セルジオ・レオーネ監督作品のエンニオ・モリコーネの音楽と並ぶくらい大好きなんです。

 でもそれだけに、使うのは難しかった。今までにもあのテーマ曲を使わなかったスーパーマン映画はたくさんあったけれど、それでもあの曲を聴くと、やっぱり彼だ、って感じる。

 今回面白かったのは、ジョン・マーフィーとデイヴ・フレミングにウィリアムズのオリジナルスコアを分解したり、反転させたり、さまざまな形で使ってもらったことです。あのスコアは本当に豊かなので、彼ら自身の音楽と組み合わせながら、小さな断片をいろんな方法で全編にちりばめました。

 音楽は本当に大事な要素です。特に今回は、ほとんどがスコア主体の映画で、挿入歌は数曲しかありません。でもジョンとデイヴの仕事は本当に素晴らしかった。

 それに、これまでの作品と同じように、ジョンが撮影前にたくさん音楽を書いてくれたので、そのスコアを流しながら撮影できた。それもとてもクールでした」

 本作の主人公スーパーマン(デイビッド・コレンスウェット)は、「目の前で傷ついている人を救いたい」というシンプルで力強い願いのもと、人々の平和を守り続ける強さと優しさを兼ね備えた最強のヒーロー。普段はその正体を隠し、クラーク・ケントとして大手メディアであるデイリー・プラネット社の新聞記者として平凡に働いている。

 時に誰にも止められないスーパーマンを地球にとっての脅威と考える天才科学者のレックス・ルーサーは、SNSでの情報操作、KAIJU、数々の兵器を駆使してスーパーマンを精神的にも肉体的にも絶体絶命のピンチまで追い込んでいく。スーパーマンはレックス・ルーサーに打ち勝つことができるのか!?

 ガン監督が描いた新たな『スーパーマン』。スクリーンでその魅力を堪能してほしい。

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