ワン・ツーで圧倒のWEC初制覇は「始まりにすぎない」とキャデラックのリン。チームの大きな進歩を実感

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2025年07月14日 12:00  AUTOSPORT web

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キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAの12号車&38号車キャデラックVシリーズ.R
 7月13日にブラジルのインテルラゴスで行われたWEC世界耐久選手権第5戦で、キャデラックVシリーズ.Rをシリーズ初優勝へと導いたアレックス・リンは、この勝利をJOTAとの新たな実りあるパートナーシップにおける「始まりにすぎない」と考えている。


■序盤のペナルティでストラテジーが狂う

 リンとウィル・スティーブンス、ノーマン・ナトは、サンパウロ6時間レースで、アメリカの高級自動車メーカーであるキャデラックに待望の優勝をもたらした。さらにチームメイトも2位に続き、キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAによるワン・ツー・フィニッシュという最高の形で初優勝を祝福することとなった。

 ポールポジションからスタートしたリン組の12号車は、タイヤ空気圧違反によるレース序盤のドライブスルーペナルティを乗り越えたが、ピット戦略の面ではシークエンスがオフセットすることとなった。その結果、リンが中間スティントでマシンに乗り込んだ際には、ミシュランタイヤを右側2本しか新品に交換できなかった。

 JOTAは、スティーブンスの最初のフルサービスストップで、4本すべてのタイヤを交換せざるを得なかった。チーム共同オーナーのサム・ヒグネットによると、この件で再びタイヤ空気圧ペナルティを受けることを恐れたためだという。

「明らかにタイヤ面では不利な状況にあり、ドライブスルーを受けたこともあり、4本すべてのタイヤを交換しなければならなかったため、戦略面でも不利な状況だった」とリンは語った。

「メインの争いは、姉妹車と5号車(ポルシェ)とのレースだった。その時点で、ノーマンにマシンを渡す前に、ジェンソン(・バトン/チームメイトの38号車)との差を大きく広げなければならないと分かっていたんだ」

「それが僕の最大の焦点だった。最終的に新品タイヤが少なくなると分かっていたので、その差を少しでも広げようと全力でアタックした。でも正直なところ、あまり違いは感じられなかった」

 ナトはチェッカーフラッグを受け、セバスチャン・ブルデーがフィニッシュドライバーを務めた38号車に約1分差もの差をつけて勝利を収めた。

「まさかここまで良い結果が出るとは思っていなかった」とリンはSportscar365に語った。

「正直、マシンを運転していて、本当に感動的だった」

「マシンを降りてチームメイトと話しても、ふたりとも『本当にいい』と言っていた。練習走行ではいいと分かっていたけど、本当にここまで良かったか? 正直言って、そうではなかったからね」

 長年キャデラックのファクトリードライバーを務めてきたリンにとって、この勝利は、チップ・ガナッシ・レーシングから始まり、今年JOTAに移籍した約3年間の努力が実った証となった。

「個人的には、このクルマでのレースにおける3年目、そしてドライブして4年目にしてレースに勝つというのは、本当に素晴らしいと思う。初めてこのマシンを運転したのは2022年の夏だった」とリンは振り返る。

「そこからWECで優勝するまでの進化を見ることは、本当に大きなことだった。そこには本当に大きな変化があったんだ」

「正直に言って、このマシンがJOTAの手に渡り、プログラムも大きく成長したことを目の当たりにし、その一員であることを心から感謝している。そして、ついにキャデラックのためにWECで勝利を収めることができて光栄だ」

「これはほんの始まりに過ぎない。このマシンとこのパートナーシップには、無限の可能性が秘められていると思う」

 リンはまた、今年カスタマーのポルシェ963からキャデラックのファクトリーWECチームへと転向し、わずか5戦目でキャデラック待望の初優勝を果たしたJOTAチームを高く評価した。

「JOTAは大きく進歩したと言わざるを得ない。レースウイークに入るたびに、『マジか、これはいいぞ』って思うんだ」

「まだ始まったばかりだけど、チームとしてこんなに早くここまで成長できるなんて驚きだ。JOTAのようなチームには、実行力とエンジニアリングの力強さが備わっている。僕たちはどんどん良くなっているように感じる」

「次(のターゲット)はル・マンだ。このクルマはル・マンでいつも最高のパフォーマンスを発揮する。今年はとても良いレースだったけど、フェラーリのようにはいかなかった。でも、正直言って、コクピットで感じたことを考えると、来年も勝利を目指して戦わない理由はないと思う」


■「初年度に優勝できると確信していた」

 共同オーナーのヒグネットは、輝かしい勝利とワン・ツー・フィニッシュはチーム全体の努力の賜物だと、満面の笑みで語った。

「素晴らしいよ」とヒグネット。

「この3人、38号車の3人は素晴らしい仕事をしてくれた。ただ、彼らは氷山の一角に過ぎない。このチーム、JOTAのチーム、そしてGM、キャデラック、ダラーラの何百人もの人たちのおかげで、このレースは実現したのだ」

「完璧なレースではなかった。フリープラクティスでは、タイヤデグの調整に多くの時間を費やした。これがこのレースで我々の真のアドバンテージとなる部分であり、ダブルスティント15周のうち最後の10周にそれが表れた。そこで5号車に大きな差をつけることができたのだ」

 キャデラック・ワークスとしてのプログラム初年度に優勝できると期待していたかと問われたヒグネットは、それは「非常に重要な」目標だったと答えた。

「初年度に優勝できると確信していた」と彼は語った。

「これはJOTAにとって、WECでの11年間で11勝という節目となった。そのプレッシャーを取り除き、1勝を挙げることは非常に重要だったのだ」

「初年度に優勝し、2年目、3年目にチャンピオンシップを狙うことが常に目標であった」

[オートスポーツweb 2025年07月14日]

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