バイクのクイズ 第49回 バイクのブレーキやクラッチレバーの先端についている「球」の意味は?

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2025年07月15日 11:40  マイナビニュース

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● オートバイのブレーキやクラッチレバーの先端は、丸い「球」が付いたような形状になっています。この球、何のために付いているのでしょうか?


もしも尖っていたら…?



ヒント:金属製のレバーが、もしも鋭く尖っていたらどうなってしまうと思いますか?



――正解は次のページで!● ○問題をおさらい!


正解はこちら!


○【答え】安全のため


正解は「安全のため」でした!



ほとんどの方はヒントから想像できたと思いますが、金属製のレバー先端が鋭く尖っていたら、とても危険です。走行中に歩行者と接触してしまった場合はもちろん、立ちゴケの場合でも、ライダーの身体に刺さったら一大事です。安全のため、先端部分を球状にしているわけです。



このレバー先端の球状部分は直径20mmほどあり、メーカーや生産国が違っていてもサイズはほぼ同じです。しかし、シャープなシルエットを持つスポーツモデルなどの場合、この大きな球が、せっかくのデザインを台無しにしていると思った人もいるのではないでしょうか。


実は昔のオートバイには、レバー先端が球状になっていないモデルもたくさんあったのですが、1960年頃から、オートバイレースのレギュレーションをもとに、現在のような球状先端レバーが市販車でも普及し始めました。

現在の二輪モータースポーツを統括しているのは「FIM」(国際モーターサイクリズム連盟)ですが、そのFIM公認の「MFJ」(日本モーターサイクルスポーツ協会)では、『レバーの先端は最低19mmのボール状にしなければならない』と規定しています。この国際的な安全基準に倣っているため、国産車も輸入車もレバー先端が19mm以上の球状になっているわけです。しかし、これは日本国内の公道を走行する車両を規制する保安基準と同じではありません。



道路運送車両法の保安基準では、レバーは「車両外部表面の突起物」に該当し、そこには『鋭い突起物は危険』という規制があります。具体的に危険とされる突起物は『曲率半径が2.5mm未満』とされているため、レバー先端は直径19mm以上の球状でなくてもよいと解釈できます。ちなみに、原付スクーターのレバーを測ってみると、直径は14mm程度しかありませんでした。



つまり、レバー先端が球状になっているのは、過酷な状況で行われるオートバイレースの安全性をフィードバックしたメーカーによる自主規制だったというわけです。


また、この球状部分は人体を守る以外にも、転倒時にレバーが根本から折れて走行不能にならないよう、先端だけが折れるようにするという役割も持っています。さらに、折れやすいよう切り欠きが入っているものもあります。



そのため、立ちゴケ程度でもレバーの先端が折れることがあるのですが、そのまま使い続けることは控えた方がよいでしょう。破断した部分をヤスリで削り、曲率半径が2.5mm以上に加工すれば法的には問題ないかもしれませんが、レバーが凶器になるリスクが上がるほか、転倒時の衝撃で強度が落ちている可能性もあるからです。



特に、ブレーキレバーはスピードを落とすための重要部品なので、いざというときに折れてしまったら大変です。それほど高い部品ではないので、破損したらすぐに新品に交換することをおすすめします。最近はネット通販で高機能なカスタムレバーも入手できますが、品質が不明なノーブランド品には注意してください。



それでは、次回もお楽しみに!



津原リョウ 二輪・四輪、IT、家電などの商品企画や広告・デザイン全般に従事するクリエイター。エンジンOHからON/OFFサーキット走行、長距離キャンプツーリングまでバイク遊びは一通り経験し、1950年代のBMWから最新スポーツまで数多く試乗。印象的だったバイクは「MVアグスタ F4」と「Kawasaki KX500」。 この著者の記事一覧はこちら(津原リョウ)

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