ヘッドフォンやイヤフォン、スピーカーなどを手掛けるEdifierの「MR5」は、多様な接続に対応する本格的なモニタースピーカーだ。110W出力、101dBの音圧レベルに対応しており、デスクトップからリビングまで、ハイレゾオーディオを再生できる。本記事では実際の使い勝手などをチェックしてみよう。
MR5はその出力の高さもあってか、アクティブスピーカーが約159(幅)×264(奥行き)×280(高さ)mm、パッシブスピーカーが約159(幅)×264(奥行き)×257(高さ)mmとかなり大型だ。購入を検討するなら、事前に設置できるスペースがあるか、よく確認しておくことをお勧めする。
リビングに設置する場合は、AVラックの上に置くか、思い切ってスピーカースタンドを購入して設置すると良いだろう。
●高音域、中音域、低音域の3wayスピーカー
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カラーバリエーションはブラックとホワイトで、手元に用意したブラックは、いかにもオーディオ機器だと感じさせる武骨さがありながらも、高音域を鳴らす1インチシルクドームツイーター部分と、中音域を鳴らす3.75インチのスコーカー、ボリュームノブに施された真ちゅう色によって、シックなデザインに仕上がっている。これはなかなか格好良い。
ボリュームノブは電源のオン/オフと、音響効果の切り替え操作が行える。ボリュームノブを長押しすると電源のオン/オフ操作、ボリュームノブを1回押し込むとモニターモード、音楽モード、カスタマイズとモード切り替えが行える。簡単な操作で本格的なサウンドを楽しめるのはうれしい。
また、前面には一時的にスピーカーを利用するためのAUX端子と、夜間などスピーカーではなく、ヘッドフォンを利用する際に接続する3.5mmのヘッドフォン端子がそれぞれ用意されている。
MR5は3wayスピーカーと呼ばれ、高音域を鳴らすツイーターと中音域を鳴らすスコーカー、さらに低音域を鳴らす5インチのウーファーで構成されている。底面に設置されているウーファー用の開口部が、スピーカー本体の側面にそれぞれ用意されている。
正面から見ると2wayスピーカーに見えるが、ウーファー込みの3wayスピーカーと考えるとこの大きさも納得だ。
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●豊富な入力端子に対応! スタジオ利用にうれしいバランスXLR接続
MR5の背面を見てみると、非常に多くの入力端子に対応しており、RCA接続やノイズに強いバランスTRS接続、そして主にスタジオで利用されているバランスXLR接続にも対応している。
既に発売されている「MR3」や「MR4」にはバランスTRS端子は用意されているものの、XLR端子は用意されていなかった。スタジオで利用したい人にとってはうれしいポイントだろう。XLRは、家庭で使うにはいささかケーブルが太くなってしまい、取り回しがしづらくなる。しかし、引っ張っても抜けないラッチロック構造となっているので、業務用機器のコネクターとして広く普及しているものだ。
ただし、USBケーブルでの接続はサポートしていないため、PC用モニターとして利用する場合はDACを別途用意するか、Bluetoothでの接続が必要となるため、その点は注意が必要だ。
●有線/無線ともにハイレゾ対応に
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背面に「Hi-Res AUDIO」と「Hi-Res AUDIO WIRELESS」の認証ロゴがある通り、MR5は有線、無線ともに24bit/96kHzのハイレゾ再生に対応している。有線であっても無線であっても高音質の視聴体験が楽しめる。
Bluetooth接続では、LDACとSBCのオーディオコーデックに対応しており、ハイレゾ再生を楽しむ場合は、LDACで接続する必要がある。
筆者のGoogle Pixel 9は接続時からLDACが選択されていたため、特に変更は必要無かったが、気になる人はAndroidの開発者オプションからBluetoothオーディオコーデックがLDACになっていることを確認しよう。
iPhoneをお持ちの方は残念ながら、本体のBluetoothコーデックはLDACに対応していないため、別途LDACに対応したBluetoothトランスミッターや、DACを使った有線接続が必要となるので注意が必要だ。
●細かな音質調整に対応。ただし手動対応
MR5は細かな音質調整に対応しており、背面のノブで10kHz以上の高音域周波数を±6dB、125Hz以下の低音域周波数を±6dBの範囲内で調整できるようになっている。
なお、製品ページでは「お部屋の音響を自動調整可能」と記載があるが、実際は音を聞きながらの調整となるため、全自動で調整できるわけでは無いのでその点は注意が必要だろう。
背面のノブでの調整だけでなく、スマホアプリの「Edifier Connect」を利用することで、指定した周波数以下の低音域をカットする「低音域周波数のカットオフ」機能や、スピーカーの反射音の影響で音の響き方が変わることを補正する機能として、「音響空間」機能が用意されている。
設定方法や意味については、「?」アイコンをタップすることで詳細表示されるが、音響空間は部屋の中央に設置する場合は0dB、壁の近くでは-4dBに設定することが推奨されているようだ。
日本の一般的な室内レイアウトの場合、だいたいは壁の近くに設置することが多いので、-4dBに設定して違いを確認しながら好きな設定を探ると良いだろう。
「デスクトップコントロール」では、卓上にスピーカーを設定した際に、特定の音域の音量が増大することを防ぐ機能で、先述した2つの機能と違って細かな調整はできず、オン/オフの切り替えで調整する。
あくまで筆者の主観ではあるが、音響空間を-4dB、デスクトップコントロールを有効化すると、確かにそれぞれの音域の音が均等に聞こえるように感じた。ただし、利用する人にとってそれぞれ好みの聞こえ方があると思うので、お気に入りの曲を流しながらベストな設定を突き詰めてみるのも良いだろう。
●LDAC接続時のサンプリングレート設定
Edifier Connectアプリでは、LDAC接続時のサンプリングレート(デジタル音源の音の表現の幅)の変更が可能で、デフォルトでは44.1kHz/48kHzが指定されているが、さらに高い96kHzのサンプリングレートの指定が可能だ。
44.1kHz/24bit、48kHz/24bitはどちらも日本オーディオ協会がハイレゾ対応機器に求めた処理能力に合致しているため、デフォルト設定でも十分ハイレゾ音源として楽しめる。
とはいえ、人間の耳の可聴域は20Hzから20kHzなので、個人利用においてはデフォルト設定でも十分だ、と筆者は考える。
プロの現場では、マスター音源を作成するまでの間に、デジタル処理を実施する過程で発生するノイズを低減させるという話を聞いたことがあるので、MR5はホームユースだけでなく、プロユースにも目を向けられているのだ、くらいに捉えておくと良いだろう。
●イコライザーは3種類と至ってシンプル
MR5はイコライザー機能も用意されているが、モニタースピーカーという性質もあってか、モード設定は、よりフラットな音を表現する「モニター」と、音楽を聞くことに重きを置いた「音楽」、自身の好みで設定できる「カスタマイズ」の3つと非常にシンプルだ。
モニタースピーカーなので、基本的にはフラットな音を表現するスピーカーだが、設置する部屋の環境によって必ずしもフラットな音を表現できるわけでは無い。
先ほど紹介した音響調整機能だけではカバーできない範囲をイコライザーのカスタマイズ機能で調整することで、真のフラット音を追求できるがホビーユーザーにとっては非常にハードルが高いので、気軽にフラットに近い音を楽しみたいのであれば、プリセットされているモードを切り替えて好みを探ると良いだろう。
●MR5もスペックを考慮するのであれば、コストパフォーマンスの高いモニタースピーカーだ
MR5は本体価格が3万9980円と、同社スピーカーの中では高価格帯に入るモデルだが、出力の高さや豊富な接続端子、プロユースも想定した高いカスタマイズ性の高さを考えると、MR5も他のEdifier製品と同じく手頃でコストパフォーマンスの高いモデルといえるだろう。
ホビーユーザーである筆者でも、簡単な音響調整とデスクトップコントロール機能を活用することで、低音域も中音域も高音域もほぼ一定のフラットな音楽視聴が楽しめたので、設置場所に余裕があり、幅広いジャンルの音楽を聞くのであれば、ぜひ手に取ってほしい製品だ。
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