WEST.メンバー藤井流星Instagramより WEST.の中間淳太と元ディズニーダンサーの交際が先日『NEWSポストセブン』にて報じられた。
この件で興味深かったのは、記事の詳細が解禁される前段階での告知での、「“国民的”男性アイドルグループ」メンバーと「激バズダンスお姉さん」という表現に、WEST.ファン通称“ジャス民”たちが反応していたことだ。
◆「WEST.は国民的アイドルなのか」ファンの疑問
この表現を逆手にとり、「WEST.は国民的アイドルなのか!?」ということを何人ものファンたちが自虐的に、なかばネタのようにXなどに投稿しはじめたのである。
「国民的アイドル? ほなWEST.とは違うかぁ」
のようなニュアンスの、まるでミルクボーイの漫才ネタを引用したようなものもいくつか見られた。
「つまりWEST.が国民的アイドルと認められたってことだ」
というニュアンスのものも。
もちろんこの報道にショックを受けたジャス民、中間ファンだってたくさんいただろうが、このネタ的ひろがりのもととなった「国民的アイドル」とは、どのような存在であれば納得いくものなのだろうか。
◆国民的になる基準はどこにあるか
この件にまつわるXの投稿を眺めていたぶんには、SMAPや嵐の名をあげるひとが多かった。彼らならその称号も相応しいだろうと。
「国民的」であるとはどういうことか。
言葉通りとらえると、国民誰もに愛される、または知られる存在といっていいだろう。辞書的な意味合いもそんな感じだ。そういう意味では確かにSMAPや嵐はほとんどの国民が顔と名前が一致するだろうし、多くの人が口ずさめる曲も多数、出演番組やドラマもよく知られていただろう。
それは納得する。そういう意味ではKinKi Kidsや解散したTOKIOやV6あたりもそれに近い存在といっていい気がする。
女性グループでいくと、いわゆる“神7”がいたころのAKB48や「LOVEマシーン」以降数年のモーニング娘。あたりもそんな感じだろうか。ももいろクローバーZや一時期の乃木坂46も個々の知名度は高そうだ。
では、いまをときめくトップアイドルたち、たとえばSnow Manやなにわ男子、Number_i、FRUITS ZIPPER、ME:Iといった、今をときめくアイドルグループはどうか。
あるいはLE SSERAFIMなどの日本でも人気のK―POP勢は? ここで主観でここはそうだろう、あそこは違うのでは、などとすることは、それは単なる私的基準であり、「国民的」というものではない。そもそも余計な火種を発信してしまうことにつながりかねなくもあり、控えておく。
「国民的」とする基準はそれぞれだ。ミリオンセラー、高視聴率ドラマや大ヒット映画の主演とするとどうか(そうなるとWEST.にはミリオンを記録した曲はまだ存在しない)。
結局「ほな国民的アイドルとは違うか」と、自分もミルクボーイになってしまいそうだ。
しかしWEST.だって多くの人気バラエティーやドラマに出演、「ええじゃないか」などある程度の層に知られる代表曲ももち、その基準によっては「“国民的”男性アイドルグループ」としてもうなずける気もするが、国民的という言葉を「“”」でくくっていたあたり、報じた側にも若干の含みはあっただろうか。
◆WEST.は“おいしい”かもしれない
そもそも「国民的」という言葉は、煽り文句としては「盛れる」フレーズだ、ツッコミや自虐もあれど、嘘ではない。
WEST.に関して言うなら、彼らは旧関西ジャニーズJr.のメンバーから構成された7人組であり、10代のころからそれぞれの笑いのスキルも高かった。
そういう部分も含めて彼らを愛してきたジャス民にとっては、むしろこの表現であったことが「おいしい」状態を呼んだのではないだろうか。
「多様性の時代」と言われ長くたつ。さらに時代をさかのぼれば、昭和の時代には、山口百恵、松田聖子、美空ひばり、石原裕次郎、沢田研二……故人も含め、それこそ令和世代でもよく知る「国民的スター」という存在は枚挙にいとまがないような気もする。
スポーツ界にも長嶋茂雄をはじめ多数いるだろう。そういった面々と比べると、「やっぱりWEST.とは違うか」と、またまたミルクボーイになってしまいそうだ。
世代を超えたヒット曲もここ数年は数少ない。現在の国民誰もがとなると、それこそ大谷翔平のような国境を越えて活躍するようなアスリートや、ポケモン、サンリオ、ちいかわ、ガンダムといった世界規模で人気のキャラクターたちのほうが“国民的”ということになるのかもしれない。
大阪万博で打ち出されたのも等身大ガンダムなどだ。“国民的”人気者といってミルクボーイにならないのは、大谷や人気キャラクターだというのが2025年夏の結論かもしれない。
そしてこの“国民的”な交際を、ある意味での「エンタメ」として受け止め処理したジャス民の柔軟性とセンス(そう言われて悪い気はしないし、それが笑いにつながったわけだし)、そして“国民的”という表現でこのような話題の広がりを作り出したポストセブンのセンスは大勝利だといっていいと思う。
結局WEST.は“国民的”アイドルグループなのか、そうでないのか。そんなことは「ええじゃないか」、ベタすぎかもしれませんが、こんな感じでよろしいでしょうか。
<文/太田サトル>
【太田サトル】
ライター・編集・インタビュアー・アイドルウォッチャー(男女とも)。ウェブや雑誌などでエンタメ系記事やインタビューなどを主に執筆。