「ザ・ホテル青龍 京都清水」の舞妓(まいこ)を招いた宿泊者限定イベント(西武・プリンスホテルズワールドワイド提供) 2025年1〜6月の訪日外国人数(推計値)が過去最高を更新し、旅行先としての日本の根強い人気が改めて浮き彫りとなった。ただ、高額品購入の勢いは一服し、消費行動には異変もみられる。インバウンド(訪日客)のさらなる消費意欲の掘り起こしには、付加価値の高い宿泊サービスの提供や、体験型観光の充実がカギを握る。
4〜6月の訪日外国人旅行消費額(速報値)は前年同期比18.0%増の2兆5250億円だったが、買い物代の割合は減少。5月の百貨店の免税売上高をみると前年同月比約4割減で、3カ月連続マイナス。高級ブランドのバッグなどが苦戦している。
一方で、ホテル業界は好調が続く。西武・プリンスホテルズワールドワイド(東京)によると、ホテル全体に占める4〜5月の訪日客数は前年の同時期に比べ約1.1倍。「(日本ならではの)体験を求める人も増えている」(同社)といい、「ザ・ホテル青龍 京都清水」(京都市)では舞妓(まいこ)の鑑賞イベントを開催している。森トラスト(東京)の伊達美和子社長は「秋口からの都心部ホテルの客室平均単価は割と高めに推移する」と予想。宿泊需要は「まだ伸びていくだろう」とみる。
日本政府観光局の調査では、訪日外国人旅行消費額のうち、1回の日本滞在で100万円以上を消費する割合は23年に全体の19.1%と、コロナ禍前の19年から約5.1ポイント伸びた。日本旅行業協会によると、こうした旅行者は付加価値の高い体験を好む傾向が強い。
じゃらんリサーチセンターの松本百加里研究員は「モノをただ買うより、日本らしい体験をし、感動があれば追加で関連するものを買う、という行動に変化している」と分析。観光庁も自然や文化を体験するアドベンチャーツーリズムを推進している。