セブン&アイ・ホールディングスのロゴマーク=東京都中央区 カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールは16日(日本時間17日)、セブン&アイ・ホールディングスへの買収提案を撤回したと発表した。実現すれば国内最大規模だった約7兆円の巨額買収構想は白紙に戻り、セブンは経営権を維持。低迷が続く国内コンビニ事業などの立て直しを急ぐ。
クシュタールは同日付でセブン取締役会に書簡を送付。「全く真摯(しんし)な協議がなされていない状況が続いている」と批判し、買収提案を取り下げた。今後、敵対的買収に踏み切る可能性について、同社側は「検討していない」と明かした。
セブンが買収提案を受けたのは昨年7月。米国内の店舗数が1、2位を占める両社が統合すれば米独占禁止法に抵触する可能性があるため、今春には米国内の店舗売却に向け、協力して買い手候補の選定を進めることで合意した。
一方、買収を避けたいセブンは主力のコンビニ事業に経営資源を集中して企業価値を上げようと、祖業イトーヨーカ堂などの分離を決めた。また、セブン創業家はクシュタールの買収案に対抗し、昨秋に8兆〜9兆円規模の買収と非上場化を提案。しかし、資金調達のめどが立たず、断念した。
クシュタールの買収断念について、セブンは「単独での価値創造の施策を今後も継続していく」とのコメントを発表した。ただ、国内コンビニ事業は3〜5月期の営業利益が前年同期比11%減と不振が続く。海外コンビニは業績悪化に歯止めがかかったとはいえ、人件費を抑制した効果が大きい。来月には新しい経営体制の下で初めての中期経営計画を発表し、収益改善の道筋を示す方針だ。

カナダのコンビニ「クシュタール」=カナダ・モントリオール(AFP時事)