【西武】愛犬が突然の事故死…長谷川信哉「エルモも僕の近くで戦ってくれた」涙のお立ち台

0

2025年07月18日 05:01  日刊スポーツ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊スポーツ

西武対日本ハム ヒーローインタビューで愛犬の死を涙ながらに報告する西武長谷川(撮影・滝沢徹郎)

人生、いろいろある。西武の長谷川信哉外野手(23)はこの2日間を忘れない。2回1死二塁、反撃の適時二塁打がやがての逆転勝利、チームの勝率5割復帰につながった。お立ち台で泣いた。愛犬との突然の別れを告白した。笑顔が似合う白い歯の青年が、実直に感情を露出した。苦しくても時間は止まらない。まだ先は長いペナントレースにまずは集中する。


   ◇   ◇   ◇


勝ったのに長谷川はなんで、渋い顔なんだろう。夜空が見えないのに天井を見る。まるでため息のように息をはく。お立ち台で活躍を祝福された。


いつもほど明瞭に「ありがとうございます」と言えない。はなをすする。「ほんとに気持ちで持っていった1本だったので、点につながって良かったなと思います」と適時打を振り返る。腕で鼻元をふいた。


「すいません、えっと、私事なんですけど、先日、愛犬が、亡くなってしまって。突然の、事故だったんで、僕的にもすごく、今日の試合はすごく、気合入れて戦いましたし…」


言葉を区切りながら丁寧に伝える。おえつが止まらない。ファンからも泣くような声が届く。


「10カ月満たないうちに、この世から去ってしまって。すごく寂しいですし、また、今日の試合も、エルモも僕の近くで戦ってくれたんじゃないかって思って。今日1日、不安でしたけど、なんとか勝ちを、この世にいないエルモに届けられたのは、すごく良かったなって思います。あらためて、いま生きていることにすごく感謝して、これからも生きていきたいなと思います」


夢のプロ野球選手として毎日を過ごす。巨人坂本、DeNA宮崎…と憧れの選手に師事した。「自分のスタイルを作りたいです」と昨オフは独立した。そこに後輩の谷口朝陽内野手(21)から頼られた。京都の実家に泊めて、先輩として自主トレを先導。プロ5年目、勝負の年に目のクリッとしたかわいい小型犬もやって来た。そうやって少しずつ大人になっていった。


人生に別れはつきものだ−。みんな理解はしているけれど、いざ当事者になれば心が裂けるほど苦しい。過去には誰もさかのぼれない。時計もペナントレースも進むばかり。長谷川が言う通りだ。「これからも生きていく」しかない。心の中でずっと生きている。時に自分を強くしてくれる。【金子真仁】

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定