知的障害者、選挙辞典を作成=投票で「当事者の声届け」―ネットで公開、勉強会も【25参院選】

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2025年07月18日 07:35  時事通信社

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時事通信社

参院選に向けた勉強会に参加する知的障害者ら=8日、大阪府東大阪市(社会福祉法人「創思苑」提供)
 知的障害者が選挙に関する用語や投票方法などを学ぶための辞典を、障害者自ら作成しネットで公開している。「投票することで当事者の声を届けたい」。20日投開票の参院選に向け、オンラインによる勉強会も開かれ、辞典が活用されている。

 辞典は「せんきょのことば 選挙学習小辞典」。236ページにわたり「選挙権」や「候補者」、「民主主義」など約170の用語が収められ、投票手順も原則ひらがなで説明している。

 高齢者コミュニケーションなどを研究する元関西医科大准教授の菅谷泰行さん(71)が企画と監修に携わり、大阪府東大阪市の社会福祉法人「創思苑」の利用者ら約30人が、昨年4月から1年かけて作り上げた。

 完成した辞典は3月、同法人ウェブサイトで公開され、5月からは北海道や沖縄など全国七つの知的障害者団体が合同で開いたオンライン勉強会で活用されている。

 勉強会では、漢字が多く、知的障害者にとって高いハードルとなっている政党や候補者の公約などが書かれた選挙公報をひらがなに直す取り組みも行われた。参加した豊田瑛一さん(41)は、「政治家にも辞典を見て知ってもらいたい。易しい言葉を使うようになってほしい」と訴えた。

 同法人の林淑美理事長(75)は「参加者は熱心で楽しそうだった」と手応えを感じつつも、「勉強会を開く余裕のない支援施設は多い。国や自治体が主体となって、障害者の投票を後押ししてもらいたい」と語った。

 菅谷さんによると、知的障害者の投票率は低い傾向にあるといい「辞典を活用して選挙を学ぶことで、自分で考え、政治に参加する機会になれば」と期待している。

 厚生労働省によると、知的障害を持つ有権者は全国で約95万3000人に上る。

 辞典は同法人ウェブサイトから無料でダウンロードできる。 
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