西野七瀬&坂東龍汰の背中合わせポスター 感涙系純愛作と早とちりした人続出? 「君の忘れ方」の撮影前、監督は告げた 「変な映画になるけど、勝負したい」

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2025年07月18日 11:10  まいどなニュース

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南果歩と坂東龍汰

思ってたのと違う…。

【写真】メインビジュアルに感涙系純愛デートムービーと早とちり?

今年2025年1月の劇場公開時にSNSをざわつかせた、映画『君の忘れ方』。そのDVD&Blu-ray発売及び配信が始まっている。

ポスターに騙された!?

婚約者・美紀(西野七瀬)を不慮の事故で亡くした昴(坂東龍汰)は、自分と同じように大切な存在を失った人たちが集うグリーフケアに参加する。美紀の幻影を目撃するようになった昴は、亡き妻と会話する池内(岡田義徳)と出会うのだが…。

劇場公開時のポスターは、木漏れ日の中で背中合わせになった坂東と西野の姿を捉えた温もりあるデザイン。切なげなタイトルも相まって、いわゆる感涙系純愛デートムービーをイメージさせる。

だがそのイメージは本編鑑賞数分で覆される。妙な実感を持って襲い掛かって来る、最愛の人を亡くした者たちの癒しようのない悲しみ。時に差し込まれる、心霊映画かのような展開や不穏な旋律。それら蓄積が層となり、大きな喪失感となって観客の前に立ち現れる。

悲しくて怖くて切ない。ゆえに公開時SNS等では「思ってたのと違う…」という混乱の声と同時に「心と記憶に残る名作」と推す声もあり、まさに賛否両論の一作となった。

変な映画になるかも…

企画開発から3年以上の月日をかけて本作を完成させた脚本・監督の作道雄(34)は、劇場公開時の反響をこう振り返る。

「公開当時は舞台挨拶やサイン会で毎日のように映画館に足を運んでいたので、ダイレクトに賛否両論を肌で感じていました。ポップコーンを片手に『ちょっと難しかった…』と劇場を後にする人がいるかと思えば、目を真っ赤に腫らして劇場を後にする人もいる。ポスターデザインにはだまされたけれど結果的に観て良かったと言ってくれる方もいて、賛でも否でもすべてポジティブに受け止めよう思っていました」

観客からの両極端の反応は、実は織り込み済みだったりする。

「テーマは死別という重く難しいものですが普遍的なテーマでもあるわけで、日本では余命ものなどが定期的に作られています。いろいろと迷いましたが、たとえそれが変わっていたとしても自分なりのアプローチで挑もうと思いました。過去の名作映画から学んだ知識や文法を見直したり引用したり、カット割りやアングル、音の入れ方などへのこだわりを優先しながら喪失を描こうと思いました。撮影前にスタッフ数人に『変な映画になるかもしないけれど自分の勝負作にしたい』と伝えたことを覚えています」

海外映画祭で絶賛評

今年7月初旬には、ベトナムで開催されたダナン・アジア映画祭のコンペティションに正式出品された。惜しくも受賞は逃したものの、ヘッドライトに照らされて落ちる人影、フレームアウトした人物との台詞のやり取り、人物の顔を判別することのできない映像ならではの表現、すなわち作道監督がこだわった「自分なりのアプローチ」が高く評価された。

「ベトナムの映画媒体が批評を書いてくれました。祈るような気持ちで翻訳してみたら『恋人の不在という喪失の重みをセリフで説明するのではなく、壁に映る影や空間の切り取り方で表すなど、映像表現で語る映画だった。映画祭でもっとも印象に残った作品のひとつ』という大絶賛でホッとしました。一方で、たとえば海外映画祭の場で受賞するだとか、変な映画だったけど面白かった、という観客をもっと増やすだとか、次作への強い課題も感じています。映画の文法をこれからも吸収しつつ、次はもっと大胆に、映画の娯楽としての側面を見つめて挑んでいきたいです」

配信及びソフト化によって、新たな観客たちの心に渾身作が浸透している手応えもある。

「劇場公開時に見逃した方など、新しい観客にジワジワと広がっていることを感じます。主演の坂東さんも『公開が終わってからでも感想を伝えてくれる人がいる』と喜んでいたくらいです。ソフト化もされて配信も始まっているので、より多くの方に観ていただき感想を教えて貰えたらうれしいです」と期待している。

(まいどなニュース特約・石井 隼人)

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