複数の組織のトップを務めたホーナー「変更は必要ない」と強気の一方、権力集中による不満も噴出か【代表のコメント裏事情】

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2025年07月18日 12:10  AUTOSPORT web

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2025年F1第12戦イギリスGP FIA会見 左からザク・ブラウン(マクラーレン・レーシングCEO)、クリスチャン・ホーナー代表(レッドブル)、アンディ・コーウェル代表(アストンマーティン)
 オラクル・レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表が2025年F1第12戦イギリスGP直後に電撃解任されたことが、本人ですら寝耳に水だったことは、7月9日にイギリス・シルバーストンのファクトリーで従業員に対してお別れのスピーチを行った際、感極まっていたことでもわかる。そうした事実を知った上で、イギリスGPの金曜日に行われた国際自動車連盟(FIA)の記者会見を見直すと、感慨深いものがある。

 たとえば、このやりとりだ。

記者:「今年成功を収めているマクラーレンは、ザク・ブラウン(CEO)とアンドレア・ステラ代表が責任を分担していますが、レッドブルはクリスチャンに権限が集中しているように見えます。今後分散化していく考えはありますか?」

ホーナー:「チーム代表という肩書きは同じでも、その役割はチームによって異なる。マクラーレンのアンドレアが担う役割の80%はレッドブルではテクニカルディレクターのピエール・ワシェが担っており、私に報告が上がってくるという明確な構造となっている。おそらくアストンマーティンのアンディ(・コーウェル)やメルセデスのトト・ウォルフもレッドブルと同じような仕組みだ。もちろん、組織として常にチューニングや最適化は行わなければならないが、組織の変更をする必要性は感じていない」

 記者が質問したように、最近のホーナーは単なるチーム代表というだけでなく、チームの最高経営責任者(CEO)も兼務していた。さらにレッドブル・アドバンスト・テクノロジーズ(RBAT)とレッドブル・パワートレインズ(RBPT)のCEOにも就いており、レッドブル内での権力をあまりに独占し過ぎていた。にもかかわらず、ホーナーは「組織の変更をする必要性は感じていない」と言い切るほど、強気な姿勢を見せていた。

 権力の集中は、うまく行っているときはいいが、ひとたびうまくいかなくなると、組織内のあちこちから不満が噴出する。現在のレッドブルがまさにそれで、ホーナーを交代させてほしいという声がヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)や本社のCEOであるオリバー・ミンツラフに届けられた可能性が高い。

 2026年のドライバーラインアップについてもこう語っていた。

「多くの人がその(マックス・フェルスタッペンが移籍する)ことを話題にしているが、マックスのF1でのキャリアは最初からレッドブルと共に歩んできた。彼のすべての成功はレッドブルのクルマで達成され、彼はチームの大事な一員であり、チームに対して大きな信頼を寄せている。したがって、さまざまな憶測があるのは承知しているが、我々は比較的落ち着いている。チーム内部では状況を理解しているからね」

 それでも、フェルスタッペンがメルセデスへ移籍する可能性は決して低くない。「もし、そうなった場合、プランBはあるか?」という記者からの質問にも、ホーナーはこう答えている。

「そうだな、オスカー・ピアストリがいいね」

 もちろん、これは冗談で、本当の答えを次のように語った。

「我々は現在のドライバーとの関係性に集中している。マックスは2028年までの契約を結んでいる。彼は最後までレッドブルのクルマに乗り続けたいと明確に意思表明している。ノイズを無視し、いまはクルマの改善が必要な領域と、それをどのようにして改善していくかという方法を分析している」

 しかし、フェルスタッペンが2026年にどこで走るかが公表される前に、チームを去ることとなったホーナー。これがホーナーにとって、少なくともレッドブルのチーム代表としての最後の公式会見となった。

[オートスポーツweb 2025年07月18日]

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