小向美奈子今年、デビュー25周年を迎えた小向美奈子(40歳)。彼女がグラビアアイドルとして芸能界に足を踏み入れたのは、若干15歳。当時はちょうどジュニア世代のグラビアDVDや写真集が盛り上がっていた時期である。今は寂しくなったコンビニのマガジンラックに、“お菓子系雑誌”を始めとして、グラビアアイドルが表紙を飾る雑誌がずらっと並んでいたのを、中高年男性であれば懐かしく思い出すのではなかろうか。
不惑とはいえ、天性の美貌に陰りは見られない印象。ただ、ご存じの通り数々のスキャンダルで世間をにぎわせ続けた過去がある。今回のインタビューでは、“塀の中の思い出”を振り返ってもらいつつ、私生活についても包み隠さずお話ししてもらいました。
◆刑務所は独居房。1番好きな食事は……
――小向さんといえば、今でもやはり覚せい剤について聞かれることも多いかと思います。
小向美奈子:シャブに関しては、ずっとやっていたんだろうって思っている人が多いんだけど、実は違うんですよね。殴られて吸わされたことはあったんだけど、自分からやったことはないんです。
――刑務所内は、どんな生活でしたか。
小向美奈子:ずっと独居房だったけど、孤独を感じることは全然なかったな。毎日、仕事して、それが終われば、本も読めるし、テレビも観れるし、ご飯は出てくるし、休みの日もある。シャバと違うなと思ったのは、何も考えなくていいってことでしたね。
――作業は何をされていたんですか?
小向美奈子:バレエのトゥシューズをミシンで縫って作ってました。完成のちょっと手前のところまで。
◆テンションが上がったコロッケドーナツ
――刑務所での楽しみは、「甘いもの」という話をよく聞きますが、小向さんはどんな食べ物が楽しみでしたか?
小向美奈子:甘いものだとコーヒーゼリーかな。夏は冷凍みかん。でも、甘いものはもともと好きじゃないから、そんなにテンション上がらなかったですね。逆に、ブラックコーヒー飲みたいなって思ってました。おもしろかったのが、中国人の子から聞いた“刑務所グルメ”。コロッケがドーナツになるんですよ!!
――コロッケがドーナツに? どういうことでしょう。
小向美奈子:プリンをぐちゃぐちゃに混ぜたやつを野菜コロッケにかけて食べてるんです。そうするとドーナツみたいになるって(笑)。『えー、気持ち悪い。グリンピース入ってんじゃん』なんて言ってたんだけど、実際やってみたら、本当にドーナツの味がするの!!」
――なんと……。試したいような、試したくないような……。ところで、刑務所の中で美味しかった料理はありますか?
小向美奈子:3位、コッペパン。超好き。もともと米よりパン派で。上の皮みたいなところが大好き! 皮の部分だけ一生懸命にきれいに取って食べるんで、コッペパンが出る時は食べるのがすごく遅い(笑)。他の人は、コッペパンにカボチャサラダとか、さつまいもの甘露煮みたいに挟んで食べたりするんだけど、私はコッペパンだけを堪能してたな。
2位、コロッケ。これは外の世界でも好き。たまに、プリンをかけてドーナツにして食べてましたね(笑)。1位は白和え。メニューにあると、テンション上がりました。『やった!! 白和えだ!!』って。普通に今でも好きで、家でも作りますよ」
◆プライベートはアニメと酒三昧
――いまは毎日、どんな生活を送っているのですか。
小向美奈子:家から一歩も出ずに延々と引きこもっているときもあれば、一旦外に出るとずっと帰ってこないっていう両極端なタイプなのね。家にいる時は、延々とアニメを観て、料理を作ってる。
――どんなアニメが好きなんですか。
小向美奈子:『メイドインアビス』や『黒執事』が好き。今期は『闇ヒーラー』とか『鬼人幻燈抄』。あとは、『ゴリラの神から加護された令嬢は王立騎士団で可愛がられる』、『片田舎のおっさん剣聖になる』、『勘違いの工房主』、『最強の王様、二度目の人生は何をする?』あたりかな。あっ、『悪役令嬢レベル99 〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜』もすごい好きだったな。
――めっちゃ観てますね。
小向美奈子:昔からアニメ好きだったから『ホイッスル!』で声優の仕事をやったときは、すごい嬉しかった。声優の仕事は、またぜひやってみたいですね。
――そして一度外に出ると、帰らない。
小向美奈子:うん。外に出るときは、まず朝に散歩に出て。楽しくなっちゃって10キロ以上とか歩き続けちゃう。それで、夕方に一度帰って、シャワー浴びて、メイクし直して、飲みに出て朝まで帰らない……そんな感じ。
◆飲むと“キマッてる”と勘違いされる理由
――とことん飲んでしまうタイプなんですね。
小向美奈子:酔うとアッチのほうを誘ってくる人もいるけど、酒を飲みはじめたら、とにかく飲み続けたい。刑務所の中でも早く酒が飲みたいと思ってた。
――ちなみに、どんなお酒が好きなんですか?
小向美奈子:ジャックダニエルと吉四六(きっちょむ)。その二つと炭酸とかの割材とで、“小向セット”って呼んでる。ジャックダニエルは、ポンジュースで割る場合もあるんだけど、これ、配合が決まれば、めっちゃ美味い! 写真集の撮影のときなんかに、スタッフさんに作ってあげたりしてました。
――サービス精神旺盛! スナックのママですね(笑)。将来は小料理屋を出したりとか…どうですか?
小向美奈子:実は一時期、スナックやってました。2〜3年くらい。当時は忙しくて、続けられなかったんだけど、もうちょっと落ち着いたら、またやってみてもいいかなって思っています。
――飲んでの失敗談とかありますか?
小向美奈子:いっぱいある!! この間も、テキーラとかハブ酒を1本ずつくらい飲んで記憶なくなった。最初は気心知れた仲間と一緒にいたっていうのは間違いないんだけど、酔っ払ってベロベロ。その後は、全然覚えてない。バッグもスマホもなくって、どうしよう……みたいな。車に乗った記憶もないのに、どこだか知らない場所にいて。最終的にバッグは知り合いが持っててくれたんだけど。『美奈子、いきなり店から出てっちゃたけど、どうしたの〜?』って。それすらも覚えてない。
――ヤバイですね……。
小向美奈子:それにね、飲むと、視力の弱いほうの目が斜視になっちゃうんですけど。それを見ると、みんな勘違いするんですよ。“キマってる”って。違うよ、お酒なんだよ、疲れただけだよって。
ちょうど良いところで止めようと思ってても、飲みだすとパーンといっちゃう。ギアが1速と6速しかない。気がついたら、ものはなくすし、しかも体は傷だらけ……そんなんばっかりですよ(苦笑)。
◆今までもこれからも職業は「小向美奈子」
――現在のプライベートでの恋愛観は?
小向美奈子:男と女、両方とも好き。最近もすごい可愛い女の子をみつけたばかり。女ばっかりに気がいってたから、気がついたら、今年は1回しか男とシてないな(笑)。
――40歳の誕生日を迎えて、これからの仕事に関してはどのようなビジョンを持っていますか。
小向美奈子:仕事に関しては、これまでもこれからも、職業は「小向美奈子」。何にしても、ずっと決まった肩書きってものはないから、“小向美奈子業”を続けていきます。
――この先の人生に対してどんな思いを持っていますか。
小向美奈子:40歳になったところで、実際は年齢なんて生きている日数と時間に過ぎないわけで、いくつになっても何も変わらないと思ってます。考え方も、生きる目標とかも、何も変わらない。
人生って自分のためにあると思っているので、美味しいご飯を食べて、お酒飲んで……。そのためにはお金も必要だから、仕事して稼ぐときは稼いで。
人って死に向かって生きているだけだからね。その時々で目標があっても、常に通過点に過ぎないし。いま、楽しいね、辛いね、嬉しいねって、それだけでいいと思ってるんで。自分の生き方は、変えようとしたってどうにもならないし、気の済むまで生きて、年を取っていくだけかな。
でも、さすがにもういい歳だし、少しは落ち着いていこうかな、とは思っています(笑)。
<取材・文/中山美里 撮影/尾藤能暢>
【中山美里】
性風俗、女性問題、金融犯罪などを中心に取材・執筆するフリーライター。性とお金に対する欲望と向き合う人間のフィールドワークがテーマ。ショークラブダンサー等を経て、未婚で1児を出産後、結婚。3児の母。高齢者の性を取材・執筆した『ルポ 高齢者のセックス』(扶桑社)など著書多数。性の仕事に対する差別や偏見解消に取り組む一般社団法人siente代表。