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順天堂大付属順天堂医院(東京都文京区)で検査を受け、その2日後に死亡した女性患者(当時72歳)の遺族が、病院側に約2億2000万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は18日、病院と検査を担当した医学部教授の男性医師に計約6300万円の支払いを命じた。一場康宏裁判長は、検査リスクを十分説明しなかったことが女性の死亡を招いたと判断した。遺族側が主張した検査ミスは認めなかった。
判決によると、女性は胆管の病気が疑われ、2021年2月に順天堂医院で検査を受けた。教授は胆管内にカテーテルを挿入した上で、内部の状態を見やすくする薬剤を注入し、さらに器具を使って胆管を拡張して状態を確認した。検査終了後、女性は容体が急変し、膵炎(すいえん)になり、死亡した。
判決は、教授が胃カメラに例えて検査内容を説明し、女性に検査は胃カメラと同程度の危険性だと誤信させたと指摘。しかし、実際は膵炎の発症リスクや、重症化すると死亡に至る場合もあり、病院側の説明義務違反を認めた。説明を尽くしていれば女性は検査を受けなかった可能性が高かったとし、死亡との因果関係も認めた。
遺族側は教授のミスで胆管に穴が開いたとも訴えたが、判決は「穴が開いたとは認められない」と退けた。
判決後に都内で記者会見した女性の三女(50)は「孫の成長を楽しみにしていた母が感じた恐怖や苦しみを思うと胸がはりさけそうです。医師や病院からは今も謝罪はない。患者に誠実に向き合ってほしい」と語った。順天堂医院は「主張が認められず残念です。亡くなられた患者様に心より哀悼の意を表します」とコメントした。【安元久美子】
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