福井事件・識者談話
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2025年07月18日 20:47 時事通信社

◇証拠開示の重要性、浮き彫り
元東京高裁部総括判事の矢村宏・北海学園大法務特任教授(刑事訴訟法)の話 無罪しかあり得ない判決だった。再審請求事件における証拠開示の重要性、必要性が改めて浮き彫りになった。第2次請求審で検察側が初めて開示した証拠は、確定審から明らかにしていればこれほど長期化はしなかっただろう。証拠開示請求の制度化が求められる。各裁判官の裁量に委ねず、再審請求があれば証拠開示を義務化するような制度を検討すべきだ。検察官にはこの事件を教訓に、公益の代表者としての公正さを求めたい。
◇証拠に基づく真相解明を
渡辺修・甲南大名誉教授(刑事訴訟法)の話 判決は偽証で冤罪(えんざい)が生まれる構図を浮き彫りにした。警察・検察は証拠に基づく真相解明のマインドを取り戻すべきだ。一審が無罪としたのに二審が有罪とした背景には「証拠が大筋で被告の犯人性を示せば十分」という裁判官の甘い証拠評価もある。裁判官は警察・検察の主張をうのみにしがちで、襟を正すべきだ。再審請求の段階で、迅速で広範な証拠開示を認める法制度整備も求められる。裁判所、検察、弁護士のほか、学者や市民らでつくる冤罪検証機関を設置すべきではないか。
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