夫の急逝で傾いたとらふぐ専門店 迷走経営で負債は40億 「くーちゃんの明るさと馬力は人一倍」亡き人の言葉を胸に妻は再建に乗り出した

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2025年07月19日 06:10  まいどなニュース

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お話を伺ったのは株式会社関門海の社長、山口久美子さん©テレビ大阪

取扱高&消費量日本一、年商50億円を誇るとらふぐ専門店「玄品」。独自の技術により手軽な価格で高級料理の代名詞・ふぐを楽しめる人気店ですが、その影には女社長の知られざる波瀾万丈の物語がありました。

【ドラマ】ふぐ料理のトップ『玄品』を支える女性社長の波瀾万丈人生…夫の死、莫大な借金

順風満帆な日々、好調だった会社を襲った悲劇とは…

ふぐの王様と言われる「とらふぐ」をリーズナブルに提供し全国に店を展開するとらふぐ料理専門店「玄品」。

お話を伺ったのは株式会社関門海の社長、山口久美子さん。もともと「玄品」は久美子さんの夫、聖二さんが1980年に大阪・藤井寺にて「ふぐ半」という名前で創業した会社で、聖二さんが亡くなった後に社長を引き継いだのです。

「ふぐ半」の創業当時はふぐ料理を提供する店が少なかったため、経営は順調で店舗をどんどん拡大していきました。そんな中、聖二さんは久美子さんと出会います。初対面で運命を感じて恋に落ち、半年後に結婚。さらに結婚から2年後には出産、久美子さんが24歳になる頃には3児の母になっていたのでした。

その頃は20代、30代の若者が集い、活気に満ち溢れていた社内。2001年には社名を「関門海」に変更、国内99店舗を展開し、大阪・松原市にセントラルキッチンを備えた本社を開設!

2002年には著名な美術作家に命名してもらった「玄品ふぐ」に店名を変更し、さらなる飛躍を目指していました。

ところが…2005年、夜遅くまでふぐの養殖の研究を行っていた聖二さんが、帰り道のバイク事故に遭い、44歳の若さで帰らぬ人となってしまったのです。

当時小学生だった3人の子育てなど、不安を抱える久美子さんを支えたのは、聖二さんが生前に残したたくさんの語録でした。その中の一つ「大抵のことは大したことないんやで」。その言葉のおかげで悲しみを乗り越え、前向きになれたそうです。

ですが、亡くなる直前まで、ふぐのこと、会社のみんなのことを思い頑張っていた創業者を突然失ったことで、会社の経営は混迷を極めます。

ふぐ料理専門店以外にも、回転寿司や宅配など積極的に事業を行おうとしましたが、それが裏目に出て負債は膨らむ一方!

さらに、会社の経営が傾くにつれ、社風もどんどん変化していくことで戸惑う社員や店舗の従業員たちが、何人も久美子さんのもとに相談に訪れるようになっていました。聖二さんの急逝から7年間沈黙を守っていた久美子さんでしたが、「このままでは聖二さんが作った会社が無くなってしまう」と考え、ついに関門海に入社することに。

しかし、実際に入社してみると・・・会社には活気がなく、負債40億円を抱えているので社員は完全にお手上げ状態。ここでも久美子さんは生前、聖二さんから「くーちゃんは明るさと馬力が人一倍あるから」と言われたことを思い出し、その持ち前の馬力で改革へ乗り出します!

全店舗の掃除で見えた “弱点”から真の「玄品」へ

久美子さんがまず目を向けたのは会社の顔とも言える「店舗」。当時99店舗あった店すべてに挨拶に出向き、掃除をして回ったのです。

そこで見えてきたのは美術作家が命名した「玄品」という店名にふさわしくない、安っぽい店内の装いと従業員の活気のなさ。それは創業者が描いていた玄品ふぐとはかけ離れていた姿。過去の「愛にあふれた会社」のイメージは薄まっていました。

そこでまず、店のブランディング改革に乗り出します。店名の独特なフォントに合うようにメニュー表やランチョンマット、お土産用の紙袋などあらゆる店内のアイテムを一新することに。

そうすることで店に高級感や清潔感が生まれ、接待や会食で利用されるようになり、さらに“和の雰囲気”が好評を博し、外国人客の利用が増加したのです!

社長に就任した久美子さん。改革のために次に目をつけたのは!?

2018年には社長に就任した久美子さん。次に目をつけたのは・・・“人”。ベテラン社員が若手社員に指導している様子を見て、画期的な改革を思いつきます。

それは・・・若手社員を管理職にすること!

年功序列ではなく、あえて若手を責任ある業務につけることで、店全体の士気が上がるのではと考えたのです。

20代の店長、入社5年で課長職の30代社員など若手を責任あるポジションに抜擢しつつも、ベテラン社員には社歴に即した給与を、若手社員には役職手当をつけることでモチベーションをキープ!ベテラン社員からの不満は一切ないそうです。

こうした内部改革により社風が変化!さらに手広く行っていた他業種展開も極力「ふぐ事業」に一本化しました。

また、店名を「玄品」に変更したのも同時期なのだそう。その理由は・・・ふぐ以外のメニューを提供しはじめたこと!

実は創業以来、ふぐのシーズンではない4月〜9月は赤字だったため、夏の黒字化を目指し、うなぎや鱧などふぐ以外のメニューの提供を開始します。

こうした改革により社風も変化し、1店舗あたりの売上も回復していきますが、新たな試練が久美子さんを襲います。

コロナ禍を乗り越え売上を確保した「奇策」とは?

社長就任の翌年、世界中を襲った新型コロナウイルス。予約が全てキャンセルになるなど、売上は激減。そこで、久美子さんは広すぎてもて余していた「セントラルキッチン」を活用。店舗の職人たち含め従業員を集結させ、“通販セット”の製造に注力させたのです!

さらに、2020年から通販事業のほか、スーパーに自社商品を卸す外販事業をスタート。店舗で提供しているフグ料理の詰め合わせに加え、研究を重ねて開発したフリーズドライの「とらふぐ雑炊」などの商品のヒットにより、コロナ禍の危機を乗り越え、現在もなお店舗と外販事業で売上を伸ばし続けているのです。

また新たな試みとして2023年には、社長自らがカウンターに立つ「女将のカウンター」もスタート!「コロナ禍を経てお客様の求められることを自分で肌で感じ、お客様と対話してそれで自分の信念をもう1度持ち直したかった」と積極的にお客様とコミュニケーションを取っています。そんな久美子さんの姿を見て、お客さんも元気がもらえると言います。

ふぐ業界のトップ、「玄品」のもしマネポイントは…「どんな時も笑っとけ」。亡き夫の言葉を胸に、数々の困難も前向きに立ち向かってきた久美子さんの挑戦は続きます!

番組情報

〇内容
『もしもの時』に備えるマネー道!マネー活用バラエティ!
〇放送日時
テレビ大阪 第1〜3日曜日 午後2時放送!放送終了後はYouTubeチャンネル、TVerで無料見逃し配信中。

(まいどなニュース/クラブTVO編集部)

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このニュースに関するつぶやき

  • 素晴らしい。女将が現場に行って現状を見るのが1番近道。若手を責任者に採用する思い切った作戦とかも成功するといいよね
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