復帰戦での初優勝に現実味。ヒョンデ勢の2番手争いを尻目に、ソルベルグがリード拡大／第8戦デイ3

　7月19日、WRC世界ラリー選手権第8戦『ラリー・エストニア』の競技3日目がエストニアのタルトゥを中心に行われ、トヨタ・ガズー・レーシング・ワールドラリーチーム（TGR-WRT）から今大会に出場しているオリバー・ソルベルグ／エリオット・エドモンドソン組（トヨタGRヤリス・ラリー1）が、前日に続き総合トップに立っている。

　18日金曜のフルデイ初日に、世界中のラリーファンを驚かせる快走を見せたソルベルグの勢いが止まらない。23歳のスウェーデン人ドライバーは、SS9からSS17まで計9本のスペシャルステージで争われたデイ3を前に、地元エストニアの“ヒーロー”であるオイット・タナック（ヒョンデi20 Nラリー1）を12.4秒リードしていた。

　迎えた土曜の競技3日目は、出走順の優位性が薄れることで勢力図に変化が見られる可能性があったものの、絶好調のソルベルグにはどこ吹く風。今朝のオープニングステージとなったSS9から3連続ベストを叩き出し、ミッドデイサービスまでに後続との差を22.8秒に拡げてみせた。

　SS13以降の午後のループも、ステージ優勝1回にセカンドベスト2回、3番手タイムを2回と安定した走りを続け、最終的に21.1秒のマージンを持ってデイ3を終えた。WRCトップカテゴリーでの初優勝まで、残すはあと3ステージだ。


■チャンピオン同士の激しい争いが勃発

　ソルベルグが力強くラリーをリードする一方、ヒョンデ・シェル・モービスWRTのタナックとティエリー・ヌービル（ヒョンデi20 Nラリー1）は2番手争いを展開していった。

　チームメイトと1.8秒の僅差で競技3日目に入ったタナックは、オープニンステージでストローバリアに接触したあと、シケインでストールを喫しタイムを失った。この影響でチームメイトであるヌービルに総合2番手の座を奪われてしまう。

　しかし、ここからチャンピオン経験者同士の類を見ない激しいバトルが開始されることに。ふたりはSS9からミッドデイサービスを挟んだ午後のSS14まで、ステージごとに順位を入れ替えていった。落ち着きを取り戻したのは、タナックが先行して迎えたSS15で、続くSS16でタナックが、一日の最後のSS17ではヌービルがステージウインを飾るなか両名のタイム差は4.0秒となっている。

　この2番手争いに喰らいついていきたいカッレ・ロバンペラ（トヨタGRヤリス・ラリー1）だったが、大会3連覇中の“フライング・フィン”をもってしてもトップ3のペースには及ばず。4番手をキープしつつもトップのソルベルグから51.6秒、3番手ヌービルからは26.5秒の後れを取ることとなった。

　デイ2後に「勝田とエバンスを後方に抑えたい」と語っていたアドリアン・フルモー（ヒョンデi20 Nラリー1）は午前中、勝田貴元（トヨタGRヤリス・ラリー1）と1秒以内の接近戦を演じたが、午後はその差を拡げることに成功し日本人ドライバーとのギャップを8.6秒とした。勝田は前日と同じくトヨタ勢3番手、総合では6番手につけている。

　勝田から13.6秒差の総合7番手でエルフィン・エバンス（トヨタGRヤリス・ラリー1）が続き、TGR-WRT2からエントリーしているサミ・パヤリ（トヨタGRヤリス・ラリー1）が8番手。9番手以降はMスポーツ・フォードWRT勢のマルティン・セスクス、ジョシュ・マッカーリーン、グレゴワール・ミュンスター（いずれもフォード・プーマ・ラリー1）が並び結果となっている。

　WRC2では引き続きロベルト・ヴィルヴェス（シュコダ・ファビアRSラリー2）がクラストップを快走中。2番手につけるゲオルグ・リンナマエ（トヨタGRヤリス・ラリー2）との差は26.5秒だ。

　残すは最終日のみとなった2025年WRCラリー・エストニア。日曜のデイ4はSS18からSS20まで計3本のステージで争われる。SS19の再走行ステージとなる最終SS20は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”となっている。

[オートスポーツweb 2025年07月20日]